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二騎の会「F」、たくさんのFが織り込まれた世界

2010年1月29日ソワレにて二騎の会「F」を観ました。

会場はこまばアゴラ劇場。

(ここからはネタばれがあります。十分にご留意ください。)

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タイトな空間でのダブルパンチ、「ゆらぎり」「ロングミニッツ-The loop of 7 minutes-」

2010年1月24日のソワレ・ソワレでFOSSETTE×feblabo×エビス駅前バー・プロデュース、の2作品を観てきました。場所は、当然にエビス駅前バー。

1時間強の作品なので、2本続けて見に行っても大丈夫かとおもったのですが、ともかくも充実の二本で、心地よくたっぷり消耗させていただきました。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください。)

Side-A 「ゆらぎり」(18:00の回を観劇)

原案:武藤博伸   

脚本:成島秀和   

演出:古河貴義

化粧品会社に勤めるとある男性の物語。エビス駅前バーの小さな空間を逆手にとって、いくつものシーンを同じ場所に重ねて彼と彼を取り巻く人々を会話を中心に描いていきます。

見えるものと見えないもの、舞台に透明なパーテーションが巧みに出し入れされるような感覚。その囲いの中で、八方美人のように周りとの関係をやりくりして自分の立場を作る男・・・。

うまくやっているつもりの彼なのですが・・・。

彼の癖、携帯電話のメッセージ、チャイナブルーというライチ系のカクテル・・。それらのアイテムが、シーンに組み入れられて、まるで魔法のようにそれぞれのキャラクターの虚実が剥ぎだされていきます。個々のキャラクターの内も外も、実は観る者にとってフェアというかあるがままに描かれていて、にもかかわらず、その姿や変化が、想像しえないような色で浮かび上がってくるのです。

役者達のタイトなスペースでの濃縮された演技、シーンのつながり、さらには仕組み・・・。成島作劇と古川演出のそれぞれの秀逸に凋落していく男の姿がぞくっとするほどリアルな感覚とともに浮かび上がって・・・。

終わってみれば一時間強のお芝居の印象の強さに愕然としたことでした。

役者のこと、澤田慎司は自己中心的なキャラクターをぶれなく描いて見せました。後半、崩れていくキャラクターののプライドが崩れる中で、コアの部分をしっかり残せるお芝居。その粘り腰部分が物語をしっかり支えます。彼の同僚を演じた古川侑のちょっとした武骨さもやはり揺らがない・・・。なんというかスタンダードな感覚をうまく物語の色に加えていくお芝居。

青年実業者を演じた和知龍範には実存感がありました。ちょっとあざといようなバーでの支払いの仕方や時間を潰す時の背筋の伸ばし方も、彼の演技だとすごく自然に感じられる。キャラクターの美学のようなものがすっと香り立つような感じ。

バーのマスターを演じた佐々木潤には強くフレキシブルな視線がありました。場の雰囲気を引き締めながら、めまぐるしく動いていく物語の場に箍をはめるような役目をしっかりと果たしていく。地味な役回りなのですが、物語の香り立たせる力がありました。

男優陣が作り上げた物語の枠の中で、女優陣がその力をいかんなく発揮します。望月綾乃の滲ませるように内心を伝えるお芝居には、ナチュラルな質感の中に危うさと強さが絶妙に編みこまれていて。キャラクターがもつ表面のしなやかさとコアの強さが丁寧に説得力をもってやってくる。そして、岩本えりのお芝居、息を呑みました。小さなセリフにニュアンスががっつりと乗ってくる。良い意味で生々しく女性としての感性がつたわってくる終盤、さらにはその力が澤田の演じるキャラクターの底浅さを見事に浮かび上がらせて・・・。この人すごい。

原案・脚本・演出・役者・・、作り手側それぞれの力が見事にかみ合って、見応えのある舞台でありました。

Side-B (ロング・ミニッツ-The loop of 7 minutes-)

脚本:広瀬格

演出:池田智哉

昨年末に上演されたプレイルームを観ているので主人公のバックボーンはすぐに理解できて・・・。でも、冒頭のシーンをほげっと観た後、次にやってくるシーンについては何が起こっているのかその意図がいまいち理解できなかった・・。

しかし、3度目あたりで芝居のタイトルを思い出し舞台のルールが理解できるようになって、4度目あたりの7分間あたりからぞくぞくするほど面白くなりました。中盤、ルーティンを重ねるごとに主人公のテンパっていく感じがどんどん見る側を引きずっていく。周りが多少の変化をしても、それはワンショットのことでその閉塞から抜けられない主人公のみが疲弊していくという雰囲気だけでも結構笑える。

しかし、本当に面白いのはそのあと、主人公がその時間の結末にいたるいくつもの分岐点に気がつきはじめてから。主人公がパズルに挑むがごとく、苛立ちとともに試行錯誤をしていく姿が観る側の感覚に共振して、続々くるようないらだち、疾走感、さらにはグルーブ感をもかもし出していく。

最終的に何度そのループが繰り返されたのかはよく覚えていないのですが、その世界の外側に抜け出した時、観る側には疲労感がしっかりと重なった突き抜け感がやってきて・・・。その一体感に、初めて物語に取り込まれきっている自分に気がついて。

振り返ってみるとひとつずつのシーンの作りこみに加えてシーン間のコンテンツのずらしが、とても丁寧に為されていると思うのです。

それぞれの役者がきちんと場に応じたキャラクターの匂いをかもし出しているのもすごくよい。

酒巻誉洋が手練の演技で物語を引っ張ります。次第につのっていくあせりに、彼の内心の色がじわりと滲みだしてくる。その感触が7分の繰り返しに観る側を閉じ込めるような厚みを作り出していきます。彼が醸し出す感情がそのまま物語のグルーブ感につながっていく・・・。乙黒史誠の演技には観る側がよりかかれるような堅実さがあって。後半湧き出してくる舞台の疾走感をしっかりと物語に繋ぎとめて見せました。

森田祐吏のバーテンには強い実存感があって・・・。仕事ができる感じが残りながらの自堕落さという、キャラクターのひねりの効かせ方のようなものが、観る側にすごくしっくりくるのです。こういう役者がひとりいると、物語の色がとても広がる。赤崎貴子は演じるキャラクターの息づかいのようなものを細かく表現して見せました。ルーティンごとに変わる彼女の想いを根気強く表現していく感じ。彼女の質感がそのまま、ルーティンの変化のバロメーター担っているような部分もあって、そのきめ細かい演技が、物語に密度を与えていく。

バーの客の二人にも力がありました。今城文恵のお芝居、前半と後半での存在感の落差に愕然。物語の中心線側に浮かび上がってくるときの地力やキレに常ならぬものがあって。唐突さがなくすっと物語に入り込んで物語を動かしていく。國重直也のお芝居は献身的でした。物語のルーティン性を維持するがごとく均質なお芝居を続けながらその色があせないのもすごい。

物語の外枠をみせるラストシーン、観る側にも心地よい疲労がやってきて。舞台上の物語の空気に、ほんの少しの懈怠感がすごくマッチするのです。

                                       ほんと、観客を舞台の空気とともに走らせるようにな、広瀬×池田ワールドの吸引力に、がっつりと取り込まれてしまいました。

R-Club

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ろばの葉文庫「僕らの声のとどかない場所」のライブ感

ちょっと遅くなりましたが、2010年1月13日ソワレにてろばの葉文庫「僕らの声のとどかない場所」を観ました。場所はArt Complex Center of Tokyo。

LeDecoを横にしたような施設だという説明を受けましたが、確かに入口から会場にたどりつくまでに展示室を幾つも通ります。

作品は、空想組曲の上演でいちど観ています。その時の牛水里美さんや中田顕史郎さんのお芝居につよい印象があって、今回どんな感じで再演がされるのかも楽しみでした。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

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世田谷シルク「美しい ヒポリタ」古典に縛られず古典に染める

2010年1月14日ソワレにて、世田谷シルク「美しい ヒポリタ」を観ました。会場は下北沢楽園・・・。

硬軟とりまぜた表現の力にがっつりと魅せられました。

(ここからはネタばれがあります。十分にご留意ください)

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ガレキの太鼓、「この部屋で私はアレをして」同一空間のお芝居

2009年1月6日・8日でガレキの太鼓 のぞき見公演#1、「この部屋で私はアレをして」を観ました。場所は、劇場ではなく、月島駅近くの某マンションの一室。

駅で集合して、精算までして・・・。そのあと何人かずつパッケージになってその場所に案内されます。

ちょっとどきどきで会場に到着して・・・。

そこは、普通のマンションの一部屋でありました。

(ここからは、ネタバレがあります。十分にご留意ください。)

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ロロ「Love」、べたなふりをした斬新な表現

2010年1月3日ソワレにてロロ第二回本公演、「LOVE」を観ました。会場は王子小劇場。ロロについては、前回新宿眼科画廊での公演を観ており、今回の公演も楽しみにしておりました。

(ここからネタバレがあります。十分ご留意ください。)

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昨年末の3作、「tea for two」「クロムモリブデン」と「and Me」

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

で、お正月から去年のお話で申し訳ないのですが、昨年末拝見したお芝居の感想をを3作分ほど・・・。

tea for two「ヒットパレードspecial」,クロムモリブデン 「不躾なQ友」とand Meの「くらやみに降るゆき」、いずれも見応えがありました。

(ここからネタばれがあります。ご留意くださいませ)

*tea for two「ヒットパレード Special」@中野シアターMOMO

劇団初見、知り合いの口コミに惹かれて観てまいりました。

A/B/Cと3つの公演、それぞれが4つのヒット曲を冠された短編が上演されるという趣向。なんとか楽日にAバージョンを観ることができました。

-タッチ

作・演出 :大根健一    出演 :大岡伸次・嵐田由宇

満員電車のなかでの男女のスケッチ。痴漢に思われたくない男性と、女性の心の動きを、お互いの心の動きをセリフに乗せるというあからさまな手法で表現していきます。

手の位置の置き方や二人がいつも同じ電車の同じドアに乗るちょっとした顔見知りであること、さらには電車の揺れなども加わって、お互いの想いの落差や妙なベクトルの一致が描かれていきます。

ありふれていながら、それでいて非日常な時間を作り出す手法がほんとうにうまいのですよ。役者の間も、絶妙。電車が揺れた後の絶妙の間など何気に見えて、実は針の穴を通しているようなお芝居のタイミングを気持ちよくクリアしていく。

なんというか、麻雀番組を観ているような面白さ、プレイヤー個々には決して見えない全体の位置に観客を置いて、それぞれの心の内を晒していきます。しかもお互いの想いが寄り添っていくところで次の駅に到着・・・。

あとには、ちょっと切ないのですが、なんかうなずいてしまうような感覚がしっかりと残されていて。

こういうコミカルさって理屈抜きに面白い。

-重き荷を背負いて

作・演出 :大根健一     出演 : 倉田知美

普通に勤め人をやっていると、こういう作品はボディブローのように効いてきます。

そりゃね、仕事をしていると、物語の内容に突っ込みたい部分も全くないわけではないのですよ。(たとえば品質保証の考え方など・・・)。でもそれを凌駕するコンテンツがしっかりと作りこまれているのです。

製品を半ばやけになって置いてきてしまう気持ちがとてもよくわかる。ドラマのなかに必然がきっちりと仕込まれているのです。得意先に翻弄される感じや皮肉な結末。それぞれのシーンでの心の動きが観る側にしっかりと渡されているから、主人公の力をふるいだすような雰囲気や、がんばろうと思う気持ちにもリアリティがあって・・・。

どこかデフォルメされているような感じがするのですが、実はとても実直に営業職の感覚がスケッチされていて。

ほろ苦く上質なウィットを感じる作品でした。

ー天体観測

作・演出  :石井信之   出演 :小森健彰・湯澤千佳

妹の家に居候にやってきた出稼ぎ中の兄。こどものために天体望遠鏡を買った兄に、日々の暮らしに少し疲れた妹が冷たくあたる。

しかし、兄の見る世界には、妹の心を癒していく力があるのです。

途中で攻守交代というか、兄の愛情が包み込むように妹の揺れを吸い取っていくような感じにうるっとくる。とくに妹の機嫌を取る感じでもなく、ただ自分の気持ちに正直に妹を思う兄の態度が、急がずもたつかず妹の気持ちを染めていく。

その解け方が、実は買ってきてあった兄の好きな酒をごそごそと出してくる妹の態度から鮮やかに伝わってきて・・・。

私は兄弟がいないから想像するしかないのですが、血のつながりが醸し出す愛情というのは、兄のためにごそっと机の上に出してくる2本目の缶チューハイのように、あんまりかっこよくなくて、でも、とても素直なものなのかもしれません。

兄のマイペースぶりと妹の苛立ちとのバランスがとてもよくて、観ているうちに深く引き込まれておりました。

-桜坂

作・演出 :大根健一     出演 : 畠山明子・渡邉亜希子

かつて同じ職場で働いていた先輩と後輩、先輩が略奪婚をしてしまったが、後輩との不倫関係も続いているというドロドロした関係。

不倫をしている後輩が先輩をじわじわと攻めていきます。次第に尖鋭的になっていく後輩・・・。かつての不倫相手との記憶をカードのように示していくのに対して、それらがすべて過去であることで、まるで闘牛士のようにその角先をかわす先輩・・・。

観ていて、面白いだけではなく、一人の男を争う妻のうしろめたさと不倫相手の気持ちにそれぞれのペーソスがあって。まるでシーソーのように上下する二人の位置関係と相まって観る側を飽きさせないのです。

攻められながら、一ラウンドごとにポイントを重ねていく妻のゆとりと、ポイントを重ねられるごとにKOを狙うかのように力みが見られる後輩、ラウンドが終わった後の間やそれぞれの表情が観る側を前のめりにさせていく。二人の役者が作る空気になんどもぞくっとくる・・・。

オチとなる「蕎麦打ち」のエピソードにもしっかりとした説得力がありました。

***

時間がなくて、他のバージョン(B/C)を観ることができなかったのがとても悔やまれる・・・。

べたな言い方ですが本当に面白かったです。

*クロムモリブデン「不躾なQ友」@赤坂レッドシアター

作・演出 青木秀樹

2009年12月30日、ソワレにて拝見しました。

クロムモリブデンは前回の公演が圧倒的だったし、あちらこちらに客演の役者さんたちにもその力を見せつけられていたので、観るほうもかなりハードルを上げて劇場にでかけたのですが、そんなもの簡単に飛び越えられてしまいました。

夢の世界と現実がそれぞれに観る側に積っていきます。そこに、催眠術というかその幻想をコントロールする存在が浮かんで・・・。

繰り返しの中で、重ね合わせられていく心的風景がジワリジワリと観る側に塗り重ねられていく。

冒頭から個々のシーンに常ならぬ密度が醸成されて、そのテイストが観る側をがっつりと舞台に引き寄せます。ルーティンが麻薬のように効いてくるというか、あざといほどに引っ張られる。

そこまでにからめとられているから、テイストそのままのパターン崩れが馬鹿におかしくて・・・。で、すっと心が浮いた瞬間に舞台上のさらなる世界に転げ落ちるように取り込まれてしまうのです。

ダンスの厚み。いつもの倍盛りのような動きが醸し出すウィット。さらには、まるで、ラクビーのオールブラックスを彷彿とさせるような二つの概念の対立やその先の混沌・・・。一つのコマに倍の動きを押し込んだようなその振り付けが、何かを覆うものを確実に剥ぎとりその本質を観る側に晒します。観る側は圧巻の動きの中に、潜む抜けられない感覚や想いのループに首の先まで浸されてします。しかも、そのシーンが物語から乖離することなく、銃を撃つための必然性がきちんと織り込まれている。

劇団の役者たちの色の強さもたっぷり強くて、しかもきちんと洗練があることに改めて瞠目。加えて客演陣もがっつりと安定していて、おまけにふくらみというか肉汁たっぷりのお芝居で・・・。それぞれの役者が個性を埋没させていないのです。

出演 : 森下亮・金沢涼恵・奥田ワレタ・久保貫太郎・渡邉とかげ・幸田尚子・小林義典(以上、クロムモリブデン)

武子太郎・花戸祐介・鶴田祐也・北川大輔(カムヰヤッセン)・中川智明

終演にいたるシーンにも、ちょっと常ならぬインパクトや感覚がりました。観る側の平衡感覚をすっと危うくするような戻りというか回帰がそこにあってぞくっとなる。その感覚を創出する役者達の精緻な力技に、終演後もしばらくぼうっとしておりました。

*and Me produce number5「くらやみに降るゆき」@渋谷 Edge

作・演出:笹峯愛

12月31日マチネにて拝見しました。and Me,初見です。

中央の舞台を広く取った対面座席。マットやボール、手でめくる黒板のついた得点板や跳び箱までが置かれて、体育館とか準備室の独特の匂いまで伝わってきそう。ダルカラのときにも思ったのですが、このスペースは外の空気を取り込めるのも強み。開演前から場の雰囲気に浸されます。

開演すると、その中で、ひとつのエピソードが演じられます。その雰囲気と懐中電灯が照らし出す世界に、懐かしい思わせるような学生時代の感覚があって・・・。そのナチュラルさがきちんと観る側に足跡をつけていく。そして、物語は今に翻って、女子バレー部のOB会の風景に導かれます。その中で、キャラクターが抱えるものが次第にあらわになっていくのです。

女性だけの物語なのに、なぜか武骨なテイストがあって。キャラクターたちにごつごつした質感を感じます。舞台の時間はとても流暢に流れていくのですが、そこから溢れるいろんな感情は、流れることなく塊になって観る側に押し込まれてきます。

その塊の解け方も、どこか不規則で不器用なわだかまりや揺れに満たされて・・・。、でも、それだからこそ、観る側も流すことなくじっくりと受け止めてしまう。心のわだかまり、消化しきれない過去、それぞれの個性に不揃いでこなれきれない想いが乗せられて、観る側の理解を埋めていきます。隠されたようなうちとけない時間があるのに、そのリアリティに目を見開いた刹那に、個々のキャラクターがそれぞれに持つ繊細さを感じ、さらにはその繊細さの先にあるかたくなな部分までがじわっと観る側に飛び込んでくる。

出演 : 大見遥・異儀田夏葉・平手舞・青木岳美・長峰稔枝・南波有紗・成田沙織・菅川裕子・笹峯愛

それぞれの役者のお芝居が本当にしっかりとした足腰を持っていて。それが物語を踏みしめるような強さとして舞台上に現れる。だから整理されていないようなキャラクターの想いであっても、観る側が舞台上につなぎとめられてしまうのです。個々の心に宿る重さが観る側に不器用に積っていく。でもその役者のお芝居字力に裏打ちされた不器用さだからこそ、観る側に伝わってくるものがあるのです。

ラスト、マチネであることをすっかり忘れて忘れてしまうような扉の外の深い闇。外気の冷たさに何かが覚めて、その雪に浮き立つ心にすっと解き放たれるものを感じる。外が光に満たさる気配はないのです。でも、そうであっても、凍てついていても、舞台上に重なったものが遠い向こうで癒されていく兆しを感じる。

キャラクターたちが完全に解き放たれることはないのだとおもう。でも、そうやっても、生きていくのだと思う。その強さが役者たちにしっかりと支えられている。

2009年最後の観劇・・・、たっぷりといろんな感触を抱えたまま、大晦日の渋谷を歩いたことでした。

R-Club Annex□■□

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