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コマツ企画「レイプの夜」実はしたたかな内心描写

2012年2月22日ソワレにてコマツ企画「レイプの夜」を観ました。
会場は下北沢楽園。

コマツ企画は公演ごとに、この作り手だからこその強い印象をもらうことができる劇団。
その実力は、ひとり劇団となった今回の公演でもしっかりと発揮されておりました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本・演出/出演 : 小松美睦瑠

物語を追うというよりは
心象のスケッチを
眺め続けているような感じがしました。

舞台のトーンにただよう
不思議なリアリティのなさ。
即物的ではあっても、
踏み越えたようなあからさまさや
剥ぎ出された強い下世話さが訪れても、
そこにはガラス張りにした心情の移ろいを
客観視する視座があって、
観る側を劣情や猥雑さに塗りこめない。

だから、
心情の渦中からは抑制できないような想いも、
そして具象され
リアルに渡されたら
持ち切れないほどのインパクトを持った表現も、
観る側として自らの好奇的な気持ちに後ろめたさを感じることなく
すっともらってしまうことができる。
そりゃ露骨な踏み越え感に目を奪われたりもするのですが、
その踏み越えがなければくもってしまうニュアンスがあって
また、その表現への作り手の執着の果実が
描く物の奥行きとなって
観る側自らが絵面に身を置いての
下世話で平板な解釈に落とすことを許さず
生々しい心情の質感だけを残していくのです。

正直なところ、エロい部分もあるし
たとえば自己中心的な思い込みの滑稽さなどに
笑ってしまう部分も多々あるのですが、
でも、その表し方にたしかな演劇的手法が裏打ちされていて、
なおかつコアの表現へのためらいやまやかしを排しているからこそ、
踏み越え、観る側のフィルターまでもそのままに透過し
至ったであろう世界があって。


劇団のHPをみると
主演客寄せパンダに柿喰う客の深谷由梨香を迎え、
掘り出し物謎のほぼ無名キャストでワキを固めて・・・

などと、とんでもないことが書かれているのですが(笑)、
深谷由梨香には、圧倒的な女性の実存感があり、
描かれた世界に女性が抱く物に対しての普遍感を与えてくれる。
ワキを固めた堀り出し物謎のほぼ無名キャスト(!?)
西本泰輔 木田毅祐 吉川順子のお芝居にも、
よくニュアンスを生みだし場に色を醸し出す力があって。
その中で
主宰として表現の虚実の端境に身を置いた小松美睦瑠の体を張った演技が、
表層的なびっくりばこにならず舞台にしっかりと差し込まれていく。

実は極めてデフォルメされた
したたかな内心描写なのだと思う。
作り手が演劇の中に切り出した物の
精製された生々しさが五感の先に置かれ
強い印象として残ったことでした。

初日観劇で、
役者に若干の力みのようなものを感じたりもしたのですが、
これはまもなくこなれていくようにも思えて。
久しぶりに観た公演でしたが
作り手の創作からますます目が離せなくなりました。

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