エビス駅前バープロデュース『横浜の嘘に3度酔う』、
公演詳細
公演の詳細が記載されたもののリンクを張りつけます。(問題等あるようでしたらご一報ください)
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=77231
(ここから先にはネタバレがあります。ご留意ください)
2016年10月18日21時の回に観劇。
物語の全容が観る側に伝わるまでの時間配分がとても良い感じで、それが観る側に3つ時代の繋がりをバランスよく渡してくれる。ひとつずつの時代に描かれるものは、それほど複雑な背景を持っているわけではないのだが、その中に、時に台詞で、あるいはシチュエーションの先で観客の想像力から引き出すような掛かりが仕込まれていて、次第に前のめりになってその顛末を追うようになった。
なんだろ、キャラクターそれぞれの風貌や設定の解き方がとりたてて濃ゆいわけではなのだが、役者達がそれぞれが抱くコアのようなものをきちんと観る側に渡していて、シーンごとに描かれるものがそれほどディテールをもったものではなくても、時間ごとの今としての膨らみがきちんと観る側に残る。それは派手さやあからさまさをもった企みではないのだが、でも、着実に目の前のバーカウンターに重なっていった日々に実存感を刻む語り口の確かさがあり、気が付けばそれぞれの時代とその見えない繫がりに心を奪われていく。
役者達には、徒に全体の流れに捉われず、その時間の質感を大切に描いていくスタンスを感じ、そのことが物語を混濁させず、終盤にクリアな場所に流れた時間の俯瞰を生み出す力になっていたように思えた。
ラストのワンシーンが上手いなぁ、ジグゾーパズルの最後に残ったピースが吸い込まれるようにはまるような心地よさと、バー全体に刻まれたたくさんの時間がやさしく解き放たれるような感触が残った。
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