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chon-muop「夜の口笛」ゆっくりと常ならぬものへ

2009年9月19日ソワレにてchon muop#6「夜の口笛」を観ました。場所は仙川のniwa-coya。

劇団から丁寧な道案内のメールを頂いて、さして迷うこともなく到着。建物の持つ雰囲気に包み込まれるように開演を待ちます。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意くださいませ)

台本・演出:櫻井拓見

木造のやわらかい雰囲気に満たされた喫茶店での公演。開場時から流れる時間がそのまま物語につながっていきます。手作り感いっぱいのカフェの雰囲気がそのまま借景になって・・・。

ふたりの女性の会話がすごくヴィヴィッド。

客入れ中から時々練習する「三ツ矢サイダーの歌」(!?)

歌遊びのような感じなのですが、導入部分から観客をちょっと楽しくさせるようなグルーブ感があって、観て聴いて心地よく・・・。

それがカフェの雰囲気に実存感を与えてくれます。一方でずっと客入れ時から奥のテーブで眠っている役者さんのお芝居があったり・・。

客入れの時間が終わって気がつけばお芝居の時間にそのまま導かれています。無口なマスターが現れて。客入れの時間がいつしか芝居の内側に塗りかえられている感じ。

眠っている女性が目覚めたり、途中で乱入してくる男がいたりで、木造りの家の雰囲気が少しずつ変わっていくのですが、それらを、なんていうのか、すごく自然に受け入れることができるのです。個々の役者が自然な肌合いで織り込む小さなお芝居のデフォルメが、古くて家の魂が宿るようなカフェを妖もいっしょに過ごせる世界へとすこしずつずらしていく。

ドアのきしみ音や窓ガラスの揺れる音。コーヒーの味比べが物語のモチーフを浮かび上がらせて・・・。

夜に口笛をふいてはいけないよ・・・とか、ことひこ(?)のこととかも含めて、この場所にあるものが、観る者の呼吸にまで入り込んでくるように思えてくるのです。だからこそマスターと眠っていた女性の対峙する時間、マスターの表情の変化に息を呑んで。

終盤、そっとどんくりを添えた女性のお代の置き方が、とてもほほえましく感じられて。気がつけば常ならぬ世界と流れる時間にやわらかくしっかりと取り込まれておりました。

役者のこと、二人の女性、菊地千里たけうちみずゑは前述のとおり、なにか木造の家に息吹を与えるような勢いがありました。菊地の所作にはなにげない切れがあって観ていて小気味よい。一方たけうちはキャラクターのどこか底知れぬ強さをしたたかに表現してみせました。でも、明るく元気というよりはふたりの時間をつぶしている感じが実感として伝わってきて。

途中で入ってくる男を演じた田中晶は、その場になじむぎりぎりのインパクトとウィットを具現化させてみせました。大仰さが醸し出す不気味さとおかしさの配分が絶妙。マスター役を演じた渋谷橙は、ストイックな感じのマスターをテンションを持ちつつも気負わずに演じて・・・。二人の女性との距離感のようなものが観る者ちょっとしたキャラクターの気難しさのようなものを感じさせます。それが後半のヤスミとのお芝居にしっかりとつながっていました。

その眠っていた女性、ヤスミを演じた中村智弓は彼女の時間を滑らかに作り出していました。彼女に訪れる眠りがすごく心地よさそうで・・・。一方で豊かな感受性が観る者につたわってくる。その雰囲気がすっと木造の建物全体の時間を取り込んでいくようで・・・。

お芝居が終わって、アンケートを書きながら、ふっと自分の見えているものが従前と違っているような錯覚にとらわれたり。

コーヒーの香りをお土産にいただいて、ちょっとふわっとした気持の帰り道。最寄駅から家まで、すこし遠回りのお散歩をしたくなったり。

家の近くの欅並木、風の音が何かのささやきとも思えた事でした。

余談です。

場所が不安だったので開場時間前について、入場と同時に席の選択になやむ。奥側の並びのできるだけ見切れのすくない入り口の方だと役者の方の表情がよく見える。(私が座ったのかここ)。一方で舞台というかお芝居全体を俯瞰するのであれば入り口がわの席の方が良席かも・・・。早く着いたものの特典としてこういう選択もちょっと楽しかったり。まあ、どの席であっても、この近さでこのクオリティのお芝居を観るのは、凄く贅沢なことかと。23日までの全公演が完売になるのも至極うなづけるのです。

ワンドリンク付きとのことで、ミントティをいただいたのですが、これもすっきりとしていて美味しゅうございました。

ちなみに、今回の芝居と劇団が11月末におこなうお芝居は、共にヤスミさんの日記として「100の耳打ち」というブログにUPされている出来事と結び付けれらているとのこと。観劇前にはざっと流し読んだだけだったので、気がつかないところもあったのですが、帰ってから読み返んで思わずうなずくところがあって・・・。同時に仙川劇場での次回公演も是非に拝見したくなりました。

(ブログのリンクについて、問題があるようでしたらご指導ください。対応いたします。)

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