「WLこまばアゴラ劇場支援会員2015 演目完全制覇リレー」3月度に投稿しました
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【01】映画美学校 アクターズ・コース 2015年度公演『友情』3/3(木)~3/6(日)@こまばアゴラ劇場
【02】遊園地再生事業団+こまばアゴラ劇場『ワークインプログレス・子どもたちは未来のように笑う』3/5(土)~3/16(水)@こまばアゴラ劇場
【03】sons wo:『水』3/15(火)~3/21(月)@アトリエ春風舎
【04】NPO劇研プロデュース『ことばのはじまり』3/19(土)~3/20(日)@こまばアゴラ劇場
実は、もう一本
【05】プロジェクトKUTO-10『骨から星へ』3/24(木)~3/27(日)@こまばアゴラ劇場
もあったのですが、残念ながら締切に間に合わず。
その感想はとりあえずこちらに上げておきます。
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駅が舞台の物語。最初に登場する二人の中年男にちょっとゴドー待ちを想起した。駅員が少年役というところか。でも、その印象はすぐに薄れ、舞台が進み同じ駅の風景にいくたりもの登場人物の現れ去っていく中で、定点カメラを通して定めた場を通過する様々な人生の刹那を眺めるような感覚が生まれる。
重なっていくシーンたちが必ずしも詳細に登場人物たちの物語を綴っていくわけではない。エピソードは気負うことなく出現し、登場人物がそこにあることや抱いているものなどを絶妙に背景をぼかし、しなやかに丸め、どこかありふれた匂いを漂わせながら綴り、極めてルーズな繫がりを透かし見せながら駅の風景に様々な刹那を編みこむ。
正直なところ、観ている間は登場人物たちの物語に納得はしても、深く感情移入をしたり彼らの物語そのもので心が満ちたりすることはなかった。淡々と駅に去来するものを眺め続け終演時にはなにか表層的で淡白な舞台という感じがした。
ところがこの舞台の印象は劇場を出る頃にひと化けする。描かれた風景たちの重なりが、エピソードのステレオタイプさを逆手にとってディテールに埋もれない生きる歩みそのものの肌触りとしてじわりと広がる。語られる物語自体の味わいよりも、駅の風景に置かれたそれぞれの時間の重なりから導き出された人生の様々な営みを巡る感触が心を満たす。なんだろ、物語という具を食したあとでそれらから沁み出したスープの味わいにスプーンが止まらなくなる感じ。強かに練られた舞台だと思った。
(3月24日 19:30)
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おかげさまで、1年間、こまばアゴラ劇場とアトリエ春風舎で上演された演目、および青年団主催の首都圏で上演された演目のほとんどを観ることができました。
(夏にリオフェスの公演を1本、それと高校演劇の上演を見損なっている)
正直なところ、こういう機会がないと絶対観ることがないだろうなと思うような演目もけっこうあって、でも食わず嫌いををせずに観てよかったなと思える経験もたくさんすることができました。
しんどくはありましたが、でも、ベタな言い方だけれど嘘偽りなく楽しかったです。
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