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エビビモpro.「さらばユビキタス」良質であるが故のもっと

2011年6月9日ソワレにてエビビモpro.「さらばユビキタス」を観ました。

会場は王子小劇場。

予備知識を全く持たずに観に行ったのですが、
よく作り込まれたミュージカル仕立ての舞台でありました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意くださいませ)

作・演出:矢ヶ部哲
音楽  :矢ヶ部哲 海ノ幸子
振付  :平石祥子 でく田ともみ
出演:伊藤そうあ 井原夕美子 長田涼子(おにぎりスキッパーズ2) 加古みなみ 寒河江有似 中原信貴 原田麻里子 平石祥子 真山カコ 守富龍人(ハナウタカプセル) 柳下顕人 山本陽子

ウォーレン・リウ 海ノ幸子 熊坂四歩 色城絶 でく田ともみ 永田歩 矢ヶ部哲 山増圭

この劇団初見です。
会場に入って壁いっぱいに描かれているものに目がいく・・・。


始まって、その世界に馴染むまでに少し時間はかかったのですが、
次第に舞台の空気に観る側が馴染んでいく。
舞台美術にしても
水を印象付ける映像効果にしても・・・。
しっかりと作品を包み込む力があるし。
歌もダンスにも相応の力は感じました。
すくなくとも
観ていて、観客がノイズを感じる部分は
ほとんどなかったし、
舞台上の集団の処理もユニゾンで動く部分にも
きちんとしたクオリティが作られていたと思います。

私の位置からはきちんと見えなかったのですが
シンセサイザーでの生演奏だったようで
舞台が生きた音でしたたかに支えられていたことも好感できたし
なによりも音が生まれるタイミングに
録音ではありえないエッジが聴いていて心地よかった。
物語はミュージカルとして複雑すぎず適度にベタだったし
そのなかにもあざとさのないメッセージが織り込まれていて。

作り手の想いも伝わってきたし、
ブロードウェイなどとは
比較などできないにしても
観る側が普通に楽しめる
なかなかに上質なミュージカルだとは思いました。

ただ、そうわかってはいても、
ミュージカルとして観ると、
なにかが足りない感じもするのです。
歌も歌い込まれてはいるのですが、
舞台の枠を超えて観る側を圧倒するほどではない。
ダンスにしても、演劇的なパートにも
突き抜けるなにかが感じられないのです。

基礎点が比較的高いと、
観る方も欲がでるというか、
そこからさらに伸びていくものが
もっとほしい。
ずば抜けたダンスとか、観る側を全員KOしてしまうような歌とか・・・、
それ以外の、よしんば外連だってかまわない。
そうすれば、作り手が作品に込めた想いも
さらに際立って鮮やかに伝わってくるのではないかと・・・。

ローレライとセイレーンの織り上げるハーモニーの美しさなどに
心がすっと透明になるような感じがあったりもしたのですが、
そういう要素がもっとたくさんないと、
ミュージカルという表現は観る者を
作品の世界に閉じ込めきれないような気がするのです。

一定の完成度に対する評価は十分にあるのですが、
その一方で
さらなるものを求める気持ちもくっきりと残った作品でありました。

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