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PLAT-formance 「DUST CHUTE UTOPIA」 ただならぬなめらかな洗練

2011年5月19日ソワレにてPLAT-formance「DUST CHUTE UTOPIA」を観ました。

会場は新宿二丁目 タイニーアリス。

なにげない口当たりのなかに、抜群のセンスを感じる舞台。
観終わってぞくっときました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本・演出 : オカヨウヘイ

出演 : 安藤理樹  池亀三太(ぬいぐるみハンター) 加藤諒 黒木絵美花 志水衿子(ろりえ) ハマカワフミエ 堀奈津美(DULL-COLOREDPOP) 吉田能

初日を拝見。

金属のパイプで囲まれたソリッドな舞台の中央に
いかにもという大きな金属製っぽいゴミ箱。
開演前からそれを調査するようなシーンがあって・・・。
舞台が始まるとゴミ箱の中身が
姿を現わしていく態。

大きくいくつかのシーンの括りがあって
それぞれがとてもルーズにつながっている。
で、一つずつの描き方に
作り手の独特のタッチが醸し出されていく。

うまく表現できないのですが
具体的な肌触りをもった部分と
具体性をもたず、でも毛穴から染み入るように観る側を染めていく
空気のようなものがしなやかに混在していて・・・。
たとえば冒頭の工場でつくられていた
「トゲム」、と呼ばれるものの概念が
わかったようで、
でもそこには社会的ブームといった物理的な実体を解き放つような設定や
さらには観る側の想像力を踏み越えた領域が
用意されていて。
あるいは
ビデオとテレビをつなごうとすると亀甲縛りになるというくだりなども
どこか馬鹿馬鹿しいとおもいつつ
実際に演じられる姿を目の当たりにして
さらなる印象が生まれていくのです
突き抜けた可笑しさがあって
腰を据えて笑いが醸し出されていくのですが、
そこには良質な笑いがもつ抜けの良さに加えて
舞台の空気を染めていくような力があって。
別のシーンでのキャンディーズを彷彿とさせるキャラクターの名付けにしても
そこから何かが機能するかというと
そういうわけでもないのですが、
でもその名前がなにげに舞台の空気を縛る。韓国からの留学生の引っ越しそばの顛末などは
べたな可笑しさががっつりあって
でもそれだけが浮き立つことがない
場の空気の密度がしっかりと作られていて・・・。

列挙すればいとまがないほど、
いろんな尺とバリエーションで構成された笑い、
しかもそれぞれに絶妙なセンスというか洗練があって。
でも、単に笑いだけを訴求した舞台ではなく
観る側にとっても単発的に笑うという刹那のごちそうを超えるものがあって、、
観ているうちに作り手のトーンに従属し、
舞台に漂う空気の濃淡が
そのままナチュラルに感じられるようになっていく。
ゴミ箱を上からあさっていくような
エピソード間の時間の逆転が
個々のシーンがもつ、
どこか欠けたり、
濃淡がデフォルメされたようなテイストとともに
したたかに舞台全体の広がりを醸し出していくのです。

ハマカワフミエが同僚(?)に平手打ちを喰らわすシーンがあるのですが
それがこれまで私が観た舞台上のビンタの中でも一番のクリーンヒット。
しかも何度かある打撃機会での打率が10割で、
その刹那に舞台の空気がピンと張る。
でもその鮮やかさが生かされつつ浮き立たずに映える流れが
したたかに舞台上に作り込まれていて。
あるいは終盤の刺殺のシーンにしても、
際立った必然性などないのに
そこにはすでに
驚愕を吸収するだけの舞台の積み重ねというか膨らみが
なにげに形成されていて、
シーンが飛び散ることなくきちんとおさまり
観る側をさらに囲い込んでいく。

カーテンコールを挿入しておいての物語の続けかたもしたたかで、
観終わって、ちょっと鳥肌が立つような感じすらありました。
この感覚というかセンス、常習性があるような気がする。
個人的に、とても惹かれる作り手や演じ手の感性が舞台から伝わってきて、
単純に笑えるとかおもしろいという言葉では表しえない
舞台上の世界全体での、
表現の秀逸さを感じたことでした

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