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天才バカバッカ『ウェルカム・ホーム』舞台を捌き物語を組み上げる

2013年4月21日マチネにて天才バカバッカ『ウェルカム・ホーム』を観ました。
会場は中野テアトルBONBON。

出演者の数にちょっとびっくりしましたが、誰一人埋もれることなく、
舞台が組みあがって。ばらけることなくきっちりと、観る側を取り込んでおりました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本 : ゆるボーイゆるガール

演出 : 桐野翼

出演 : 木村昴、野村龍一、岩井七世(イトーカンパニー)、柊瑠美(ファザーズコーポレーション)、田中美晴(アミューズ)、梨里杏(レプロエンタテインメント)、若林時英(レプロエンタテインメント)、レノ聡、熊野直哉、ZiNEZ(digress-lab)、久仁明(RUF)、木下俊、加藤美佐(アトミックモンキー)、田部圭介、小川逹也(劇団ジャイアント・キリング)、佐々木翼、真嶋一歌(リジッター企画)、津賀保乃、竹内拓也、木村ゆめこ、村井みゆき、高野宗大(演劇集団白紙)、海口ゆみ、轟もよ子(劇団未成年)、田村将一、桜弓正和(アヴィクション)、東慶光、吉留明日香、横内のぞみ、脇田美帆、山田勇亮(劇団今夜が山田)、池田大樹、佐藤シャミーナ、筒井亜由貴(ヰ常集団Un≠i)、木村萠子

一時はやった貧乏大家族の話を借景に、
テレビの世界の裏表や、外国人就労者から老人問題までも
物語に紡ぎこんで・・・。

でも、それらがカオスに陥らせない、
舞台の研ぎ方があって・・・。
観る側を醒めさせたり飽きさせたりせずに
物語の顛末に繋ぎとめていきます。

一番感じたのは、ロールたちが
物語に切り捨てられることなく、舞台にしっかりと刺さっていること。
特に家族それぞれを描き分け切り出す切先があって
役者たちも、実直にそれぞれのキャラクターを
自らが背負うシーンの主人公の如く
よく支えていて。
この描き方があれば、
家族をもう数人増やしてもやっていけそうな気がするくらい。

また、テレビ局や家族を取り巻く人物たちにも、
物語の背景を徒にステレオタイプにしない個性があって・・・。
舞台をカオスに落とすことなく、
世界をしなやかに膨らませていきます。

過去と今の時間の描き方も、あいまいにしていないし、
兄弟たちにしても、名前の工夫や演じ方が
くっきりしていて、
分かりやすさに対する配慮がいろんな部分に行き届いている。
その上で、為されるいろんな誇張や踏み外し方が
裏地が作られているので、よく生きるのです。

また、ショー的なシーンもよく作りこまれていて
ちょっとくせになるようなキャッチーな感じもあって。
へたうまっていうんですかねぇ、
その表層にベタだなぁと思いつつも、
内側は決してルーズではなく、細かくしっかりと組み上げられていて、
緻密に味付けされたベタさだからこそ、
うまうまと乗せられてしまうことが楽しくもあって・・・、
なんだろ、日本人的に心地良いエンタティメントのテイストに
どっぷりと浸らせて頂いた感じ。

正直なところ、舞台のミザンスや
シーン間の密度などもところどころバラついているし、
いろいろに冗長な部分もあるし、
全てがきっちりと研ぎあげられた舞台というわけでもないのですが、
むしろ、作り手のストラテジーとして
末端に至るまであえて作りこむことをせず、
要所をきゅっと締めてまとめあげた感があって。

作り手の術に乗せられ
なにか、知らず知らずのうちに、
舞台の世界に取り込まれて、楽しんでしまいました。

余談ですが、アイドルグループのブルーのキャラクターが
個人的に妙に引っかかって(褒め言葉)。
その踏み出しの中に、
どこか、素敵な温度の低さがしたたかに作りこまれていて、
それが物語にすっと別の感覚を差し込んでくれる。
そんなに前にでるロールというわけでもないのですが、
何とも言えない本当に良い味わいがあって、
やたらと目を惹かれてしまいました

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