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午後から雨になるでしょうProduce『クライマガコのイノリとカタリ』絵画に包まれた空間で・・・

2013年5月19日マチネで、午後から雨がふるでしょうプロデュース『クライマガコのイノリとカタリ』を観ました。

会場は千歳船橋のAPOCシアター。絵+朗読のパフォーマンス。

その絵が、只者ではなくて・・・
パフォーマンスとともに不思議なひとときを時を過ごすことができました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

企画・演出 : 吉永亜矢

絵      : 細野健

出演     : たざわかよこ 大政明日香 浅川美也

音楽     : 外山弥生(ウクレレとおもちゃの楽器)=齋藤丈二(ギター)と日替わり出演

会場に入るとまず目に入るのが壁面を隠すほどの大きな絵画。

APOCシアターは小劇場としてはとても高い天井を持つ劇場なのですが、
その壁面を上から下までを使って掛けられている絵画が5枚・・・。
会場の中央にいると、少し暗めの客席をその絵が取り囲んでいる感じ。

最初は、特に気にも留めず、
いつものごとく、気に入った席に腰掛け、
携帯電話を切って、めがねを拭いて、
目薬をさして・・・。

でも、どうも、いつもの開演前と勝手が違う・・・。
なんだろ、場内の空気が何かに染まっているような感じがして。

で、ぐるっとまわりを見渡してその絵をながめる・・・。

不思議な絵でした。
ひとつずつの絵に季節があって、
じっと眺めていると、
たとえば森の中でその季節に出会ったような印象がやってくる。
近くでみると、様々な形を組み合わせた抽象画なのですが
ふっと心をほどいた刹那に、
そこに川の流れに写る若葉や、
流れゆく紅葉した葉っぱたちが姿を現し
すっと視野全体を覆い尽くす・・・。

そんな中で、開演時間が訪れ朗読が始まります。

朗読自体は、奇を衒ったものではなくて、
演じ手の豊かな表現力がビビッドに、でも着実に
物語が綴りあげていきます。
そこには日常があって、
でも、日常とちょっと異なる世界への踏み出しがあって。
楽士がいろんな道具やおもちゃのピアノ、
さらにはウクレレなどで奏でる音が、
ウィットとなり、情景となり、ふくらみとなって
観る側をさらに物語に引き込んでいく。

そして、そのなかで、あかりの色が変わると、
魔法のように、絵から季節が浮き出すことに驚愕。
光は、絵の中のある色を滅失させて、
そうすると他の色がふっと空間に浮かび上がり、
場の空気となり、観る側を新たな色やニュアンスで閉じ込めてしまう・・・。
言葉や音で組みあがった世界と、絵が醸し出す空気が交わると、
そこには現実を凌駕した、
物語の空間があって・・・。
世界が聞かされるものから、自らの目や耳や肌で見聞きし触れる物へと
置き換わっていくのです。

終わってみれば、
短編たちのそれぞれの作品の印象が
絵の色や、気配や、醸しだされる空間とともに、
言葉からもうひとつ先の次元に昇華していて・・・。

差し入れられる音楽もとてもよかったです。
単に音を聴くにとどまらない、
ふくよかな余韻が
物語をさらに観る側に刻み込んで。
音が紡ぐ色にも深く浸潤されていることに気付く

で、会場を立ち去るとき、
もう一度ぐるりと会場を眺めると、
絵たちは、最初の表情を取り戻していて。
でも、その印象から離れがたく、しばらく眺め続けて・・・。

なにか、魔法にかかったような気持ちになりました。

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