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劇団競泳水着『Romantic Love?』今を映えさせる歩みの質量

2013年12月20日ソワレにて、劇団競泳水着『Romantic Love?』を観ました。

会場は新宿御苑のサンモールスタジオ。

劇団としての10周年であり、新しい歩みを始める公演でもあり、加えて作り手の作劇に更なる洗練を感じる舞台となりました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本・演出 : 上野友之

出演 : 有田杏子、右代谷勝好、小野寺ずる(□字ック)、亀田梨紗、倉田大輔、斉藤マッチュ、櫻井拓也、篠原彩、すがやかずみ(野鳩)、田中沙織、松木大輔、松下仁(アマヤドリ)、森谷ふみ(ニッポンの河川)、谷田部美咲(Tricobo)

冒頭の仕掛けからしたたかで、観る側をすっと物語に導きいれてくれる。
そこから舞台に描き出されるものが、急ぐことなく、でもおざなりになることなく
刹那の解像度を持ちながら重なっていきます。
作り手ならではの観る側を逸らさないシーンのトーンが今回もしっかりとあって、気がつけば、その時間の切り取り方や繋ぎ方と交わりのリズムに引き込まれている。

登場人物たちの想いも、時にしっかりとデフォルメされ、あるいはとても自然体におかれ、
繊細な強さや深さを息遣いのように持ちつつ、置かれる舞台上のバランスが実に良い。
前半はどこかばらけて思えたシーンたちが、
良い意味でのあいまいさを保ち、想いの肌触りを失うことなく
密度と濃淡と凭れない軽質さを両立させながら、
歩み、絶妙にルーズに観る側に束ねられていく。

役者達もロールにちょっとデフォルメを効かせたり、
逆に息を呑むようなリアリティをもった刹那を編み上げたり・・。
そうして紡がれた個性が単調にならず、様々な膨らみに繋がり、
戯曲の表現の工夫をしっかりと映えさせていきます。
食事のひとときを一歩分に結び過ごした時間を描き出したり、
タバコケースに詰められた避妊具で
一人の男と二人の女の関係のボリューム感を観る側に伝えて見せたり・・・。
洒脱な企みやさらには丁寧な伏線の張り方が、
観る側を飽きさせず、物語の道筋だけでないもっと広い想いの遷移に導いてくれる。
役者達の芝居にしっかりと研がれたキャラクターの作り込みがあり、
中庸であっても、誇張されていても、揺らいでも、定まっても、
その色をぶれることなく舞台に置く力量が担保されているから、
よしんば、前半の展開が恣意的に散らばっていたり、シーンが多少ランダムに置かれていても、縒り合され違和感なく交わって物語の流れに束ねられていく。
そうして広がっていく舞台の質量が、
翻って物語の内外を照らし、時間の重なり質量を導き
やがてはシーンに描かれた会話や風景の向こう側に、
描かれなかった時間をも垣間見せて。
気がつけば、登場人物たちそれぞれの思いの細微な部分も
歩んだ日々を纏って、切り出されて。
観る側が登場人物それぞれの時間にしっかりとに閉じ込められているのです。

そうしてビビッドな部分も、ビターな部分もそれぞれのあるが如くに顛末を受け取っているからこそ、ラストシーンの主人公に訪れる出来事からやってくる可笑しさや感慨があって。
そこまで薄っぺらい感じを禁じえなかった占いシーンの伏線なども見事に生きて、
主人公の「今」に、ウィットと訪れる時間の素敵な軽さをもった踏み出しを作り出していくことに瞠目。

映像的などとも言われる作り手の語り口ですが、そこには役者達の力量とともに織り上がった舞台だからこそ感じうる想いの俯瞰が生まれていて、だからこそ、登場人物達に訪れた偶然に心奪われ、あざとさを感じることなくその刹那にはまってしまう。
終演後も暫くは、そんな主人公が纏った「今」の温度や、心ときめく戸惑いが、
とてもしなやかに残っていたことでした。

この作・演だから為しうる日々の描き方がしっかりと確立したような印象もあって。
競泳水着の10周年、作り手がこの先、どんな手練で、どのように時を紡ぎ、世界を見せてくれるのか。
作品の余韻に浸りながら、劇団の次がとても楽しみになりました。

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