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踊れ場「高円寺純情商店街でロミジュリ」それは鮮やかな今風シェイクスピア

2012年12月12日ソワレにて踊れ場「高円寺純情商店街でロミジュリ」を観ました。

会場は新宿シアターブラッツ。

正直なところ、この公演の仮ちらしを見た時には、女優ひとり、男優30人で
どんな舞台をつくるのか全く想像ができませんでした。

しかし、実際に作品に触れると、
その企てには、観る側を凌駕するに十分な作り手の創意があって。

舞台上に現出した今様の沙翁ワールドに、
きっちりと取り込まれてしまいました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

原作 : W.Shakespeare 「ロミオとジュリエット」

脚本・演出 : 池亀三太(ぬいぐるみハンター)

出演:榊菜津美、赤本颯、浅見臣樹、池亀三太(ぬいぐるみハンター)、伊福覚志(ま夜中散歩)、海田眞佑(劇団ウミダ)、加藤好昭(劇団820製作所)、岸野健太、木村庄司(劇団かさぶた/OFFICEBLUE)、狐崎崇史、鼓毒丸、佐藤大顕、ジミー小西(レティクル座)、下津間淳志、竹内拓也(天才劇団バカバッカ)、田島慶太、田代雄亮、津和野諒、野口オリジナル(ポップンマッシュルームチキン野郎)、長谷川慶明(ロリポップチキン/今夜が山田)、東山拓広(劇団ハイデンカン)、ヒョイクスピア、古木将也、増森剛大、山内大輔、山田勇亮(劇団今夜が山田)、横山将士、吉田壮辰、萩原達郎(犬と串)

想像もつかない女優1人に男優30人でしたが、
始まってみると本当にそういう絵図でした。
その中で、最初の登場シーンから、ヒロインが映える。
女優が男優の数に負けていない。
でも、だからといって、
男優たちが唯の引立て役に置かれているだけではないのです。、
人数をかけて素舞台に舞台美術的な役割をこなす役割も果たしつつ、
ロールを纏い、それぞれの役者としての力量で
シェイクスピア戯曲に
トラディショナルなスピリットを紡ぎこみ、
今様に織り上げていく。
立ち上がりからそのボリューム感に圧倒され、
したたかに翻案された
時に滑稽に、あるいは強くクリアに浮かび上がっていく物語の
シーンの一つずつにのめり込んでしまって。

その流れの中に置かれた、
有名なバルコニーシーンなども実に秀逸。
八百屋さんの一人娘の中学生は
貴族の娘の如く優雅でも気品溢れるわけでもないけれど、
切っ先とともに舞台に編まれるジュリエットのロールの、
そのテンぱりようや言葉の歪みようが、
14歳の少女の胸いっぱい感やどきどき感を
観る側に真直ぐに突き刺して。
下世話で超今風でもあり滑稽で、
でも、何世紀をも跨いでの乙女心の動揺の普遍と、
商店街の娘の風情が鮮やかに縒り合さって、
ビビッドでありつつ、
原典にも紡がれた深く心を掴まれるような
男女の想いの姿へと紡ぎあがって。
シーンが持つべきときめきと今を纏ったリアリティが
しなやかに一つの場面に織り上げられ
池亀三太の創意の鮮烈さと
それを支える榊菜津美と朝見臣樹の醸す時間のビビッドさを
がっつりと受け取ってしまう。。

舞台からこぼれ出すような数の男優たちだって、
誰一人として単なる賑やかしではなく、
演じる強い意志と気概を漲らせてロールをガッツリ抱き
表現をなしていて、
そのテンションの重なりが舞台を支える確固たる力として機能していく。
一人ずつのキャラクターが埋もれないからこそ、
舞台として興ざめすることなく生きる主人公たちの世界があるというか、
物語に厚みが形成され、
ロミジュリという戯曲に内包されている
普遍を今に今に映えさせていく。

そうやって組みあがっていたロミオとジュリエットの物語だからこそ、
ラストの突き抜けにも違和感はまったくありませんでした。
シーンの重なりに
悲劇の構図だけでは収めきれないものが幾重にも満ちて、
最後の役者達のパワーに解き放たれていくようにも思えて。

拝見したのが初日ということで、
演技のクオリティについては
若干のバラツキを感じたりもしたのですが、
それとて、必ずしもネガティブな印象というわけではなく
この舞台がさらに進化していく予兆にも思えて。

演出家の作品の切り取り方と演出の冴えに目を瞠り、
その勢いにぐいぐいと巻き込まれて・・・。
舞台からこぼれ出るシェークスピアのスピリットに浸され
さらには沙翁の普遍から突き抜けた
描かれるものの今にまで導かれて。

ほんと、時間を忘れて楽しませていただきました。

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