エビス駅前バープロデュース「葬式クラス 28期」最適な年齢を役者が纏う
7月3日ソワレ(遅い回)にてエビス駅前バープロデュース「葬式クラス」を観ました。
この公演には年齢が上の役者達が演じる28期と若い役者達が演じる44期バージョンがあって、
わたしは28期分を拝見。
入り口で合言葉を言って割引をもらい(笑)、ドリンクを買って席につき、
開演を待ちます。
(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)
作 :米内山陽子
演出 :広瀬格
出演 :萩山博史 伊藤信隆 岡見文克 金崎敬江 篠原あさみ
この作品初演も観ていて、
その時の骨組みしっかり記憶していて・・・。
ちょっと奇抜な設定ではあるのですが、
とてもおもしろかったのですよ。
で、その骨組みの中に、今回の出演者のテイストが
しなやかに織り込まれていて、
記憶の断片に半ばあてがきが作品のディテールに重ねられ
単なるリプロダクションにとどまらない新たな奥行きが
舞台からやってくる。
ベテランの域にある役者たちのキャリアが
そのまま舞台の設定や織り上がる色を
しなやかに映えさせていきます。
脚本の力というか設定が、
其々の秀逸な演技力での
キャラクターたちのさりげないデフォルメに映え
さらなるもう一歩の味わいを導き出していく。
シーンごとにキャラクターひとりずつの背負うものが
すこしほどける。
その質感の重なりが観る側に残りつつ、
他の物語が重ねられて、
呪われたように繰り返される
葬式ごとに舞台に垣間見えるものから
個々の過ごした時間や想いにとどまらない
同じ時間の流れに幾度も重なった
同級生たちならではの愛憎や連帯感が生まれ
観る側をも巻き込んでいく。
役者達もロールたちの時間を気負いなく纏い
自らの色に染めていく。
その、大上段に振りかぶらないしなやかなお芝居の力が
クラスメイト独特の距離感に観る側を浸して。
いい年した大人たちの容貌に、
彼らの学生時代の雰囲気や
クラスの男子・女子みたいな空気の肌触りが
絶妙に醸し出されて・・・。
また、バーのタイトな空間が
その肌触りを霧散させることなく、
しっかりと観る側を浸し込む。
そして、そのベースをもった視座だからこそ
浮かび上がるキャラクターの色合いや
俯瞰しうる彼らの齢の肌触りがあって。
彼らが作り上げた時間の
ちょっとビターで、どこか懐かしく、
そこにまた帰ってきたくなるような居心地をもった舞台の余韻が
終演後もしばらく抜けませんでした。
ちなみに44期バージョンは観ることができなかったのですが、
知り合いに聞くと、初演に近い設定や演出だったとのこと。
観ることが出来なかったのが残念に思えたことでした。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント