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15Minutes Made Vol11、6作品の優劣を超えた個性

2011年4月9日ソワレにて15Minutes Made Vol.11を観ました。
会場はシアターグリーン、Box In Boxシアター。

今回はシリーズ初の東京・大阪2箇所開催(ツアー)とのことで
関西からも2劇団が参加。
秀逸な劇団をそろえて。

関西からの2劇団が加わったこともあり、
これまでとはまた一味違った
広がりを感じる公演になりました。

(ここからはネタばれがあります。充分にご留意ください)

上演順に、それぞれの作品について感じたことなどを・・・。

***** ***** *****

・ミジンコターボ 「恋心」

開演と同時に役者2人の風貌にいきなり目を奪われる・・・
衣装、風体ともに客の視線をあつめるのに十分。
開演前の挨拶(Mrs.function主宰今村氏)に突っ込みをいれて、
彼らの作品と15Minutes Madeの世界に
2人の居場所を作っておいて・・・。

漫才のような会話のなかから
観る側を彼らの本編の世界へと引き入れていきます。
メインディッシュはすごくPOP、
なんか観ているだけでわくわくする。
薄っぺらいのですが、
それを感じさせない表現のリズムがあって。
観ていてどこか強引なくらいに楽しさがやってくる。

一つずつの動作がきっちりと作りこまれているのでしょうね。
だから終盤のまき戻しというかリプレイがインパクトを
持ってきっちりきまるのです。

観終わってやられた!(誉め言葉)と思うくらい、
よく気持ちよく突き抜けていて面白かったです。

作・演出・出演:片岡百萬両
出演:竜崎だいち・Sun!!・川端優紀・弘中恵莉菜・山口いずみ・江本祥・永井悠造・山田まさゆき・吉田青弘・菊池祐太・大西千保

・劇団競泳水着 「わたしのせんぱい」

秀作だと思います。
書き手のキャラクターの作り方が
ぞくっとくるくらい旨い。

2人芝居、一人の女性が、
彼女の先輩とのことを語る態で時間が組みあがっていきます。
脚本がしっかりと醸す先輩のキャラクターがあって、
役者がその風合いを絶妙なテンションと呼吸で膨らませていく・・・。

シーンのそれぞれに含有されているのは
なんということのないエピソード、
でも淡々とした語り口で編み上げられていく
美人なくせにとんでもなく不器用な先輩のキャラクターと
彼女とともに流れていく時間の質感が
僅か15分のお芝居のなかで
しなやかに広がっていくのです。

大川翔子は最近の劇団でのお芝居や客演などで
時間を柔らかく深く伝えるすべを
しっかりと手の内に納めたことを印象付け、
また、細野今日子はコメディエンヌとしての新しい境地を
この短編で獲得したように感じました。

「私の先輩」ではなく「わたしのせんぱい」というタイトルが
とてもよく馴染む作品でもあり、
舞台の肌合いと時間の流れにしっかりと取り込まれてしまいました。

脚本・演出:上野友之
出演:大川翔子・細野今日子

・ロロ 「Vol.5.4 夏に」

開演してから暫くは、観る側がちょっととまどうお芝居でした。
役者たち個々の演技には強さや繊細さがあるのですが、
その意図が咀嚼できないまま
積もっていく感じ。

意味がわからないというのとは少し違う。
むしろあからさまだと思う。
ただ、観る側の内側で舞台の全体感というか
作り手の寓意が今ひとつ汲み取れないことへの
苛立ちを感じる。
男が演じる物と女性が演じる物が
どこか乖離しているというか交わらないように思えて・・・。

でも、たった一行、普遍性を持った魔法のような言葉で
舞台が解けるのです。

鮮やかに観る側のフォーカスが定まる・・・。
とても強いインパクトでした。
それは、台詞の前の舞台とそこからの展開の両方を
しっかりと浮かび上がらせる。
ゾンビ化した男の重さがしなやかに外れていく。
女性たちのかき氷の寓意が輝き
舞台全体をしなかやに高揚が満たしていく。

15分という時間にしっかりとボリューム感が生まれ
気が付けばロロの世界にどっぷりとはまりこんでおりました。

脚本・演出:三浦直之
出演:板橋駿谷・亀島一徳・森本華

===intermission===

・劇団ガバメンツ 「M.Mushikun」

冒頭にファーブルの紹介があって、これがとても洒脱な感じに作られていて。

その空気のなかで、
ふんころがしのカップルとファーブルの交流が描かれていくのですが、
観る側が前段で醸し出されたトーンにのせられているので
ねたというかエピソードの踏み出し方ひとつずつが
ばかに面白く感じられて。

ファーブルが新種のふんころがしを見つけたと喜ぶ姿に
ふんころがしの人間臭い痴話げんかが絡まるあたりが
たまらなく可笑しい。
その後の展開にしても
ネタの本質はべたなのですが、
それを小粋に見せる技量がこの劇団にはあって、
ちょっと枠に収まらないというか
観る側の想定を一歩踏み越えたような部分に
どんどんと引き寄せられてしまう。

なにか、癖になるというか、
はまりこんでしまうような魅力をもったコメディでありました。

作・演出:早川康介
出演:青木直敬・近藤貴久・片山誠子

・FUKAIPRODUCE 羽衣 「浴槽船」

なんだろ、ちょっと理屈を超えて凄く良い。
生理的に惹かれるような何かを持った舞台でした。

こう、お風呂のぬくもりがちゃんと伝わってくるのですよ。
それは、演じる側のしっかりと作りこまれた音や台詞の組み上げ方、
さらには、リラックスを感じさせるほどに
しっかりと密度を作った身体表現のなせる技なのでしょうけれど
それをおくびにも出さないところが
まさにこの劇団の真骨頂。

3人の女性たちがじわっと暖まる感じや語る言葉に
観る側も浸されてしまっているから
3人の男性たちが現れても違和感がない。
むしろ、お風呂の時間の広がりにのせられていくような感じがして。

観る側を尖らせないで、
一方でしっかりと浸潤して印象をしっかりと残していく。

ほんと良いお湯をいただきました。

作・演出・音楽:糸井幸之介
出演:深井淳子・鯉和鮎美・寺門敦子・日高啓介・高橋義和・澤田慎司

・Mrs.fictions 「殴る蹴る」

ベースにあるのはひとつのアイデアなのでしょうけれど、
それに対してしっかりと肉付けをしていく力があって。
アイデア自体への驚きよりも
その組みあがり感に惹かれました。

二つのキャラクターそれぞれが
ぶれずに実存感を持ってちゃんと貫かれているのがよい。
どこか日常の匂いがする雰囲気の中に
女性の想いの確かさや
それに対する男性の立ち位置がしなやかに伝わってくる。

観ていて、佐藤みゆきが
とても良いお母さんになるような気がした時点で
これは作り手の勝ちなのだと思いました。
岡野康弘の雰囲気の作り方も秀逸で
ある意味不条理な設定なのにとてもナチュラルな感じがして。

仕組みをわかった上で、
もう一度観たいと思ったり。
なにか、不思議に心を惹かれる作品でした。

作:出演:岡野康弘
演出:生駒英徳

出演:佐藤みゆき

****** ****** ******

今回はいつもにも増して粒ぞろいの作品で、
時間がすごく短く感じられました。
首都圏の劇団がただショーケース的に劇団を紹介するのではなく、
これまでの作品からさらに踏み出したりしっかり煮詰めた作品を作り上げていて
見応えがあったし、
関西の劇団も持ち味を十分に伝えてくれたように感じて。

それぞれの持ち味がしっかりと出たツアーということで、
これらの作品が東京のみならず
大阪にも持っていかれるのはとても素敵なことだと思う。

個々の劇団の秀逸にとどまらず
15MMという企画が、
更なるステージへとスキルアップしたことを
実感できた舞台でありました。

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