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and Me「愛想笑いしかできない」ジェンダーの違いを超えて伝わってくる

2011年12月4日マチネにて and Me「愛想笑いしかできない」を観ました。

会場は下北沢OffOffシアター。

劇団初見、ウィットに満ちた舞台から訪れる、女性たちそれぞれの想いが
とてもクリアに男性の感性をも揺らして・・・。

ちょっと常ならぬ感覚に浸ることができました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください。)

脚本・演出 : 笹峯愛

出演:大見 遥 佐古 真弓(文学座) 村田 綾 菊池美里 もたい陽子 内山ちひろ(インパラプレパラート) 土井きよ美

結婚相談所と結婚式場、
二つの職場の設定がとてもしたたかで、
役者達の演技が
そのまま、女性の仕事や結婚の色に
すっと縫いこまれていきます。

開演からしばらくは
男性からすると、カタログブックで、
さまざまな女性の生きる感覚を眺めているようなテイストがあって・・・。
女性たちに生まれる笑いや共感とは
少しニュアンスが違うのだろうけれど、
でも、同性とは違った感覚で
客観的に観ることができるから
一人ずつの女性たちがどこか透過したように
ビビッドに感じられる。
さらには、
彼女たちのフィルター越しに浮かぶ男性たちの姿も
すっとリアリティをもって浮かんできたりもして。

そして、笑っているうちに物語が進み、
わかりえないであろう女性の内面が
ふっとまっすぐに伝わってくるような感覚が芽生えてくる。
そりゃ、一人でバージンロードを練り歩くという突き抜けを
理解するには物語の尺いっぱいの時間がかかるけれど、
仕事にしても、
結婚にしても、
出産にしても、
一人ずつの事情の中で、
ほぼ男性が体験しえないであろう想いいの質感が
役者の描き出す感覚とともに
すっとジェンダーを超えて、
我がことのようにおかれる感覚に変わっていくのです。

極めて女性のことでありながら
男女を問わないような
想いの色や肌触りをくっきりと伝える手腕が
作り手にはあって、
男性では持ち得ないはずの
個々の女性の思いの実存感に
戸惑いながら強くひきつけられる。

役者たちも目鼻立ちのしっかりとしたお芝居に
繊細に想いを紡ぎこんで・・・。
それぞれにあるデフォルメが
物語~浮かずに縫い込まれていく感じ。


どう説明されても描かれても
形骸的に感じる部分のあった
いろんな物語上の女性の心情を
温度や重さをそのままに抱いたような感覚で
膨らむことなく、縮まることなく、
とてもナチュラルで新鮮に受け取れるというか。

作り手が持つ
きわめて鋭利でありながら
豊かなウィットと
ジェンダーをすっと
超えてしまうようなリアリティをもった独特な表現力に
強く魅了されたことでした。

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