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ロ字ック『タイトル、拒絶』男には分からない感覚がありつつも・・・

2013年2月13日ソワレにてロ字ック『タイトル、拒絶』を観ました。

会場は新宿御苑前のサンモールスタジオ。

描き出される女性達の感覚に、男性には受け取りきれないような生々しさを感じつつ、
でも、その先に描かれる、日々を生きる感覚に深く捉われました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本・演出・出演 : 山田佳奈
出演 : 川原真衣、山田佳奈、大数みほ、踊り子あり(はえぎわ)、熊野善啓(チャリT企画)、堤千穂、長井短(劇団半開き)、野田慈伸(桃尻犬)、葉湖芽、日高ボブ美、もなみのりこ(チェリーブロッサムハイスクール)、竜史(20歳の国)、東ゆうこ

舞台にはデリヘルの待合室が組まれ、
でも、世界にはそれを全てとせず、
その外側を感じさせる余白が作られていて。

最初のうちは、どこか猥雑で雑多な雰囲気に目を奪われるのですが、
次第に場が解け、エピソードが重なっていく中で、
その場がデリヘル嬢の控え室である以上に、
様々な個性がひとつの束ねを失い
吹き溜まった場所に見えてくる。

正直なところ、男にとって、
舞台上の女性たちにそのまま感情移入をすることには
難しい部分があって。
登場人物の台詞にあった、
女性がトイレットペーパーをなぜ沢山使うのかわからないというのと同じで、
仲間意識も、嫉妬も、ヒエラルギーも、愛情の抱き方も
たとえば、金で体をゆるすという感覚などにしても、
概念や対岸の風景としてイメージはできても、
実感として理解できているわけではない。

でも、個々のシーンへの直観的な理解はなくても、
女性達のその場所にあるがままにあり続けることの感覚は、
空気の粒子がしみこむように
舞台からじわじわと伝わってくる。
デリヘルの世界に役者達が描き出すキャラクターが、
それぞれに個性をしっかり持ちながら、
個々の色に貫きつつ 、変わることなく、その場にあり続けていて。
傍若無人であっても、滑稽であっても、
熱くなっても、醒めていても、愚かであっても、
キャラクター静謐な時間や修羅場があったとしても、
そこに吹き溜まる風情に変わりはない。
世界の外側に表現される、
目の回るような都会の時間と、そして訪れる日々のなかで
いろんなタイプの女性達が、
その場所で、同じ質感に浸されながら
体を売り続けている・・・。
シーンが重なる中で、舞台は禍々しさに満ちて・・・。
でも、そのなかに、
次第にエピソードたちの表層とは異なる感覚が現れ、
喧騒の向こう側に広がっていく。

男が、女性たちのありようをののしって総スカンを喰うシーンに
彼女たちがその場に生きる感覚の裏面が露わにされて。
点かないライター、
そして妊娠した姉が自らのライターで火を点けるシーンに
浮かんでくる姉の踏み出しの感覚に、
No.1だった一人の女性の
鈍色のたとえようのない心風景が広がって。
売ろうが、買おうが、揉めようが、ぼやがおきようが、
ぐるぐる回って、でもそこから舞い上がることのない
吹き溜まりの枯葉の如き女性達の心風景に心を捉えられて。
その感覚は終演後も霧散することはありませんでした。

役者たちも秀逸、同じ色を貫く中に、
ロールの個性がしなやかに描き出すふくよかな力があって。
その想いの隠れ方や晒し方も、
ステレオタイプでないナチュラルさとともに紡がれていて
刹那を平板にしない。
垣間見える表見とは異なる閉塞も
始まりと終わりではなく、
ぐるぐる回る感覚として
観る側に共振するように描き出されて・・・。


個々のエピソードについては
男性と女性で受ける感覚が異なるのかもと思いつつ、
終演時には、その領域を超えて日々を生きることのコアにまで導かれて。
作り手の力量に目を見開いたことでした。

従前の作り手の作品たちと比べても、
描き出されるものが、よりくっきりと研がれ、
描かれるものに深さが感じられて。
今後の作品が実にたのしみになりました。

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