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蜂寅企画「沈黙のしらぬゐ」最後まで解ききる作劇の冴え

2012年9月5日ソワレにて蜂寅企画「沈黙のしらぬゐ」を観てきました。

会場は西武池袋線東長崎からほど近いてあとるらぽう。

物語を最後まで解ききる作家の力量に目を瞠りました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください。)

戯曲・演出 : 中尾知代

出演 : 島田紗良(クレイジークライマー)、安田徳、堀畑杏奈、山口紗貴、ヲギサトシ、浅倉洋介、斉藤太志(UISHAAAWORKS)、中村史輝

物語の外側が観る側に形作られていく前半は、
夏の江戸の風情や、
人形の外連が観る側を舞台に引き留めて・・・。
役者たちが織り上げる雰囲気に
川風が流れていきそうな感じすらして・・・。

その舟が三途の川の上流に入ると時間の舫いがすっとほどけ、顛末とそこにそれぞれが背負う因果がひとりずつ、そしてそれぞれの物語としてほどけていく。
歌舞伎のような大上段での「しかとご覧あれ」みたいな大仰さがないので最初は怪談じみた意趣返しとか謎解きの印象はあまりなく、てもしなやかに江戸の市井の時間の中に
重なりあった記憶がひとつずつ、観る側に置かれていく感じ。
それがふいっと気が付けば、冥府との端境を流される舟に乗せられた登場人物たちの
視野に入ったものや心の移ろいの重なりにその語り口を変えて、想いのリアリティを順番に剥ぎだしつつ、一人の女性の死の道行きを描き出していく。

役者たちの醸し出す個性も時代の規律にしっかりと染められつつ、とてもナチュラルに伝わってきて。端々に江戸の暮らしの匂いを漂わせつつ、ロールが抱く想いのコアを観る側の感覚に違和感なく描き出す。
なんというか、それぞれの演技に異なった戯曲との相性の良さがあって、それが舞台全体のふくらみへと変わり時代劇というジャンルにどっぷりであるにも関わらず観る側にその刹那のキャラクターの生々しい思いをしなやかに流し込む力を感じたりも。

やがて、物語は、狂言回しの人形遣いと揺らぎ進む舟のきしみに促された、いくつもの一人語りの態であけすけに放たれた思いの重なりに綺麗に内の内までバレきって。
一人の女性の死を介しての絡まる想いは切なく幾重にもほどけ、それぞれの糸に正されて観る側に置かれて・・・。登場人物それぞれが背負ったものとの足掻きの先に一本の首つり組みひもから引き出された悲劇の構造が鮮やかに浮かび上がる。

しいて言えば、初日ということにあってか、冒頭の部分の密度にすこしルーズな部分を感じもったいなく思ったり。
そはが締まればラストシーンがもっと鮮やかになったかなぁと。
とわいうものの終わってみれば、時代劇というキャンバスに書き込まれた人が持つ想いのありようそれぞれにしっかり捉えられ、作者の力量をしっかりと感じておりました。

ベタな言い方ですが、ほんと、面白かったです。

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