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時間堂「smallworld'send」何かを超えた5作品

ロングラン公演をしていることにかまけて、書き込みが遅れましたが、10月25日に時間堂、「smallworld’s end]を観ました。場所は王子スタジオ1。元々は普通の商店だったところを改造して演劇用のスペースにしたとのことで、シャッターを下ろさない限り、通りからでも公演の風景が見えてしまうという、不思議なスペースです。

長編が2本、中短編が3本。

長編についてはWIPを拝見しておりました。

(ここからネタばれがあります。お読みいただく際には十分にご配慮をいただきますようお願いいたします。)

演出は黒澤世莉

5つの作品の上演オーダーは決まっているのですが、その順番をどちらからたどるかが日によって異なるという趣向。私が観た日の順番に従って感想などを・・・。

・星々を恐れよ(長編) アゴタ クリストフ作

主人公を演じる佐野功のお芝居が淡々とペースメークをして、他の出演者たちが彼のリズムをベースにお芝居をしていく感じ。登場する個々のキャラクターの想いが佐野の色の上でしなやかにくっきりと浮かび上がり、そこから今度は佐野のキャラクターが緩やかに強く伝わってくるのです。佐野の折れないしなやかさをもった淡々さに観る側が安心して身をゆだねられる感じ。彼をとりまく女性たちもテンションをもって個性を演じきっていました。

ある種の達観がもたらす不思議な軽さがすっと作品全体の色を染めて、義父の死にも説得力が生まれて・・・。大竹悠子が醸し出す度量のようなものが安定しているから戸谷絵里の繊細さがしっかりと浮かんでくる。小安光海が醸し出す艶には観る側をじわっと揺らすような空気があって。

百花亜希は芯の強さと繊細さの二層をそれぞれに操りながらキャラクターの質感を作り出していきます。そこには佐野が演じるキャラクターとの時間を、設定や言葉ではなく、空気として観る者に伝えきるような力があって。出水由起子から滲み出る想いの表現も観る者を浸潤していきます。ベクトルの幅と方向があって、それをしなやかにコントロールするセンスがとても魅力的。

男優陣はそれぞれにキャラクターの色がかっつりと作られている感じ。鈴木浩司のお芝居からは欧州人からみたアメリカ人のニュアンスが見事に伝わってくる。笠島清剛の醸し出すちょっと鼻もちならない軽さもすごくしたたかにデザインされていて。浜野隆之の刑事にはその職業が持つ凄味のようなものが織り込まれているので、キャラクターが持つ人間味のようなものが不必要に甘くならない。結果として物語に重くなり過ぎない深さを与えていたように思います。

坪内悟の義父役には佐野の芝居に収めどころをつくるような深さがありました。キャラクターの内側にある空洞のような部分が観る者にしっかりと伝わってくる。主人公の行動の種明かしも義父の死も、彼のお芝居によってすっと通っていく。

登場人物それぞれの想いがすうっと消え、て一つの色に変わるような終盤に瞠目。

WIPの時と比べても、しっかりと統一感が作品にあり、それゆえ個々のキャラクターにしっかりした実存感が生まれていて・・・。その密度の高まりに目を見張りました。

・工場でのもめごと(短編)ハロルド・ピンター作

冒頭の押さえた感じや雰囲気作りがしっかりと効き、後半の力技に圧倒的なグルーブ感が生まれました。

大川翔子百花亜希の相性が凄く良いのでしょうね・・・。互いが互いの力をぐいぐい引き出すような感じ。完璧に決まっていく台詞が観ている側はもちろん演じている側にとってもすごく心地のよさそうな熱を醸成していく。

この面白さって理屈じゃないのだと思うのですよ。ある境地までひたすら演技が磨きこまれているからこそ、戯曲に内包しているニュアンスがパンチラインで解放される。戯曲が求める「演技の卓越の領域」に二人ががっつりと足を踏み入れて・・・。

なかなか体験できないような突き抜け感に、観終わって拍手をしながら心が躍っておりました。

・熊 (短編)アントン・チェーホフ作

境宏子が冒頭からしっかりとキャラクターを演じ上げます。自らを律し支える女性の艶や内心までがひとけた違う解像度で現出した感じ。ロシア人女性の自尊心がしなやかな演技から沸き立つよう。そこにやってくる白鳥光治の愚直さや頑固さにもぐぐっと実存感があって、その不器用さにしっかりと筋金が入っている感じがする。そんな感じでも、二人のお芝居にはキャラクターの内側に満たされた資産家としての教養や知性がしっかりと折り込まれているのです。

それぞれの言動が相手の怒りの触媒になっていく姿が本当に面白くてぐいぐいと惹きこまれました。舞台のテンションというか質感が奥行を持ってしなやかに増していく感じ。で、観る側がちゃんと頂きまで連れてきてもらっているから、怒りの対象が憧憬に変質していく終盤にも不自然さがない。ここがまた実に面白いのです。チェーホフのお芝居の面白さって物語をここまで引っ張り上げる役者のクオリティが前提なのかも・・。

双方の中間にある戸谷のお芝居の間がすごくよくて、随所で場の雰囲気に豊かさを付け加えて。見ごたえたっぷりのひと品を拝見することができました。。

・かんしゃく玉(短編)岸田國士作

百花亜希がいきなりロシアから日本に舞台をトリップさせてしまいました。この人がつくる、その国のその時代の色が本当に秀逸。観る側が何かを考える前に、舞台の雰囲気に染めてしまうようなしなやかな力があって。で、貞淑さにちょこっと世渡りの器用さを持ち合わせ、でも、その気持ちが揺らいだ時伝法な気持ちをかんしゃく玉にゆだねる空気がすごくよい。その、ちょっと息詰った内心の気配にかんしゃく玉の炸裂音(擬声)がほんとうにあうのですよ。

主人や主人の友達との関係にも、暖かさとペーソスがバランスよく配されて、ヘチマコロンの瓶の使い方が絶妙におかしい。笠島清剛から伝わってくる恋慕と誤解されかねないようなタッチも秀逸。浜野隆之坪内悟のコンビネーションがすごくよく研がれていて、そのウィットが時代の色をさらに深くする。

小安光海のちょっと下世話さを残した艶にも目を奪われて。

かんしゃく玉の破裂音から伝わってくる溢れそうな想いから、夫婦間の機微を演じる役者の繊細な表現力を感じて。伊坂沢の惚れられるダメさのようなものもその時代だと絵になるのです。

空気感に浸り、物語の肌触りに魅了されてしまいました。この作品、大好きです。

・奴隷の島 ペール・ド・マリヴォー作/坂井三喜訳

実は、WIPを観た時にはけっこう不安を感じた作品。

その時には、なにか箍を失ったような印象があって、なんというか個々のお芝居が、キャラクターの個性を頼りに、あちらこちらにふらふらと観客を引っ張っているようにすら感じて・・。パーツの良さはあったのですが、物語全体を包むだけの膨らみが決定的にかけている感じがしました。

でも、本番では、作品に物語の枠組みと広がりがしっかりと生まれていて。一番の違いは大川翔子の突っ込みのよさ。WIPの時にあったためらいが消えて、抜群のクオリティとタイミングで突っ込みを差し込んでいきます。それが、大川演じるお姫様がもつある種の無神経さというか傲慢さを現わすだけではなく、他のキャラクターの独善性を際立たせていくのです。

奴隷たちと島の住人を演じる3人には、独演会に近いシーンが用意されていて、役者たちもすべてを解き放ったような大迫力のお芝居を展開していきます。大竹悠子のおしゃべりパワーにぐいぐい押される。とてもきれいな女優さんなのですが、話を聞いていくうちに、こうおばさんっぽく腰がどっかり座ったような感じがしてくるほど。鈴木浩司のマイペースぶりも半端ではなく、しかも不思議に理を説く力を与えられているから、彼の世界にと引き込まれてその色にべとっと染められてしまう。小田篤史は渾身のお芝居、グルーブ感が場を突き抜けてそれでも飽き足らず引っ張り続ける力に鳥肌が立つほどの力があって。、

伊坂沢が演じる王子様からやってくるノーブルさや若さ、さらには子供っぽさというかひ弱さにもだっぷりの実存感があって。どこか無駄に強気だったり、戸惑いとためらいが内包されている感じが細かい演技からやってくる。

それぞれのお芝居が枠を外れて突き抜けそうになるところを、大川の突っ込みがうまく一つの箍の内側に収めるから、ラストの大団円の常ならぬ高まりが唐突にならないで、まっすぐに膨らんでいくのです。

まあ、観た回からさらに昇華させることのできる部分もあるとは思うのですが、それでも、観た会のクオリティにまで古い物語をよくここまで運んだなと思うし、それを具現化させた役者の力もそれぞれに半端じゃない気がするのです。

********  ********

観ているときには疲れなど感じなかったのですが、6時に始まったお芝居が終わってみれば10時近く。作り手の真摯さが、観る側の時間間隔を失わせたような舞台でありました。

この公演は11月3日までとのこと。どこまで進化しているカ、本当はもう一度みたいのですが、時間が取れないのがすごく残念なことでした。

〇◎〇 〇◎〇 〇◎〇 〇◎〇

余談ですが、「工場でのもめごと」については公演の映像が劇団のHPにアップされていて、けっこううれしい。

ただ、「生を観てしまうとねぇ」みたいなところもあったりして、お芝居というのは絵を味わうだけではなく空気をたくさん味わっているのだなぁとあらためて痛感したことでした。
(リンクに問題があるようでしたらご指導ください。対処いたします。)

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コメント


すげーwwwwwマジで金貰えたしwwwwww
なんすかこりゃーーーー!!!!!!

まさかの3 Pで報 酬 倍だしwwwwww
てか俺寝てただけだぞ? こんなんで稼げていいのかなwwww

月末までアポビッシリだから誰かヘルプしてくんね?(^^;

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投稿: おおおいいいいいいぃ!!!!! | 2009/11/02 18:55


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この子、枯れ果てるまで抜っき抜きしてくれますねんwwwww
こんなのあるって知ってたらマ ン ヘ ル通いしてなかったっつーの!!!!!

てかもっと早く知ってたら・・今頃車とか楽勝で買えてたのになーo(>_<)o
あと2ヶ月の我慢だわさ・・・・(-_-〆)

投稿: フォウフォウフォウ!! | 2009/11/07 14:52

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