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ミクニヤナイハラプロジェクト『前向きタイモン』台詞とともに作品を織り上げる身体

2013年9月2日ソワレでミクニヤナイハラプロジェクト『前向きタイモン』を観ました。

会場はこまばアゴラ劇場。岸田國士戯曲賞を受賞した作品ですが、戯曲自体の味わいをあまりかみ締める暇もなく、その戯曲を糸として織り上がる空間の動きや色たちに圧倒されてしまいました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

作・演出・振付: 矢内原美邦

出演        : 笠木泉 鈴木将一朗 山本圭佑


役者たちが、どんなにぎりぎりに台詞を詰め込もうとも、
身体を使おうとも、
一つずつの刹那をちゃんと舞台に突き刺していくことに感心。
舞台全体で描かれるものが、
逃げ水のように移ろう色のひとつずつをしっかりと切り出していく。

林檎とかクリスマスとかひよこの鑑別とか
理性で形をとらえ明確なエピソードとして形をなすものは幾つもあって、
でも、スピードでクオリティを減ずることのない
役者の圧倒的な力量に支えられて
それを芯にしてからまってやってくる、
幾重もの感覚の去来にこそ
深く取り込まれるのです。

映像や音にも、場をクリアに染める力があり
去来する風景にエッジをつくり。
観る側にさらに想いのありようを差し込んでいく。

観終わって、役者たちの疾走感が残りつつ、
何とも言えない肯定的な不安定さで構成された
心情のバランスのリアリティに
捉えられていて。

岸田國士戯曲賞を受賞した作品ですが、
舞台では、戯曲の台詞がなにかを編み上げる前に
個々の言葉や音の響きが観る側に訪れ
パフォームするような部分があって。
そのニュアンスのなかで
身体も、台詞も、小道具や時として映像までもが重なり、つながり、
ステップを踏んで観る側を引き込むような、
舞台の質感にガッツリ引き込まれて・・・。

なんだろ、演劇をみるのとは少し異なる脳の部位に
感覚が伝わってくる感じがあって。
言葉で表現される部分の理解とて                                                                                                                                                                                                                                            十分でなかった気もするし
やや難解な舞台だったとも思うのですが、
言葉では補足し切れない登場人物の感覚が
観る側にしっかりと広がるのです。。

上演時間自体は、もうあっという間、
そうして、終わってみれば、自分でコントロールできない
想いのスイッチが舞台からON/OFFされていて
その印象に深く浸されて。
観終わって、少し不安定な軽躁状態の繰り返しの先にある、
ルーズな疲労感に捉われていて。
作り手の描き動かす空間のテイストが
いつまでも、御し得ない感覚として残ったことでした。

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