« 文月堂「へちま‐糸瓜‐」丸まり切らない個性に惹かれる | トップページ | 範宙遊泳「夢!サイケデリック!!」観る側が委ねうる閉じ込められ感 »

北京蝶々「オーシャンズ・カジノ」作家と演出の幸せな相性

2012年4月18日に北京蝶々「オーシャンズカジノ」を観ました。
会場は王子小劇場。

4月27日に再度観劇。

理屈抜きの面白さに魅せられました。

(ここからネタばれがあります。十分ご留意ください)

作 : 大塩哲史
演出 : 池亀三太

出演: 帯金ゆかり 森田祐吏 田渕彰展 鬼頭真也 堀越涼 ザンヨウコ 中村早香 岡本篤 浅利ねこ 甘粕阿紗子 亀田梨紗 堤千穂 安川まり 竜史 笹木皓太 飯塚美花 鈴木成美

導入部から、前半の展開、
さらには中盤以降の物語の圧倒的な膨らみと
きっちり作りこまれていて。

冒頭の役者の躍動感にぐいっと引き込まれる。
そこから観る側を休ませることなく
物語が重ねられていきます。
ギャンブルに対する様々なスタンスがしたたかに描き出される。
特に最初は距離を置いていた人々が
次第にのめりこんでいく姿の描写がまず秀逸、
チャイナドレスの女性たちには
単なるセクシーさや愛らしさだけではない、
キャラクターとしての存在感があって、
観る側をも巻き込むような
ギャンブルの高揚を一人歩きさせず
博打に踊るものと踊らされるものの
表裏をしなやかにあぶりだしていく。
ダンスや動きのキャッチーなルーティンと
ライティングの秀逸がかもし出す
理性の舫が外されていく感触、
スタッフや清掃係、そして侵入者の思惑や想いも
役者たちの演技に支えれれ
しなやかに織り込まれ
その奥行きを垣間見せていく。
物語のメリハリの中に伏線もしなやかに置かれて・・・。

そして、後半には、
観る側の想像からの踏み出した骨格が
組み上げられていきます。
流れの中での
何度かの大勝負の行方には、
ぞくっとくるようなテンションと緊張感があって。
マイクで差し入れられる刹那の状況に
精緻なタイミングと切れがあり
賭け金のエスカレートしていく態に
温度と痺れるような刹那が削ぎ出されて、
観る側までがその熱に引き込まれる中で
戯曲に描かれた
この国の地方の現実や権力のダークな部分が
鮮やかに引き出されて。
最後の大勝負を演じる二人の空気には
舞台上だけではなく、観る側までが息を呑む。
このシーンの勝負を背負う二人のマジさは、
筆舌に尽くせないほど凄い・・。

物語の収束も鮮やかで、
場を取り押さえる役者がクールに世界から熱を奪い、
舞台も観る側までもが、
すっと緊張から解放されて・・。
知らず知らずのうちに
ギャンブルの魔力にとりつかれて
勝負に巻き込まれながら
それまでの場面を観ていたかに
初めて気がついて・・。

其々の過去の作品をみて実力は存じ上げていたのですが
この作家が書き上げた骨組とこの演出家のスタイルに
こんなによい相性があるとは思いもせず、
本当におみそれいたしました。
社会派的な視座をもった演劇としても
極上のエンターティメントとしても
がっつりと楽しませていただきました。

ちなみに、初日と27日の舞台では
質感の変化もあって・・・。
初日はシーンごとの色がはっきりとしているというか
戯曲の社会性のようなものがシーンごとにがっつり織り込まれて
観る側にぶつかってくるいる感じがしたのに対し
27日に観た公演では、
シーンの間の血管が太くなったというか
シーンが他のシーンと繋がり編み上がっていく実感があり
時代の感覚が個々にではなく、
編み込まれるように
観る側に置かれる感覚があって。
作品が公演期間の後半に、
初日の秀逸さはそのままに
新しい色を加えていることに驚愕。

もう、いろいろに
大満足の舞台でありました。

*** *** 

27日にはおまけの帯金ゆかり一人芝居があって、
こちらも絶品、

設定がきっちり組まれているし、
それを広げる動きの間が抜群に良くて・・・。
所作もしっかり作りこまれていて・・・

演じ手の表現力にがっつり持っていかれ
その底力に改めて舌を巻く。
本編にへたれないインパクトがしっかりとあって。
こちらも大満足でありました。

|

« 文月堂「へちま‐糸瓜‐」丸まり切らない個性に惹かれる | トップページ | 範宙遊泳「夢!サイケデリック!!」観る側が委ねうる閉じ込められ感 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 北京蝶々「オーシャンズ・カジノ」作家と演出の幸せな相性:

« 文月堂「へちま‐糸瓜‐」丸まり切らない個性に惹かれる | トップページ | 範宙遊泳「夢!サイケデリック!!」観る側が委ねうる閉じ込められ感 »