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Moratorium Pants「入場料一八八0円 音楽とドリンクつき」様々な色に観る側を染めるパフォーマンス

ちょっと遅くなりましたが、
2011年10月13日ソワレにてMoratorium Pants「入場料一八八0円 音楽とドリンクつき」を観ました。

あちらこちらの会場をツアーして回る公演形態のようですが
私が観たのは六本木バーINDIGOの回。
ちょっと独特な雰囲気を持つその場所で、
様々な印象を醸すパフォーマンスたちを
拝見することができました。

(ここからネタバレがあります。十分にご留意ください)

私が観た回の場所、INDIGOは元SM系のお店だったらしく
作りこまれた閉塞感と高さをもった場所。

壁面に貼りこまれた齋藤明さんの作品(大判の写真)に見入ってしまう。
モノクロームの世界に閉じ込められたSM嬢たちが
一人ずつの視線で自らの時間を纏っている。
その刹那の女性たち美しさに加えて
レンズによって切り取られた生々しい感情や感覚が
虚構と現実の端境の肌触りとともに伝わってきます。
カウンターでドリンクを受け取って開演待ち。
そのドリンクもとても丁寧につくっていただいて、
開演前から、場所のセンスを感じる。

・入場料880円ドリンクつき

作:谷川俊太郎
演出:橋本昭博

ぐるっと回りと取り囲まれて
役者たちが物語を紡ぎ始める。
佐山花織が場の雰囲気を上手くコントロールして。
冒頭の物語の導入が、
技量を持ったパフォーマーによってなされたのはとても正解で
そのくっきりした語り口に物語が導かれる。
観る側と会場の空間がしなやかに一つの緊張感を持って
物語が動き出します。

役者の二人には比較的早いテンポの中に
すっとニュアンスを立ち上げる力があって、
空間をその場の色にすっと染めていく。
観る側にイメージが広がりきる前に
次のイメージが発せられるような感じが
変化していく二人のキャラクターを
観る側に追わせるリズムを創り出す。

物語自体は、不条理な部分もあって、
でも、シーンのピース単位でみると崩れがなく、
役者たちにもそれらを伝えるに足りる切れと安定した技量があって。
橋本昭博には、場を混沌だけに陥れずクリアに広げていく演技の切っ先があり、
野田久美子には、早さのなかにニュアンスを織り込む
豊かな表現の力を感じる。

ただ、その切れやリズムを大切にする中で、
シーンごとの変化がやや乏しい印象。
一つのトーンの中で紡がれていく物語には
それなりの力があるのですが
戯曲としては
よしんば多少不安定さが生まれたとしても
もっとシーンごとの密度や彩りの差があった方が
観る側として伝わってくるものが多い感じがしました。

ベースのクオリティや勢いはきちんと作りこまれた舞台だったのですが、
舞台から伝わってくる役者の能力からしても
もっと冒険があっても良いのかなと思う。

役者の二人にはこの戯曲をもっと遊ぶ力があると感じました。

・Akitoshi Live

役者ふたりのトークショーのあと、R&B歌手AKITOSHI
ライブがありました。
まだ、演劇の空気が残っている場に
世界をしっかりと作り上げあげる。

雰囲気をそのまま武器にできるSingerで
どこか少しだけけだるくて甘い雰囲気を醸しつつ
R&Bがベースに持つノリのようなものをしっかりと組み上げていく。
夜の色香もしなやかに場の空気に織り込んで。
膨らみと心地よさと、それらを彩る切なさが
観る側をしっかりと捉えたLiveでありました。

・セクシーバーレスクダンサーズ Moulin Rouge パフォーマンス

バーレスクダンサーMoulin Rouge
女優として最初に舞台を務めた野田久美子、さらには佐山花織のユニット。

すでに、スタンバイのミザンスで前のめりになる。

ミュージカルなどでは、
それなりに観たことのある形式のダンスなのですが
こういうクローズなスペースで演じられると
大きな舞台とは全く違った力を持って観る側を巻き込んでいくのですよ。
劇場などでパフォーマーが全体の空気を作り上げるのと逆のベクトルで
濃密な空気ががそれぞれのパフォーマーを引き立たせていく感じ。

場に一気にグルーブ感が生まれる。
肢体の魅力を強調するダンサーとしての動きのしなやかさ。
リズムに対してゆとりをもった動きとその精緻さには
観る側を総取りで惹きつけるに十分な切れがあり
一方で恣意的にルーズな動きからは
それぞれのダンサーの個性が滴るように浮かび上がる。
Moulin Rougeの場を支えきる大きさをもった動きに
佐山花織が垣間見せるコケティッシュさや
野田久美子の躍動感が
しなやかに重なる。
四肢だけで動くのではなく、身体全体を駆使しての表現の強さ。
一人ずつのダンスが醸し出すものが、
女性としての異なる美しさと粋に満ちていて、
だからこそ、ユニゾンが
重なりの美しさにとどまらず、
乗数のことく全体を凌駕する個々の魅力として溢れだす。

会場の雰囲気までも味方につけて
たちまち観る側は虜にされて・・・。
冒頭にとどまらず終演の雰囲気にまで嵌ってしまいました。

*** *** ***

ほんと、盛りだくさんの舞台に
たっぷりと満たされて。
メインディッシュのお芝居は、このユニットのレパートリーとして
今後も再演してほしいと思ったし、
今回のように、日頃あまり触れることのない
表現に接する機会がとても貴重に思えた。

また、このイベントでは芝居やダンスなどの衣裳(平井千尋)が
実に洗練されていて秀逸で。
パフォーマンスのクオリティを支えることはもちろん、
衣裳によって表現する創意や芸術性があることを実感。

いろんな伸びしろを感じたり、
たっぷりの完成度に満たされた
わくわくするするようなイベントでありました。

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