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味わい堂々「タマゴの秘密」「お味見公演」作り手の進化にわくわく

2011年11月5日 夕方から夜にかけて
味わい堂々の2公演、「お味見公演」、「タマゴの秘密」を続けてみました。

会場は渋谷のギャラリールデコ 5F。

作品も秀逸だったのですが、それに加えて
劇団としての進化にも目を瞠りました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

番外公演的なお味見とタマゴを1日でまとめて鑑賞。

役者の方は大変なのだろうなと思いつつ、
楽しんで見てしまいました。

・お味見公演

出演:岸野聡子 宮本奈津美 浅野千鶴

最後のデザートだけは再見でしたが、他の作品は初見。
いろんなバリエーションの作品があって
観ていて飽きることはなかったし、
なによりも、表現の品質にも、
これまでの劇団の公演と比較して一段上の安定感があって。

観る側が暖かい目で見たり想像力で補ったりするわけではなく、
作品ごとの切れのようなものが、
彼女たちの所作や表現の力から、
ガチでしたたかに作られていく。
なんだろ、観る側が受け止める舞台から
観る側がゆだねる舞台に品質が上がったように思えて。
シーンごとに作り上げられた切れが
クオリティをもって貫かれへたれない。

だからアイデアがくっきりと見える。
コンテンツとしては下世話なものも
シニカルなものもあるのですが、
それらがぼやけずにくっきりと観る側にやってきたことでした。


・タマゴの秘密

作・演出:岸野聡子
出演:川口恵里 タカハシカナコ 中田麦平 用松亮岸野聡子 宮本奈津美 浅野千鶴



物語が、中学時代の一定期間に収められて
不要に広がったりふくらんだりしないことで
しっかりと伝わってくる肌触りや密度があって。

男子には一生わからないような感覚や、
大人になってしまえばきっと忘れてしまうようなことも、
中学生の目線というひとつの貫きがあることで
ぶれずにしなやかに伝わってきます。

役者たちがそれぞれに背負う人物も
たとえば同級生の記憶に残るがごとくに観る側に像を結び
その時間の肌触りとして観る側に居場所を見つけて残るのです。

私のようないい歳したおっさんが観ても
子供から大人に変わるころの
その世代的な感覚が記憶としてよみがえる。
子供と大人のハザマの時代の生真面目な真摯さや
何かに届かないような薄っぺらさと
その世代的な揺らぎが
くっきりと一つの箱に納められて
観る側に渡される感じ。
視座の貫きが、
作り手のこれまでの作品に散見された、
作品の広がりによるばらつき感を払拭して
しなやかな密度を舞台上に作り出していく。

あの頃の思い出って
いろんな甘酸っぱさに美化されることも多いのですが
そういうパターンに陥ることもなく
しっかりとリアリティをもった
中学生の日々の肌触りを創り出す
ある意味作り手の本領を感じる作品でありました。

*** *** ****


アバウトな言い方ですが、
要は3人がそれぞれに進化したのだと思うのですよ。
もちろん作品自体にも豊かさがあって惹かれたのですが
それにもまして、個々のパフォーマー腕の上げ方に目を瞠るというか・・・。

細かい部分から全体にいたるまで
いろんなところに彼女たちの精進が感じられる公演でありました。

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