ハリケーンディスコ『博多アシッド山笠』ドーパミンがぐわっと溢れだす
2014年7月5日ソワレにてハリケーンディスコ『博多アシッド山笠』を観ました。
会場は参宮橋トランスミッション。
私にとっては嵌りもの劇団のひとつで、ここのところ継続して観ている。
今回も作り手ならではのテイストをたっぷりすぎるほど楽しむことができました。
(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)
脚本 ・ 演出 ・ 出演 : 江崎穣
出演 : 竹岡真悟、津波恵、澤唯(サマカト)、牛水里美(黒色綺譚カナリア派)、帖佐寛徳、大室光来(ボーダビッチ)、三瓶大介、為平康規(OUTofWIT)、
物語はある意味シンプル、
でも、登場人物たちの背景などはちゃんと綴られているし、
描かれるもの自体が唐突だったり奇異だったりする感じはまったくない。
最初こそ、裏山笠の世界を観る側に示していく足どりもあるのですが、
それが、明らかになるや、
世界はたちまちに観る側をしっかりと抱いて歩み始める。
鉄パイプと金属バットがガチでぶつかりあう音にぞくっとくる。
ドスにチャカに発破と舞台の上はやりたい放題、
でも、それらを暴走させても暴発させずに、
観る側に高揚への階段としてしっかりと組み上げていくのは戯曲の力。
電動ドライバーの音ともに、
劇場の高さいっぱいに山笠を組み上げ歩み出す態は、
整然と演劇の約束の内にあって、
でも、そうして生まれ醸し出される演劇的グルーブ感だからこそ、
観る側をただ無秩序に引きこむのではなく、
ロードムービー的な手法もからめて
一歩ずつ空気に温度を与え、j物語を歩ませながら、
その理性を痺れさせ、ハリケーンディスコワールドともいうべき世界に
どっぷりと浸しこんでしまう。
冷静に考えれば、
別に上半身を晒さなくてもよいのかもしれないし、
別のシーンでは、体の一部として目をくりぬかなくても、
指でも髪の毛でも物語は通るのかもしれない・・・。
でも、ほら、観る側がそこまでにドーパミンが絞り出され
痺れちゃっている理性だと、
その一つずつのインパクトではないと
満たされないようなのめり方になってしまっていて。
観終わって、すごくベタな言い方だけれど、
体を張り、声を枯らして役者たちが演じあげていく
登場人物のひとりずつがめちゃかっこよい。
ありえないというか、観る側の想定からさらに半歩踏み出した、
キャラクターの実存感にしっかりと取り込まれてしまう。
作り手と役者たちの体を張った、
でも数多くの細かい企てに紡ぎあげられた、
舞台の肌触りとその顛末に
今回もしっかり囚われてしまいました。
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コメント
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
投稿: 履歴書 | 2014/08/26 12:13