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月間根本宗子『ひかる君ママの復讐』疾走感溢れるコメディに導くムキムキの役者筋

2013年4月29日ソワレ(21時の回)にて、月間根本宗子『ひかる君ママの復讐』を観ました。
あまりにおもしろかったのと異なる役者の出演もあるとのことで、
追加公演の5月5日21時の回を再度観劇。

その常ならぬ疾走感に、一度ならず二度までもはまってしまいました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本 ・ 演出 : 根本宗子

場内に入ると、
役者たちはすでに板付き(?)で、
そのどこか雑然とした雰囲気にちょっと驚く。
会場から開演まで、
その空気がしっかり担保され、
見えないエネルギーが蓄積されて・・・。

そして、空気が満ちた中で、出てくる最初のセリフが
「馬鹿じゃないの・・」、しかも繰り返し・・・。
さらには、ツナ缶だの、香水の匂いだの
下世話なネタが一つずつ積まれ、
しなやかに場の空気と流れのなかで
舞台に熱を編み上げていきます。
個々の役者のテンションの作り方が実にしたたかで、
個人攻撃に発展していく階段のつくりなどにも無理がなく、
なるべくしてそうなっていく場の暖まり方に
あれよと取り込まれてしまう。
1割のリアリティにかけられた9割のデフォルメが
(あくまでも想像ですが・・・)、
観る側を場の空気に閉じ込め、のめり込ませ、
開演直前の楽屋という設定の出し入れが、
すでにカオスに陥りかけている場の空気を一層あおり
役者たちの繰り出す展開の一つずつに更なる
踏み込みを導いていく。

4人の女優たちのヤリタイ放題の態のなかで、
常ならぬ勢いを作りつつも、
それぞれのキャラクターが混濁することなく、
ムキムキの役者筋でがっつりと制御され貫かれているのが
実に見事で・・・。
墨井鯨子の醸す場にぐいっとねじ込むようなテンションも、
梨木智香の良く作りこまれた唯我独尊感や落差も、
大竹沙絵子の雰囲気をしっかりと持った憑依感も、
それらに負けないだけの根本宗子の基準線の作り方や鋭くめげない突っ込みも、
役者の幾つもの引き出しで描かれ、場に圧倒的な熱を生みつつ、
語の流れを崩したり破綻させることがない。
戯曲が紡ぎあげるキャラクターの重なりというか、
刹那ごとに猫の目のように変わっていく関係性が、
単なるカオスにならず、時間の流れとともに、
観る側を幾重にも追い込んで・・・。
またその中で、舞台の隅から満を持して登場する宮下雄也(29日)、緑川陽介(5日)の、
その雰囲気jを受け取り更に際立っていく感じにも瞠目。
女優・男優を問わず、
役者達ひとりずつに、がっつり脂がのっているなぁと思う。

熱するだけ熱して、
すっと物語を裏に返して、
ラストもしっかりと冒頭の「馬鹿じゃないの」にくくっておとして・・・、
そりゃ鮮やかなものでした。
上演時間からすると短編の部類なのですが、
観終わった時点でのエネルギーの消費度は、
長編に引きこまれ続けたとき以上かも・・・。
役者の方たちにもタフなお芝居なのかもですが、
観る側の満たされ方も尋常ではなくて・・・。
しかも観終わって、
シンプルに面白かったという満足感以外に残るものがあまりないのも、
コメディとしての完成度の賜物に思えて。

まあ、どこが投稿演劇なのかよくわからなかったり、
そのタイトルも最後に帳尻を合わせた感はあるのですが、
そのラフさまでも笑いにしてしまっているような部分が、
個人的にはさらにツボだったりもして・・・。

戯曲の秀逸と役者たち一人ずつの力量を
ほんと、たっぷり楽しませていただきました。

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