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石原正一ショー『筋肉少女』表層の粗さが引きだす密度の味わい

2013年5月1日ソワレで、石原正一ショー『筋肉少女』を観ました。

会場はこまばアゴラ劇場。

作り手ならでは舞台のテイストを、東京の舞台で堪能することができました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本・演出・出演 : 石原正一

出演 :丹下真寿美、永津真奈、中谷真由美、森口直美、西村朋恵、西分綾香、渡辺綾子、鈴木ちひろ、吉陸アキコ、石原正一、南勇樹、中道裕子、今奈良孝行(5/1 日替わりゲスト)

ベタといえばベタだし、
安易といえば安易な物語の顛末だとはおもうのです。
でも、役者たちには、
ドラマだけを追わせるだけの緻密さに縛られず、
それぞれのベクトルで観る側を舞台に引っ張り込む
さまざまな力があって。

観る側にいらんことを考えさせない、
こういう物語の展開だからこそ映える
役者達の個性にあれよとはまる。
舞台に置かれる作り手一流のメリハリの醸し方も実にしたたかなのですよ。
牛丼屋のミザンスの作り方とか役者たちの細かい動きに舌を巻く。
さりげなくクラシックバレエの引き出しをつかったり、
切れのある側転が飛び出したり・・
力技で描く格闘シーンにも
観る側を巻き込むに十分ないろんなユニークさに満ちていて。
ダンスなども、役者さんが為すクオリティではあるけれど、
そこには舞台の流れにしなやかなふくらみを作りだす華や勢いがキメ方があって。
よしんばシーンごとのトーンや、会話や所作に、
表層のチープな感触があったとしても、
それをチープなままで投げ出さないだけの、
役者たちの表現のふくよかさや、ここ一番でのパワーが裏打ちされていて、
一瞬チープに感じるからこそのさらなる踏み出し感とともに
きっちりと笑いに染め変えられていく。

役者たちの表現する色が、
束ねられていても均一化することなく、観る側に伝わってくるのも良い。
けっこう無茶をしているなぁと思わせる部分もあるけれど、
その無茶に完成度があって、観る側を引かせるのではなく、
突き抜け感にまで導き
観る側を前のめりにさせてくれる。
表現のべたな肌触りの斬新さが、
やがてはとても味わい深く感じられ、
役者さんたちの、他の舞台でみせる引き出しとは一味異なる、
遊び心を解き放ったしっかりと体を張ったお芝居が
舞台にコメディとしての質量をしたたかに作り出して。

なんだろ、舞台をあからさまな完成度に塗りこめず、
恣意的にアラを作ることで、
舞台に空気がとおり、火が付いて、
熱を生み出していくような感じがあって。
また、コテコテというのとは一味違った、
この作り手的な切れが舞台にあるので、
観ていてもたれたり飽きたりすることがない。


観終わって、役者達それぞれの個性が
くっきりと印象に残る。
首都圏では中々見ることができない、
関西を主戦場として活躍の役者たちの
いろんなテイストにも強く惹かれる。

実績をもった劇団の強さというか、
この語り口だからこそ観る側が受け取りうる果実のようなものが間違いなくあって、
たっぷり楽しませていただきました。
面白かったです。「

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