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Q「地下鉄」歪に見えても豊かにひろがる

2012年5月4日マチネにてQ第三回公演「地下鉄」を観ました。
会場は板橋駅から徒歩6-7分ほどのアトリエセンティオ。

初見の団体でしたが、舞台からやってくるもののテイストが
とても新鮮に思え
観る側に晒されるある種の歪さに裏打ちされた
豊かな魅力を実感することができました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

作・演出 : 市原佐都子

出演 : 相原洋平 飯塚ゆかり 木村愛子 吉田聡子

場内に入ると、既に役者は舞台にあり
緩やかなテンションが形成されていて。
最初はぼっと眺めていたその絵面が、
ミラーボールや装飾のたくさんの電球が時々触れ合う音で
次第に観る側の感度を研ぎ澄ませていく。

観る側にとって起点になる部分は
電車の中での男女の視線の交錯なのですが、
そこから膨らんでいく世界が、
想定から半歩はみ出した展開でドミノのように広がり
観る側に舞台上のキャラクターに対する視野を組み上げていく。

動き、リズム、印象の重なり・・・、
さらには名前の響きに音で裏地をつけたり、
映像を差し込んでみたり、
キャラクターの個性をちょっと冗長に描きだしてみたり、
ロールからロールを演じる側への踏み出しを紡いでみたり・・。

その果実として観る側に降りてくる世界には
奥行きがしたたかに描きこまれたた部分と
恣意的に表見の質感で転がされた部分が同居して、
不思議なテイストが醸し出されて・・・。
それが、いたずらに歪なものとしてではなく、
視座を変えてのリアリティとして
観る側の感覚をすっと立ち上がらせるような食感を醸しながら
入り込んでくるのです。
電車の中での刹那から、
積み上がっていくものが
観る側の受け取る感覚とは別のフォーカスに導かれてふくらむ。
素の感覚と
したたかにデフォルメされ奥行きを醸しながら描きこまれた部分の
素敵に中途半端な(褒め言葉)混在に
リアリティが醸し出されて
さらにビビットな質感へと育まれていく・・。
なんだろ、上手く言えないのですが、
ビターでどこか薄っぺらいのだけれど、
でも、しっかりと地に足がついた
陰性(褒め言葉)と陽性の混じり合った高揚に
次第に浸されていく。

役者たちにもキャラクターに様々なアスペクトを作りだす、
豊かな表現力とパワーと瞬発力があって。
舞台上のテンションや
一義にまとまり切らないことへの創造性や
発せられる
揺らぎや熱にもしっかりと掴まれて。

作品として面白かったし、
表現に対して実直で自由な遊び心も
観る側をしっかりと惹きつけるセンスに溢れていて・・・。
多くの表現たちからは異なる洗練が生まれる予感もあって。

べたな言い方ですが、
観ていて楽しかったし
作り手のさらなる多層的な可能性を感じる作品でもありました。

次の公演も、是非に観たくなりました。

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