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ゾウノハナランチミーティング『葉桜と魔笛』港が見えるカフェで物語に浸りこむ

2015年12月12日のお昼に、横浜のカフェ(Charan Paulin)で、ゾウノハナランチミーティング『葉桜と魔笛』を観ました。

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これが会場の建物。

11時45分開場。少し前について、まわりをお散歩したりも。

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そして、会場に入ると窓越しに広がる港の景色。
供されるランチはワンプレート、ジャンルとしては和食、素材の味わいが生かされつつ、おからの炊いたものなどには細かく出しが効き品のよい味付けがされていて、一品ずつがとても美味。

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食後のドリンクなども、別料金で頼むことができて、メインディッシュであるお芝居を観る前から満たされた気分で、開演を待ちます。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください。)



作 : 太宰治

演出 : 柴幸男(ままごと)

出演 :井上みなみ(青年団) 吉見茉莉奈(劇団PEOPLE PURPLE)

役者達の靴音が聞こえてきて、自然に舞台となる空間が異なる空気で満たされて・・・、開演。二人の女優たちが、場をリラックスした食事の場から海の近い家に住む姉妹の世界へと染め替えます。

冒頭は、姉の立ち上げ方のテンションが会場の広さに比べてかなり強いように感じたのですが、でもそれは一瞬のこと。役者の所作や細かい間の取り方に、その強さが空間全体に血を巡らせるような力に置き換わり、観る側を空間ごととりこんでいきます。海から響いてきたという態で場内を揺るがす日本海海戦の大砲の音が与える驚きもしたたかで、その時代を生きる登場人物たちの実存感を切り出し、描かれる時代や二人時間に肌触りを与え、若い姉妹が紡いでいく物語に一重ではない立体感を編み入れて行く。

リーディングといっても姉が手に持った本は概ね看板のようなもの、恣意的に本から引き出されるいくつかの言葉以外は、冒頭の強さに鼓動を与えられた空気の更なる緩急として場を満たし瑞々しさを失うことなく積もっていく。物語られ、健常な姉と病に蝕まれた妹が束ねを解かれ、その風貌や寄り添い方のかみ合わなさから、姉が未だ御し得ず妹が憧れに置かざるを得ないその年齢の女性達が内に秘する異性への逡巡や恋慕の感情が予想しなかったあからさまさで訪れ観客を浸す。
その上で、すっと視座が引かれた最後のシーン、舞台に置かれたものが一人の女性の記憶に置き換わり、舞台に凛と張られていたテンションも、柔らかな記憶をいつくしむものへとその肌触りを変え、彼女の記憶と今が一つに置かれた、彼女の人生への俯瞰や若かったころの時間との邂逅の風情に、どうにも心捉えられてしまうのです。

自然光に満ちたスペース、最小限の音のサポートこそあれ二人の役者がその身体と刹那の演技の確かさを武器に作品全体のメリハリの企てとともに編み上げた、主人公の女性に再び訪れた記憶の感触が終演後も暫く残り続けたことでした。

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