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TOKYO PLAYERS COLLECTION『IN HER TWENTIES』再演に引き継がれたものと踏み出したもの

少し遅くなりましたが、2013年2月7日ソワレにてTOKYO PLAYERS COLLECTION『IN HER TWENTIES』を観ました。

会場は王子小劇場。

この作品、初演を2回観ていて・・・。
その語り口で描かれるものに息を呑んだ作品。

今回は、再演でしたが、
観終わって、改めて、描かれる世界の瑞々しさに
心を奪われました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください。)

作・演出 : 上野友之

舞台や物語の構造は初演のときと同じ、
ただ、私の如く再見で観る側もそうなのですが、
多分作り手側にも、演じて側にも、
その世界の構造から映し出されるものへの理解が
初演のときより一歩深いところにあって。

作品としての空気の組み立てやつながりの仕掛けがよりしなやかになり、
その分、役者たちも、そのロールの1年毎の時間を、
より個性を深くして
受け渡しをしていたような気がします。

その結果、其々の年代に訪れたものや想いが、
初演よりもう半歩ずつクリアになり、
全体として、描かれる女性の記憶の重なりや思索が
こころもちフォーカスを深くして覚醒した感じがして・・・。

小さなエピソードたちが
心に浮かぶ如く様々な刹那の肌触りを
舞台の中央に重ねていきます。
異なる会話に同じ言葉を挟みこんで
時間とニュアンスの記憶が幾重にも広がっていく。
良き時も、悪しき時も、
追いかけていたものも、諦めたものも、
半円に置かれた役者達が紡ぎだすロールが抱く記憶と、
時には未来への想像に編みあがり、
その時間に流れが生まれ、
20歳の今と、30歳に至る今が
10年を内包してすっと束ねられる。

ひとつずつの1年に、
役者達が表層的に醸すものだけではなく、
次第に現れてくるものや、
時の流れとは異なる想いの流れがあって。
新しいキャストが演じる時間には、
従前のキャストとは異なる肌触りがあり、
再登板組も異なるロールを紡ぐ
ことで、
垣間見えるものが、
初演の彼女たちとは、また一味異なるテイストに染められていて。

初演と同じ仕掛けの舞台に、
ほぼ同じエピソードが組み上げられて、
でも、観る側に訪れる女性の色は、
初演の女性のものとは、ほんの少し異なって感じられる。
それが、舞台に編みあがるものに、
さらなるビビッドさやライブ感を与えて。

役者のこと。
松永渚には、物語の始点をくっきり描く力があり、そのロールに見えるものに留まらず、作品のなかで他のロールから浮かび上がるものを際立たせるような作品としての枠組みを作り出していて。
平井志乃は、演技に硬質さを作り出しつつ、希望とまだ解け切れない想いの翳りをすっと立ち上げて。舞台に置かれた時間たちに凹凸を組み上げていく。
榊奈津美には、一歩進みつつ前の陰に映えさせる陽の質感を溢れさせる演技の切先とパワーがあって。またロールの幼さを大人の女性に変貌する初々しさに染め変えて。
井上千裕には、思うに任せないことと希望のそれぞれを一つのキャラクターに縒り合せて、それをとても自然に感じさせる演技の強さとしなやかさを感じる。
斉藤麻衣子が心に抱く閉塞には、観る側を概念から実感に惹き込むような想いの解像度があって、その感覚にロールを塗りつぶすのではなく、あくまでもそれをロールの日々の質感として描く表現力に目を瞠る。
南波早は、ロールの一色で描くと薄っぺらくなってしまうような立ち位置のあいまいさを、キャラクターにナチュラルな実存感を与えることで深さに変えて。
吉川莉早は単にキャラクターの想いの立ち直りを表現するにとどまらず、それまでの時間がロールに与えた厚みをその演技に紡ぎこむしたたかさで、作品の時間軸をしなやかに支えていく。
甘粕阿紗子は、ロールのどこか疾走にも似たグルーブ感や高揚を単に勢いだけにとどめず、その内心にあるものを透かすように垣間見せて。
土屋麻悠子からは舞台の色に流されることのない、諦観と背負ったものとそこから再び歩み出す一歩の質感が伝わってくる。
そして、それらを受け止める冬月ちき には、物語を背負いつつ、それを終点とせず、さらに新たな始まりに感じさせるビビッドさがあって・・・。

舞台に編みあがっていく時間に引き込まれ、
舞台を編み上げていく役者達の一人ずつの時間に
心を揺らされつつ・・・。
でも、2011年の女性とは異なる、
2013年の女性のはじめてみる素顔に
新たに心を惹かれたことでした。

この作品、時間に染まらないフォーマットと
一期一会で描かれる女性の素顔が、
普遍を持ってその都度新しい。

よく見知った作品であるはずなのに、
残された感覚が、とても新鮮に感じられたことでした。

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