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関村俊介と川村紗也と浅野千鶴の三人芝居『OLと課長さん』ちょっと尖った繊細な緩さ

2014年3月21日ソワレにて、関村俊介と川村紗也と浅野千鶴の三人芝居『OLと課長さん』を観ました。

会場は池袋「空洞」。

他の舞台をいくつも観ている作・演出であり、いろんな秀逸さを見知った役者たちの舞台なのですが、
この出会いだからこそ訪れる、新たな質感があって・・。

肌から伝わってくるような様々なウィットに捉われ、いろんな踏み出しに翻弄されつつ、
このユニットならではの世界の感触にどっぷり浸されてしまいました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本・演出・出演 : 関村俊介

出演 : 浅野千鶴、 川村紗也

少し早めについて開場を待っていると、OL姿の役者がきびきびと受付準備を始めてちょっとびっくり。
比較的少人数での運営をされているようで、
開演ぎりぎりになっても、OL役のおふたりが庶務を行う如く受付や客入れをしていて。
そのふたりを、課長が舞台に集めて、「さあこれからメインの仕事」という感じでお芝居が始まるのも
手作り感満載でおもしろい。

で、開演すると、ゆったりと緻密につくられた語り口や間で編まれた作り手ならではの空気感がじわっと会場を浸し
観る側をとりこんでいきます。
先輩・後輩の二人の会話がとてもナチュラルなトーンで軌道を外れていくのがじわじわとおかしく、
でも、一方で二人の女優が貫くキャラクターがしっかりと組まれてぶれがないので、
観る側がその可笑しさに馴らされ閉じ込められてしまう。

そして、二人の世界にどっぷりと浸されたところで、
課長が現れ、二人の世界に突っ込みをいれていくのですが、
実をいうと、作り手が劇団(あひるなんちゃら)で編む作品にくらべて、
いろんな切っ先がちょいと弱い感じがして。
最初は、あれっとおもったのですが、次第に、その弱さの向こうに課長の視座というか立場からの、
OL二人の扱いづらさというか、食えなさが、醸されていくことに目を瞠る。

内々ではどこか噛み合わない二人なのに、課長が加わることで二人の間にも別の距離感が生まれて。
時に課長に対してバラバラなアプローチをしつつ、
ひなが親鳥をみるように見つめる姿の可憐さなども織り込まれ、気が付けば適度に部下の掌に載せられる中間管理職の仕事と割り切れず、でも深く入り込めない悲哀さえ感じさせたりも。

45分ほどの短い尺の、いわゆる駄弁芝居だとは思うのですが、
気が付けば、ベンチだけの舞台に、
公園のありふれた風景が浮かび、
3人の距離や昼休みの時間の肌触りや、キャラクターの実存感やそれぞれに抱く刹那の感覚すらくっきりと残って。

終わってみれば3人の役者それぞれの持ち味に加えて、この作品だからこそ導き出された色があって、作り手があひるなんちゃらで描き出すものとは、また一味異なる繊細な太さにとらえられてしまいました。

単に面白いだけではなく、ちょっとくせになるような作品のテイストを、たっぷりと楽しむことができました。

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