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「ヴェールを纏った女たち」言葉に織り込まれた普遍性の抽出

2010年12月19日 ソワレ、ITI日本センター主催の「紛争地域から生まれた演劇2」より「ヴェールを纏った女たち」のリーディング公演を観ました。

場所はシアターイワト3F。

伝わってくるものの言葉を超えた肌合いに圧倒されまsした。

(ここからネタバレがあります。ご留意ください)

作=フェリドゥン・ザイモグル/ギュンター・ゼンケル(トルコ)
 翻訳=初見基、演出=赤澤ムック

冒頭のおしゃべりに近いスピードと勢いには
リーディングというよりは
すでに舞台でのお芝居に近い感覚があって。
さらに読み進められていく
観る側と異なる文化のなかでの
恋愛感情の高揚も
平凡さに塗り込められ隠された内面の奥行きたちも
身体的不自由さのなかでの鬱積やあこがれも
異教に導かれていく心的風景の描写も
それぞれにしなやかに制御された
言葉たちで伝えられながら
言葉に流されない想いを舞台に醸し出していく。

観る側も、与えられた言葉を咀嚼して
異文化の価値観をみつめるだけではなく
むしろ、読みあげられる言葉たちを
追い越していくような空気の流れに
前のめりになって取り込まれていくのです。

それは速度だったり
しっかりと作られた空気の軽重だったり
時には役者たちの表情だったり
リーディングを一歩踏み出したような
間だったり・・・。
言葉からやってくる異文化や
倫理観の違いを呑みこんでしまうような
女性たちの普遍的な感情が
役者たちの手練から鮮やかに伝えられていきます。

未熟で抑制できない想いも
あるいは深い思慮が編み込まれた想いも
ひとつずつが貫くようにしっかりと演じられ
よしんばそれが
異教徒には共感しにくい宗教的倫理や文化に染められていても
感覚として
あるがごとく観る側に入り込んでくる。
舞台上に醸し出される密度には
息を呑むような力があり
違和感と共感、それぞれが互いを織り込むように肌合いを作り
観る側に包み込んでいく。

出演=新井純、牛水里美、中里順子、こいけけいこ、赤澤ムック

役者たちには、言葉を伝えるなかで
言葉に流されないだけの
それぞれの色をした底力のようなものがあって・・・。

個々がテキストに埋もれることなく、それどころかテキストに息吹をあたえていくなかでグルーブ感すらかもし出していく。

いろんな印象が綾織りのように浮かび上がって、それがさらに一つの作品として重なって・・・。
終演後にも深い余韻が残る、塗り込められない重さを持った秀逸な舞台でありました

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