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15Minutes Made Vol8,様式が武器へと変化したショーケース

2010年5月1日 ソワレにて15Minutes Made Vol8を観ました。場所は池袋 Box In Box Theater。

久しぶりに訪れたこの劇場の1Fにカフェが出現していてびっくり。カフェオレをいただきましたが、大変おいしゅうございました。開演前の時間をつぶしたり、終演後に訪れたり、いろんなTPOで使えそうな感じ。

15Minutes Madeは毎回とても楽しみにしていて・・・。ここで見つけて通うようになった劇団もあって。しかもここ1~2回はショーケースとしての役割以上の付加価値が定着してきたような気がします

(ここからネタばれがあります。ご留意ください)

今回は作品がとにかく充実しておりました。

・国道五十八号戦線 「さっき終わったはずの世界」

作・演出 友寄総市朗

出演 : 金丸慎太郎 ハマカワフミエ 田中美希恵

アイデアとしてはワンショットなのですが、役者の作り出す空気にボリュームがあるのでぐいぐいと引っ張られる。金丸とハマカワが作り出す、どこかなにも手につかないような突き抜け感に不思議なリアリティがあって・・・。

そして田中が演じる宇宙人が圧倒的。金丸・ハマカワが作り上げた空気やリズムを堂々と踏みにじるようなお芝居を貫いてくれる。その絶望的な差異がそのまま、無力で愚かな地球人と極めて実務的な宇宙人という構図に繋がっていくのです。

ハマカワが演じるどこかウェットで粘着質な女性も金丸がしたたかに表現する男の瑞々しい底の浅さもそれぞれにたっぷりの見応えなのですが、ふたりのお芝居のクオリティの高さが、そのまま二人のリズムを切り裂く田中が作りだすワタワタぶりへのインパクトに変わっていく構造になっていて。これがまた見事に機能しているのです。

その先に、地球の半分以上に抱かれているいらだちが、実存間を持って浮かんでくる。

どこかにチープな手作り感がある舞台なのですが、同時にぞくっとするような密度が隠されていて。役者の力量に加えて友寄の演出力が光る作品でもありました。

・芋屋 「てめぇは草食ってろ」

作・演出 : 高橋征也

出演 : 磯矢拓麻 桑原礼佳 鈴木亮平 菅田正照

この劇団は劇団初見です。

等身大感を感じるお芝居なのですが、裏ではしっかりとキャラクターにバイアスがかかっていて。いわゆる草食系男子の雰囲気がうまく強調されていきます。桑原の演じる泥酔女子の奔放さが物語をうまく運んでいく感じ。

桑原の酔いっぷりにぶれがないので、磯矢や鈴木の芝居がきちんと生きる。菅田の存在もしっかりと機能していて。

また、なめらかなドタバタに変なためらいがないのが良い。キャラクターの持つ感覚がうまく掘り出された感じで、観終わって妙に納得してしまいました。

・時間堂 「池袋から日暮里まで」

脚本・演出・出演 : 黒澤世莉

出演 :金子久美 大川翔子 高橋浩利

池袋から日暮里まで、山手線の車内でのカップルの会話が切り取られていきます。他の劇団の役者たちも加わった冒頭のシーンが舞台に東京を広げる。時間堂の空間にすっと取り込まれる。

2組のカップルの会話、どこかリンクしていて、やがて観る側のなかでひと組のカップルへと重なる。男女それぞれにキャラクターが時間の経過こみで受け継がれて、同じ線路の上で時間を浮き彫りにしていきます。

大川の描く曖昧な夢が金子の中にしっかりとした幹を持って葉をひろげていく。それが伝わってくるときの感触がすごい。二人の女優それぞれが切り取る刹那にぞくっとするような解像度があって、それぞれから醸し出される雰囲気に重なりがあって、なおかつ色合いの違いにしっかりと時間が織り込まれているのです。

逆に高橋が言葉にする明確な夢が黒澤の中ではほろ苦く崩れている・・・。高橋のもつ夢の色の強さが、そのまま黒澤の自嘲気味な台詞に生きる。

15分足らずの中に、彼らが東京で過ごした同じ時間の異なるテイストがしっかりと込められていて。

伏線の張り方もしたたか。休憩の時間にまでしっかりと余韻の残る舞台でありました。

((((休憩))))

・Mrs.fictions 「Yankee Go Home」

作・演出 : 中嶋康太

出演 : 岡野康弘 松元隆志 梅舟惟永 川口聡

雰囲気がしっかり作られているから、寄りかかって笑える感じ。なんかやばい感じのなかに自堕落さとチープさと生活感がうまくごった煮になっている・・・。

そのなかで、リーダーが語る蘊蓄や宇宙に帰るという発想が妙になじむのです。なんなのだろう、観る側が納得してしまうなにかがあって、はまるというか。

梅舟の演技には強いデフォルメがあるのですが、その後ろに瑞々しい女性の感覚ががっつりすけてみえて舞台のトーンを支えていく。その質感に深さがあって、やはりうまいなぁと感心。松本や川口にも戯画化されたような存在感があって。岡野の存在の嘘っぽさを支える。

冷静に考えるとどこか漫画的な絵面なのにどこかに日常というか普通な生活感が残るのです。

なにか惹かれるちょっと変わった趣のテイストが残りました。

・PLAT-formance 「R・F・D」

作・演出 : オカヨウヘイ

出演   : 安藤理樹 吉田能

二人の出演者で警察側と犯人側をめまぐるしく演じていくという作品。それが、奇跡のように成り立ってしまうのです。違和感がなく、物語に引き込まれてしまう。

細かいギャグの連続の中で、キャラクターと演者の繋がりがうまく外れていく感じ。どこかに繊細さのある安藤と良い意味でアグレッシブな感じの強い吉田、二人の演者の印象が真反対であることを生かしつつ、スピード感とどこか形骸化した人物設定で観る側を物語にうまく乗せてしまう。

ギャクじだいはべたなものも多いのですが、一度はまりだすと、だだはまりにはまっていくのです。

そうして、観る側を手のひらに乗せておいて、最後にすっと元の位置にもどしてしまう手腕も見事。まるでエッシャーの水路を流れる水の上を旅してきたよう・・・。

このユニット、只者ではありません。

・TOKYO PLAYERS COLLECTION「TOKYOが始まる」

脚本・構成・演出 : 上野友之

映像協力 : 飯田裕幸

出演 : 和知龍範 黒木絵美化 佐藤裕香 富永瑞木

切れがある舞台。それは時間の切り取り方にしても、風景の描写にしても、個々のキャラクターから伝わってくる東京に対する感性にしても・。東京に出てきた時、渋谷の交差点ですれ違った女性と時間を隔てて再びとある場所で合うという物語の骨格に、東京で暮らす感覚がしなやかに肉付けされていきます。

その東京暮らしの中間色が本当にうまく表現されているのですよ。単純に慣れたとか馴染んだとかいうことではなく、その染まり加減が観る側に質感を持って伝わってくる。東京のマクロ視線での大きさと、そのなかに息ずくミクロ的な想いの重なりがそれぞれを染めあって、日々の時間や暮らし続けることの感覚が瑞々しく浮かんでくる。

佐藤がつくるオフィスの雰囲気がとてもナチュラルで、働く和知の日々の雰囲気がやわらかくまっすぐに伝わってきて。そこに流れる職場の時間に温度とリアリティが醸し出させる。さらに富永から垣間見える東京への感覚が、時間の流れる幅を広げていく。

和知とすれ違った黒木の表現もとてもキャッチー。歩き方に凛とした美しさがあって、都会の時間をしっかりと印象付ける力になっている。その感じと遅刻した面接希望としての女性の雰囲気の間に、きっと当事者には分かりえない10年の時間がやわらかく縫い込まれていて、観る者に東京を流れる時間を俯瞰させてくれるのです。

映像も作品の色をしっかりサポートして、トリを取るにふさわしい作品だったと思います。

***** *****

最初に15mmを観た時、15分という時間が制約になっていると感じられた作品が多かったのですが、ココ1~2回は様変わりで、各劇団とも、15分で共通の舞台という条件をツールというか武器にしている感じがありました。なんというか、一つの様式として15mmが定着してきた感じ。15mmだからこそ表現できるものが生まれているような気がします。

別に団体のショーケース的な役割が失われたわけではなく、知らなかった団体のお芝居への出会いも確実にあるのですが、それとは異なるクリエイティブな側面が15mmに内包されてきたように思えるのです。

そうそう、今回は舞台美術も実に秀逸。ライティングや映像をうまく取り込み汎用性もあってなおかつスタイリッシュ。いろんな魅力がこの公演にはあって。

なにか、さらなる発展もありそうな・・・。今年は、8月と12月に予定されているという15mmが本当に楽しみになりました。

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