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ジェットラグ・プロデュース「小田急線で会わせに行きます」小さなスペースの大ネタ

すこし遅くなりましたが 2012年3月19日ソワレにてジェットガールプロデュース「小田急線で会わせにいきます」を観てきました。

会場は新宿ゴールデン街劇場。

小さめの舞台スペースに広がる豊かな想いの色をたっぷりと楽しむことができました。

(ここからネタばれがあります。ご留意ください。)

作 :根本宗子
演出:山田洋平

出演: 富田麻紗子(aji) 金沢涼恵(クロムモリブデン)吉田能(PLAT-formance) 佐々木光弘(猫☆魂)

劇場は舞台もそれほど大きいわけではなく
4人がたてば、結構満ちる。
だから、装置にしても
小道具にしても
どこかコンパクトにデフォルメされていて。

その中で演じられる物語も、
流れからすると派手さがあるわけではない。
どこかコミカルさすらもった、
姉妹の姿の描写の態であったりもする。

でも、その土台のなかに組み上げられていく
登場人物の想いの表現には
その舞台の大きさや
様々な具象でのリアリティのそぎ落し方からは
思いも及ばない表現のふくよかさがあって。
シチュエーションの設定や、
会話に織り込まれたウィットを足場にして、
描き出されるキャラクターの内心には
圧倒的な豊かさがあって。

妹やその彼氏、恋の相手・・・、
一人ずつのキャラクターの作り方に
ぶれがない。
だからこそ、姉の心情の閉塞や
箍が外れた時の広がりが舞台を鮮やかに席巻する。

その姉の心情の起伏には、
一色に染まるのではなく
微細に重なり変化していく想いの質感、
さらには観る側にも息を詰めさせてしまう、
半生を背負ったような想いのありようの刹那ごとの豊かさが
紡がれ、織りあげられていて
がっつりと取り込まれる。、
しらっとシチュエーションを組み上げる
作家の技量も実に秀逸だし、
その感覚を場に供する演出や共演者たちにも豊かな技量を感じましたが
なにより、へたることなく貫き演じ上げるこの役者の表現に
直球で心を奪われて。

キャラクターが持つ不器用さが
観る側のいらだちとなり、
躊躇に重なるあやうい解き放たれ感が
観る側のなにかを広げる。
キャラクターの想いに
つぎはぎ感やへたれ感をまったく感じさせない演技は
観る側に、単なる物語の流れだけではない
舞台への肌触りと感慨を残していくのです。
なんだろ、観ているうちに、
脂の乗った噺家が、
どこか脱力感のあるまくらから
大ネタをしなやかな緩急とともに語りあげていくのを聴くような
グルーブ感に満たされる。
噺自体の作り方の上手さや演出の手腕ももちろんあるのでしょうけれど、
なによりも、それを取り込んで緩急をしっかりと置いて演じきる
役者の懐の深さに目を瞠る・・・。
なにか、ものすごく良いものを観たような達成感すら残って。

観終わって、俯瞰しているものの
暖かさとビターな感触が
どこかコミカルで、にもかかわらず
驚くほどにとても愛おしく思えて。
劇場の風情や舞台美術などからは
とても想像しえないような満たされ感が残り、
作り手や演じ手たちの力量に改めて
舌を巻いたことでした。

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