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イッパイアンテナ「打ち上げベイベー」見続けたいと思わせる力を垣間見せて

2012年1月14日ソワレにて、イッパイアンテナ「打ち上げベイベー」を観ました。

会場は王子小劇場。

全体の物語の組み上げには、さらに良くなるような余白がありましたが、
個々のシーンのセンスはけっこう好きかも。

東京にありそうで、ちょっとない感じも新鮮で、
なにか、継続して見続けているうちに大化けしそうな予感がありました

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

作・演出 : 大崎けんじ

出演 : クールキャッツ高杉 小嶋海平 村松敬介 山本大樹 渡辺綾子 阿部潤 小林由美 渡邉C憲明

いろんな輝きがある舞台で、
冒頭のジャニス・ジョップリンのナンバー(誤意訳的な)なども、
良くこなれ説得力もあったし、
シーンたちには
観る側をすっと引っ張るようなというか
小さな踏み込みをうまく作りこんだ
おもしろさがあちらこちらにちりばめられていて・・・。
うまく言えないのですが、
笑いに一味違った解像度があるというか
単純に観る側に投げこむにとどまらない
表現の繊細さがあって、
この劇団ならではのセンスのようなものを感じる。
本当に巻き込むような笑いに誘われたのは
何か所かだったのですが、
でも、常に、場を観ていたいような
トーンが舞台上にあって。

ただ、今回の作品に関しては
それらのシーンが物語として重ねられていく中で
全体の枠組みがうまく捉えられないところがあって。
忠臣蔵とえせAKBの重ね方、
さらには物語のコアと遊び心のエッジのようなものが
同じような足さばきでやってきて、なおかつ絡まるので
観る側にすると、
木を愛でることができても、いまひとつ森の姿が上手く捉えられないというか・・・。
もちろん、物語の外観も、もわっとは伝わってくるのですが
個々のシーンのクオリティと
組み上げられていく全体感の印象に
かなりのギャップがあってとまどってしまう。

舞台装置などにも表現を遅滞なく引き出す機能美があって
なにかわくわくするし、
なにげに洗練されているし、
役者も悪くはないと思う。
表現力にいろんなベクトルをもった役者たちが
ピン的に時間を作れるにとどまらず
く絡んでそれぞれの持ち味をうまく
引き出し合っている印象もあって。

いろんな要素が独立して良いのですが、
個々のシーンをバンドルするやり方が
いまひとつ機能していないのがとても残念・・・。
それらがさまざま表現の要素を互いに高めて
観る側のトータルな充足感につながれば、
物語にもっと推進力がついて
何倍も面白くなるような気もするのです。

東京初進出とのこと、
その牙を隠したような感じが、今回に限った作風なのか、
あるいは劇団の特徴なのか
計り切れないところがあって。

でも、なんというか、少なくとも一見だけのご縁にするには
惜しいなぁと思わせるだけの実力は感じさせるなにかはいただけたわけで・・・。
次回を期待させるような魅力は間違いなく内包されており、
観る側としては是非にがんばって、
東京公演を打ち続けて欲しいと思うのです。
観る側が焦点を合わせるための何かが加われば、
大化けしそうな予感があって、
少し継続してこの劇団の作品を観続けたく思ったことでした。

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