« 空想組曲「ドロシーの帰還」創ることを描く圧倒的な力 | トップページ | 中野茂樹+フランケンズ「ザ・マッチメーカー」しなやかで重くなくて豊かな洗練 »

国分寺大人倶楽部「ホテルロンドン」心情の匂い

2011年2月28日ソワレにて、国分寺大人倶楽部「ホテルロンドン」を観ました。

会場は王子小劇場。

独特のレイアウトで構築されたホテルの部屋で醸し出されていく
男女の物語。

その常ならぬ関係から醸し出される、
甘いとか苦いとかを超えた
さらに細密に描かれた心情の匂いに
しなやかに浸されてしまいました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

脚本・演出:河西裕介

劇場にはいると、そこには互い違いに3つの空間が並べられていて、
その間に客席がおかれている。
正直居座る場所にはかなり迷いました。

でも、舞台が始まって観ると、
会場にはある種の空気が満ちて行きます。
何だろ、すれ違った想いが
同衾している時の
男女の互いを求める気持ちと、
すれ違う感覚が醸し出す肌触りがそこにはあって。

物語が流れていく中で、
男女のチグハグさに惹かれて
やがて、それぞれの空間での顛末に
観る側が釘付けになっていくのです。

それぞれのエピソードを
緩やかに束ねていく
登場すらしない一人の男の存在なども
部屋の内側の二人だけの世界を
劇場全体の空気にしなやかに織り込んで
したたかだなと思う

ホテルの物語ですから、
艶かしい声色も、
露出度高めの部分も必然的にあるのですが、
観る側の視線を肌にとどめない力が
舞台の流れにはあって・・・。

そこには、危うい事情や
刹那の感情だけでは説明できない
男女のもう一歩踏み込んだ想いを
空気に作り上げていくだけの
作り手の感性と手腕の確かさがある。
よしんば、それが男女のフィジカルな関係の描写になっても、
そこには細微な心情が満たされているから
シーンが浮かないのです。

ホテルを舞台に
男女のつながりの脆さにとどまらず
強さや断ち切りえないものこそが
しなやかに描かれておりました。

出演:後藤剛範 加藤岳史(ジャズ) えみりーゆうな(世田谷シルク) 信國輝彦
東谷英人 清水久美子 ハマカワフミエ 佐賀モトキ 浜崎仁史 大竹沙絵子

役者たちには、それぞれの存在の想いを、ある種の浮遊感とコアの重なりの中で
描き出すだけの力があって。
様々なシーンで、
キャラクター達の想いの色が失われないから
その成り行きが形骸にならず、
言葉とは独立した空気を作り上げていく

鮮やかな終幕に息を呑む中、
作り手が見据える愛情の質感が
一気に織りあげられ広がり
包み込むように伝わってきたことでした。

|

« 空想組曲「ドロシーの帰還」創ることを描く圧倒的な力 | トップページ | 中野茂樹+フランケンズ「ザ・マッチメーカー」しなやかで重くなくて豊かな洗練 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 国分寺大人倶楽部「ホテルロンドン」心情の匂い:

« 空想組曲「ドロシーの帰還」創ることを描く圧倒的な力 | トップページ | 中野茂樹+フランケンズ「ザ・マッチメーカー」しなやかで重くなくて豊かな洗練 »