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ちょっと遅くなりましたが「スイングバイ」曼荼羅の中心に置かれるような・・・

ちょっと遅くなりましたが、2010年3月17日と25日2回にわたってままごと「スイングバイ」を観ました。会場はこまばアゴラ劇場。

個人的にちょいと年度末の忙しさにかまけて感想を書くのが遅れてしまったのですが、一週間以上たった今も新鮮な印象が残る良作でありました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

タイムカード状のチケット。エレベーターで2Fに案内されると、タイムレコーダーがちゃんと置いてある。

対面になった客席、中央の舞台にはバスケットのコート上のラインが引いてあって。

やがて、役者たちが現れます。そして「社内報」が挟まったバインダーを客席に配り始める。会社の活動という雰囲気がすでに出演者たちからプンプンと立ち込めていて・・・。そして時が来て、朝の光景から物語が始まります。

出社の風景に目を奪われる・・・。まるで血液の流れのように交差する人々。一気にその世界に会場全体が封じ込まれる。そして入社式がそのまま作り手が構築する世界のオリエンテーションになっていて。気がつけば会社の世界観で出来事を観ているのです・・・。社歌や組体操がイメージの醸成に拍車をかけていく。

1日が一つの階としてつみあがった建物。一つずつのフロアーにはそれぞれのコンテンツがあって・・・。建物の巨大さがそのまま歴史や未来の広がりに繋がっていく。会社の創業からの歴史や昔のエピソードが舞台全体のボリュームへとふくらみ。しかも、単純な概念だけでの大きさではなく、それぞれのフロアーに息づくちいさなエピソードがみずみずしく思える。

エレベーターたちが表すもの。その上り下り・・。タイムカードの意味。

新入社員のエピソードだけではなく、最終日を迎えた社員や家族、さらには掃除のおばさんが話すエピソードもとてもキャッチー。積み重なるもの、繰り返されるもの、廻るもの、新しく生まれるもの・・・。

仕事、家族、さらには生と死。記録。一見ばらばらとやってくるエピソードが、拡散せずにひとつのイメージに集約されていく。セリフにもある、そのビルが人間で個々がその細胞となり、時間が血液となってめぐっていくような感覚。その中にいることの高揚に観る側がぐいぐいと引き込まれていく・・・。

舞台の終わり、マクロとミクロが混在した世界に凌駕されていました。それは、たとえば曼荼羅を観るような感覚。しかも曼荼羅のような「概念」ではなく、一つずつの血の通った感覚が連なっていて。そのダイナミズムと繊細さのしなやかな混在にひたすら満たされて・・・。

作・演出・出演:柴幸男

出演:飯田一期 いしお 板倉チヒロ(クロムモリブデン)折原アキラ(青年団)菊地明香(ナイロン100℃)島田桃依(青年団)菅原直樹(青年団)鈴木燦 高山玲子 能島瑞穂(青年団)野津あおい 森谷ふみ(ニッポンの河川)

役者たちのしなやかなテンションにも瞠目。それぞれののシーンの秀逸を単にアイデアに終わらせず実舞台の熱や密度、さらには熱に変えていく力が個々の役者からびりびりと伝わってくる。彼らの醸し出す空気が刹那ごとの愛しさに昇華していく。周囲にいてもテンションをしっかりと守り続け物語にかかわっていく姿が世界とその中に置かれた観客を深く浸潤していく。

ちなみに2日目と終盤では質感が多少違っていて、舞台の進化を感じました。2日目は細胞を形作るものが強く感じられましたが、終盤にはその間を流れる血液が運んでくるものに、より目を奪われた感じ。それは、観る側の要素もあるのでしょうけれど、きっと舞台の歯車がさらにスムーズに時を運んでいた部分もあって。

二日とも、終演後は「わが星」の広がりとはまた異なった満たされ方がゆっくりと自分になじんてくるのを感じながら、渋谷から駅までの道を歩いたことでした。

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投稿: BlogPetのr-rabi(ららびー) | 2010/04/05 15:05

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» 2010.3.28/ままごと「スイングバイ」 at こまばアゴラ劇場 [こんな舞台を観てきました―johnnyの観劇記録]
演劇界注目の若手が手がける舞台を観てきました。感想は・・・良い面悪い面、色々ですね。「ままごと」は、劇作家・演出家の柴幸男の芝居を上演する団体。彼は今年、「わが星」にて第...... [続きを読む]

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