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ペテカン「青に白」べたに奥行きをもたらす物語の切り取り方

少し遅れましたが、2011年6月16日ソワレにて、ペテカン「青に白」を観ました。会場は赤坂レッドシアター。

たくさん笑ったのに、心に残ったのは人生をすっと見晴らしたような感覚。

作り手にまんまと掌にのせられた感じがとても心地よい舞台でした。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本・演出:本田誠人

冒頭の雲のおならの話で
すっと心を掴まれて、
そこから一人の男の死をめぐる
妻、娘、孫、三世代の女性のそれぞれの想いが
表されていく。
一方で新しく立ちあがった葬儀社の風景が
絶妙なセンスで描かれ絡んでいきます。

基本的にはコメディなのだと思う。
コメディだからこそ伝わってくる家族の雰囲気があって。
とても仲のよい家族というわけではない。
それぞれが抱えているものもある。
でも、それらを直球勝負で表すのではなく
ウィットを背景にして表すことで
細く、でも切れることのない強さをもった互いの関係性や
中庸にそれぞれの時間と向き合っている女性たちの感覚が
力みなく観る側に置かれていく。

やがて物語は告別式へと束ねられ
客死した男を扱う葬儀屋側の
「告別式 must go on」的なプロ意識が
物語に勢いをつけ殻を打ち破っていきます。
葬式が絡んだお話は
コメディとしてはリスクが高いようにも思うのですが、
センスの良さに加えて、
ネタの仕込みがしたたかというか
作り手が可笑しさの骨格をきちんと作り上げているので
観ていて心地よく素直に笑える。
笑いのバリエーションもとても豊かで
キャラクターの駄目さでジャブのように笑わせるものから
話の構造で笑わせるもの、
さらには司会者の女性が「愛の賛歌」を歌い出すような
突き抜けで観る側を巻き込んでしまうような笑いまで、
引き出しが本当に多い。
遺された三世代の女性たちの想いの変化も
しなやかな実存感を持って観る側に広がって。

家族の外側のそれぞれのキャラクターたちも
それぞれにぐいぐいと絡んでくる。
娘の夫の浮気相手、
孫娘の婚約者や行きつけの整体のマッサージ師、
さらには母の施設の介護職員など
周辺の人々はしたたかにデフォルメされて描かれていくのですが、
なんというか、その存在感と遺族の女性たちの絡みが
絶妙によい。
それぞれの色の強さが浮くことなく
家族の肌触りに編み込まれていく。

出演 : 田中真弓 大治幸雄 齋田吾朗 濱田龍司 本田誠人 羽柴真希 長峰みのり 四條久美子 谷部聖子  帯金ゆかり(北京蝶々) 岩永 智 徳岡温朗  濱崎けい子(二人の会)  山口良一

役者たちのお芝居には、キャラクターの個性が緻密に立ちあがっていて、
それらが単純に折り重なるのではなく、
物語の枘にはまるように居場所を作り
踏み込みを生み出していく。
場を創り出す力が安定しているから、
その踏みだしに観る側が安心して巻き込まれてしまうのです。
役者の力量を演出がしたたかに導いているなあと両方の力に感心。

劇中を貫いていくもののひとつに
ご当地名物のマンゴープリンがあるのですが
この使い方が凄い。
すこしぼけた母親が欲しがるマンゴープリンから浮かび上がる
家族の空気があるのですよ。
でもその場を作る道具立てに納めることなく
ボディブローのように仕込み続けて
終盤に逝った男の後ろ姿に仕立て直す。
しかも、それだけに納めず
最後に「普通のプリンの方が良い」
とぽろっといわせるしたたかさには鳥肌が立った。

終わってみればたっぷりの可笑しさや
雨降って固まるの感に満たされて、
この世を去った男への哀悼と
その先を生きていくことへの透き通った質感に
柔らかく深く染められている。

単なるコメディにとどまらず
良い意味で心から離れていかないものが残る
秀作でありました

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