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岡田あがさ・佐藤みゆきリーディング、目が乾くほどに見入る

2013年3月24日 12時の回でオーストラマコンドー、リーディング企画公演を観ました。

会場はCCAAランプ坂アートギャラリー 3.

二人の女優の個性と作品の豊かさをたっぷり味わうことができました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください。)

会場はコミュニティーセンターのような場所で
建物内は広く会場がちょっとわかりにくくて・・・、
迷って入口で伺って会場に辿り着く。

スリッパに履き替えて、階段を下りて・・・
教室を思わせる会場にならべられた
ちょっと懐かしいシェイプの椅子に座り
開演を待ちます

・岡田あがさ「INTIMACY」

構成:三宅伸行
演出:倉本朋幸

物語の概要が見えるまでの時間があって、
でも、役者が醸し出す雰囲気に目を奪われ、
それを時間と感じることがない。
語られ始める物語に引き込まれ、
場の空気と、役者の切っ先をもった視線と、
いくつかの見えない部分の存在のカオスに
閉じ込められる。

コートが具象するジェンダーの切り替えで
物語は複層の視座を持ち広がっていきます。
女優が演じる♂には、演技が秀逸であればあるほど
削ぎ落されていく生臭さがあって、
だからこそ、男には混沌として観ることができない
ある種の感覚がクリアに浮かび上がってくる。
一方、ジェンダーが変わると
描かれる女性の肌触りや想いや息遣いが
観客にも、そして多分役者にも
使いなれた感覚の色で奥行きを組み上げ、
劣情と愛情の混濁をそのままの感触に流し込み
場の空気を染め上げ
観る側を浸潤していく・・・。

終演時には
熱さが冷たい感覚の中に焼きつくような、
クールで、シニカルで、どこかあさはかで、
にもかかわらず心を芯を揺さぶるような風景が
残像のように残り、
役者が部屋を出ていく残像とともに
とてもゆっくりと霧散していきました。

初回だったこともあるのでしょうが、
前半の男性を演じる部分は、
役者としてのテンションをいっぱいに作られた印象。
そこには多分功罪があって、
観る側を物語に閉じ込める力としては、
これ以上のものはないはずなのですが、
一方で、役者のたくさんの引き出しには
さらに、別のニュアンスを創り出す力が
納められているようにも感じました。
もちろん、今回の表現のテイストも
作品としてのひとつの完成形であるのだと思う。
でも、一方でこの役者と作品が持つ可能性のなかに
べつの豊かさが潜んでいるようにも思い
なにかどきどきしてしまいました。

・佐藤みゆき「くちづけ」プレリーディング

脚本 : 成島秀和
演出 : 倉本朋幸


4月にオーストラマコンドーが上演する舞台の
プレリーディング用に作られた作品とのこと。

これがねぇ、本当に楽しいのですよ。
役者の雰囲気に
童話たちの箍がゆっくりと外れて、
やがてドミノが倒れ広がっていくように、
物語が膨らんでいく。

語り口にどこか落語のようなテイストがあって、
不思議に舞台上で上下がきられ、
物語がしなやかに連鎖していく。
マッチやリアルなケーキやお茶を使った
物語のビジュアル化からは
幼稚園の先生が子供に語り聞かせる物語のようなテイストと
幼女の中で一人遊びをする物語の感触が混在するなか、
作品に込められた作り手や演じてのウィットが
溢れだしてくる。
マッチ売りの少女とシンデレラと白雪姫の関係性が
妙に納得できてしまう上に、
そこにグリム兄弟か・・!と突っ込みたくなるような可笑しさまでが
とてもしなやかにやってくる。
でも、これは公演のプレリーディング、
その想像力に歯止めが利かなくなった
クリアなカオスの先にある、
ビターなテイストとともに口を開けた
本編への入口までしたたかに導かれて・・・。

これまでも、表現力のバリエーションには
何度も驚かされた役者さんなのですが、
これまでとは、また別の作品に対する踏み込みがあって、
しかもそれが、しっかりと果実を実らせていて、驚愕。

この役者だからこそ醸しだしえたであろう、
作品の色合いに心を捉われてしまいました。

まあ、作品の肌触りからすると
岡田あがさがシェフとしてメインディッシュを作り
佐藤みゆきがパティシエとしてドルチェを供する・・・
というような感じでしょうか。
メインディッシュにはボリューム感がしっかりとあり
なおかつドルチェをそのテイストに惹かれ別腹でたっぷり楽しめて。

会場も、この公演にはとても似合っていて
とても素敵な試みを楽しませていただけたと思います

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