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範宙遊泳「夢!サイケデリック!!」観る側が委ねうる閉じ込められ感

2012年4月25日ソワレにて範宙遊泳「夢!サイケデリック!!」を観ました。
会場は小竹向原のアトリエ春風舎。

その世界に嵌りこみ4月29日マチネにて再見しています。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

作・演出・出演:山本卓卓
出演:大橋一輝、熊川ふみ、埜本幸良、山本卓卓、福原冠

全編、夢の話でした。
でも、それが結論ではなく始まりになるところに
この作品の秀逸さがあって・・。
描かれるものに
ぞくっとくるほどにリアルな夢の質感があり
たぶん、観る側がいろんな取り込まれ方をする
作品というか・・・。

きわめて私の例でいうと、
何もないところから
言葉としぐさで世界が素描されていくような冒頭、
学校の授業での
夢の話に行くあたりまでは
物語を完全に外側から見ていた。
授業の風景を語られた夢との対比の中でそのまま眺める。
その授業の雲行きがかわり
夢がさらに外側に覆いかぶさってきても、
まだ夢の構造を意識しながら
舞台を追いかけていたように思う。
ピンポン玉から広がるものや電気製品の変態に
目を奪われても
それらをまだ、舞台上の出来事として眺めていた。
ルーズなエピソードの掛かり方やその崩れ方も
理性のフィルターを通じて受け取って
醒めた感じで見ていたような気がする。

それが、目覚めた刹那の夢のシーンで
決定的に視座を変えられて・・・。
一旦、夢の感覚から離れたものが
さらに深い夢の世界に塗り替えられた時、
もはや、それは夢の外側ではなくなっていて。
ついには、作り手の圧倒的な質感の描写力に
観る側としての立ち位置が
塗り替えられてしまって・・・。

夢の中にいる意識、
シーンのつながりの歪みがそのままナチュラルに入り込んでくる・・、
抜け出したい欲望と
やりようのないままにそのままに委ねてしまう感覚の
端境感・・・。
時にはコミカルに、あるいは極めてリアルなビジョンとともに
描かれるシーンの解像度に目を奪われる。
マクロな広がりと刹那の感触が
夢の世界だと当たり前のように同居する。、
事象や世界の俯瞰と
恋人との刹那の時間の肌触りが混在した
醒めない夢をずっと巡り続けている閉塞感・・・。

役者たちも上手いのですよ。
感覚の主体が戻る先を背負い続けたり
しっかりとした切れで存在の軽さを描き上げたり
ベースのトーンを塗りつぶしたり
献身的な演技の継続でシーンを絶妙に結びつけたり
あるいは貫いていったり・・・。
それらの重なりから
夢の外面と内面を立体的に編み上げられていて・・
嵌る・・・。

秀逸な現代絵画の前に立ち
時間をなくしてその世界に捉われてしまったような
そんな感覚に染められての終演。

初日ということもあり、
微小なバリのようなものはあったのですが
公演を重ねれば
それも含めて
なにか味わいに変わっていくような予感があって・・・。

で、時間の都合がついた瞬間に
楽日のマチネでの再見決定!

今度は開演時から夢の世界にダイブしてしまう。
正確に書くと、冒頭の部分はやっぱり夢の外側にいて
でも、あっという間に視座が夢の内側に移る・・・。
役者たちがシーンごとに描きだすものの質量の変化が、
初日よりもスムーズになっていて、
シーン崩れやの移していく感覚が
夢の肌触りとして、よりリアルに感じられて・・・。
うまく言えないのですが、
舞台上の夢の世界の感覚に身を委ねている自分と
それを客観的に感じている自分がいて、
同じ時間に存在しながら
鏡のむこうとこちらで動きが違うような違和感が降りてきて
ちょっととまどう。
でも、それって、
舞台上にも描かれていましたが
夢の中で夢であるということを自覚するような感覚にも
似ていて・・・。

終演後、次の予定があって
さくっと劇場を出たのですが、
その際にもどこかがぼぉーっとしている部分があって・・・。
また、劇場から地上に上がる螺旋階段が
その感覚を助長してくれたりもして・・・。

とりあえず舞台上の世界から抜け出すまでに
いつもの倍くらいの時間がかかってしまったことでした。

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 接待のマナー | 2012/05/05 14:12

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