美島菊名写真展『名も無き花』写真×On7×音楽、美しくふくよかで凛とした空間
2013年2月8日マチネで、美島菊名写真展『名も無き花』のイベントを観ました。
会場はGallery Conceal Shibuya
渋谷駅からほど近いビルの4Fのギャラリーに足を踏み入れた刹那、
飾られた写真たちに目を瞠り、その写真たちに囲まれた空間での朗読に
しっかりと心を満たされました。
(ここからネタバレがあります。十分にご留意ください)
写真 : 美島菊名
出演 : On7 亀岡三典(Classic Guitar)
7枚の写真のそれぞれにふっと観る側が誘い込まれるような力があって。
それらの視線が、生身の役者達の声や身体でつづる花に纏わる掌編の世界に、不思議なふくらみを与えてくれる。
朗読自体が作る場のリズムや残響や奥行きも、役者たちの技量にしっかりと支えられていてとても自然に取り込まれてしまうのですが、そこに写真たちが醸す密度が重なると、さらなる別の肌触りがすっと引きだされていくことに驚きました。
写真自体はフライヤーで既見だったのですが、それが大きく引き伸ばされ空間を囲むと、新たな印象が生まれ、囲まれた空気には血が通い、声と身体で組みあがっていくものを別の色に映えさせていく。
それは刹那の内にふくらみを与えるギターの響きと共に、語られる言葉に素で触れるのとは異なる温度や肌触りを感じさせて。
作品を選ぶセンスにも、黒を基調に赤をあしらった衣装にも、ミザンスの作り方やフォーメーションの作り方などにも、観る側を閉じ込めるに十分な洗練がありました。
残念なことに大雪の影響をもろに受け、空間を囲むもう一面というか客席が少々さびしく、舞台からあふれ出してくるものが、ほんの少しだけ拡散してしまいましたが、よしんばそうであっても、文章の世界を空間の色や濃淡で描き出す演じ手の力をしっかりと感じることができました。
サリngROCKの脚本・演出でOn7の女優たちが紡ぐ舞台(『痒み』:3月25日~30日@下北沢シアター711)もとても楽しみになりました。
(全天球写真などの掲載に問題があるようでしたらご連絡ください)
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント