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2011年6月20日 (月)

劇団appleApple 「テガミ」

June 11th, 2011 劇団appleApple「テガミ」 感想のメモ

(ネタバレがあります。ご留意ください)

白い布で覆われた舞台。
この劇場の特徴である中央の柱を区切りとして
入口側はプレーンな素舞台のように使われて。

その中で、一人の女性の朝の光景が描かれていく。
普段の質感の冒頭から、
どこかに織り込まれた常ならぬもの。
やがて、病院の寓話のようなシーンが現れて
それが誰かの内心の世界であることに思い至ります。

繰り返されるいくつかのシーン。
ベースとなるシークエンスに、
不思議なクリアさがある。
一定の時間を切り取ったピースが観る側の記憶に馴染むというか・・・。
出来事はそれほど複雑ではない朝の光景だったり
主人公の女性の勤め先の風景だったり
あるいは不倫に近い相手に車で送ってもらう時間だったりするのですが、
舞台の肌合いというか仕立ての感じが
観る側に違和感なく作られていて、
すっと観る側の記憶に置き換わっていく。

前回の公演の時にも感じたことですが、
よしんば物語が複雑に積みあがりリピートされていっても
個々のシーンのニュアンスがしっかりとあるので
観る側として視座が混濁しないのです。
交通事故、昏睡している状態・・・。
夫が出ていく前の最後の朝、
どこか形骸化した会話。
そのままになっている夫が焼いてくれたトースト。

自らの不倫相手の記憶が幾重にも鮮明であるのに対して
彼女の元を去った夫の不倫相手の描写など
極めて戯画的ですらあるのですが、
その差が
内心を見詰めるものの視座をしたたかに観る側にロックし
眼前に広がる世界が、
主人公に広がる世界のとてもリアルな描写であることを教えてくれる。
蓄えられた記憶や妄想の品質、
夫婦の重なりあう部分とそれぞれに隠す部分が、
解像度を色分けして表現されていくことで、
一人の女性の結婚生活の閉塞感や
日々の時間の感覚が
ぞくっとくるほど精緻に伝わってくる。


コアになる事実たちが明確になると、、
今度は記憶たちが互いのシーンを浸食していきます。
記憶のループは次第に改ざんされて、
彼女の制御からもこぼれ落ちそうになる。
その中で、彼女がこだわり求めるもののシルエットが
次第に浮かび上がっていく。

シークエンスの繰り返しや
記憶が改ざんされていくというやり方は
昨今いろんな形で舞台に使われているし
描かれる内心も、際立って珍しかったり特別なものではない。
にもかかわらず舞台からもたらされる感触には
この劇団独特の透明感があって
惹かれる。
そこには役者の創り出すトーンの秀逸や所作の切れの良さなども
もちろんあるのですが、
前回観た公演と比較してもベースの作り方がしっかりしていて。
そのことがこの劇団が編み上げる糸のそれぞれに
主人公の想いのさらなる実存感を紡ぎこみ、
しっかりとした着心地のようなものを醸し出していく。

観る側は想いの移ろいから浮かび上がるものや
女性の感触そのものを
彼女が感じているであろう肌合いとともに
纏うことができるのです。

シーンの作りも、シンプルでありながら遊び心もあって
絵面もきれい。
観終わって、常ならぬ洗練が感覚として残る。
前回初見の劇団ですが、
その表現力が偶然の産物ではないこと、そしてさらに進化していることを
確認できて。

次の公演が今から楽しみになりました。

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