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「モガっ!」~記憶はだいたい憶測~楽しくてチープでとても贅沢

2011年8月27日、お昼の回でキラリふじみ レパートリー新作 「モガっ!」を体験してきました。

会場は富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ。

もう、とんでもなく楽しい体験をさせていただきました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください。)

作:田上豊 

構成・演出:白神ももこ

出演:北川 結、眞嶋木綿、夕田智恵(以上、モモンガ・コンプレックス)

角 梓、鈴木 燦、武谷公雄、田中美希恵、東山佳永、名取秀樹、二宮未来(田上パル)、召田実子、安村典久

長尾晃司、清野美土、中藤有花、やぶくみこ

(この他にも総勢50名以上の方スタッフ等で関わられていたようです)

劇場ツアー型パフォーマンスというこの催し、会場に着くと、まずアンケートを渡されて、
自分の参加するコースを選択します。

出国手続き(!)の受付横にはコースの説明が書かれていて、加えて案内人が明記されていて。
6つのコースそれぞれが面白そうでちょっと迷う。

結局私が選んだのは、モモンガ・コンプレックスのダンサーである
北川結さんが案内人となる美術館コース。
私の脳内風景展いう題名がついています。

ツアーの栞のようなものを渡されて。
出国待合室よろしくベンチで開始待ち。
気がつけば、窓の外の池には
パフォーマーたちの姿が見える。
10人ほどで組まれたツアーが
コースごと順番に劇場のホワイエを出発。
私が選んだコースは建物をぐるっとまわりこんだ駐車場側の入口がスタート地点で、
いきなり北川結さんのダンスで物語の世界に導かれる。
「レオ・田代 私の脳内風景展」というタイトルの、
美術館を巡るような態でツアーが始まります。

最初はぞろぞろと案内人の後をついていくだけだったのですが
行程はまさにダンスに導かれていて、
すぐに勝手がわかってっくる。
脳内を巡るという緩やかなコンセプトに従って
劇場前の池に渡された仮設の板の橋を渡ったり、劇場の外側を回ったり。
随所にテーマに沿ったインスタレーションやパフォーマンスがあって。
これが時にはぞくっとくるほど豊かな創意に満ちていたり
上質のウィットに満たされていたり
あるいは思わず笑ってしまうほどべただったり・・・。
なによりもパフォーマーたちの演じるものが「本物」で
ツアーのすべてにアイデアの提示にとどまらない精度があって、
表現としての力感を醸しだし
エンターティメントとしての側面もしっかりと支えていて、
ぞろぞろと歩いているうちに、
とても贅沢なものを観ていることを
実感できる。

ただ座って見ているだけでない高揚感のようなものがとても気持ちいい。
また、コースが他のツアーの行程やパフォーマンスと随所で交わっていて
それぞれが互いの借景のようになっているのも
すごく楽しい。

やがて、劇場の中へとツアーは進み、
舞台上や袖の部分から建物の外側の通路、
さらには客席へと・・・。
途中の演劇的なパフォーマンスや音楽のひとつずつに
すっかりと取り込まれて・・・。

まさにあっという間の60分。
栞に書かれた16のテーマをめぐり終わったあとでも
わくわく感が醒めることはありませんでした。

観終わって、なんだろ、
この劇場がとても好きになった気がする。
元々演劇とかダンスなどは大好きなのに、
何をいまさらという話はあるのですが、
単にお芝居を観る場所として劇場を見るのとはちょっと違ったニュアンスで
この劇場に対する愛着が生まれたような。

この企画、
作る方は死ぬほど大変だと思うのですが・・・、
でも、是非にまたやってほしい。
その時には1コースではなく
複数の、できれば全ツアーを
観たいと思ったことでした。



 

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