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15 MINUTES MADE VOLUME6 いろいろと沁み込む

6月28日 マチネにて Mrs.fictions presents 15 MINUTES MADE VOLUME6を観てきました。
場所は池袋シアターグリーン BOX in BOX THEATER.
このシリーズを観るのは3回目、ここで知ってその後本公演を見に行った劇団もけっこうあって・・・。

(ここからネタバレがあります。十分にご留意ください。)

今回も6劇団。主宰の今村氏のあいさつのあと、客電がついたまま、最初の劇団が舞台に登場します。

1.ロロ 「ボーイ・ミーツ・ガール」

 折込パンフレットに書いてあるとおり、男の子が女の子に会う話です。夢の話という感覚も言われればそのとおり。ただ、もっと解き放たれている感じがしました。
ある種の浮遊感がテイストとしてあって、一つの事象が歯止めなくすっと広がっていく感じ。過去の恋人のことも、今付き合っている人を守るという感覚も、その根というか記憶はどこか曖昧で、でも刹那の事象がとてもクリアに感じるのです。

それは台風のようにやってくる殺人鬼の存在感にも現れていて・・・。夢と現実のはざまにあやうく軽い感覚がすっと浮かびあがってカタストロフが実存しているような気がする。
なんというか、その不思議な口当たりに、強い嗜好性が潜んでいるようにも感じたり・・・。

作・演出: 三浦直之

出演:篠崎大悟 島田桃子 田中佑弥 望月綾乃 森本華 玉利樹貴

2.劇団掘出者 「パーフェクト」

ある男の部屋に突然女性が現れる。彼女は自分が母親だと言い張ります。そこにさらに男が現れて、今度は逆に女性がその男を拒絶する・・・。部屋の住人に関係のない話の先には、女と男の求めるものが浮かび上がってきて・・・。
役者の演技に不自然さを凌駕するような説得力があって、非現実的な設定の向こうに、実存感のある他者への期待や望みが浮かんでくる・・・。
狂気を感じる一方で、その狂気を否定しきれない感じがすごく印象に残って。

母親を主張する萩野友里の作る緊張感の変化にずるずるっと引き込まれるような感じがして・・・。その演技に目を奪われていました。

作・演出: 田川啓介

出演:荻野友里 澤田慎司 村松健 工藤洋崇

3.劇26・25団 「隣人と祝福」

この劇団は前回の本公演を観ています。

ひとり暮らしの女性が隣の部屋の独身男性の生活を盗み聞きするという、その女性の心情に生々しい実存感というか説得力があって。どこかコミカルでちょっと居心地の悪い舞台の空気がすっと膨らんでいく感じがうまいと思います。ビデオレターのあけすけさにも説得力がありました。

ただ、15分という時間にちょっとたくさんの感覚を詰め込みすぎた感じもします。

作・演出 杉田鮎味

出演:長尾長幸 林佳代 駒木根隆介 杉田鮎味 須藤真澄 **映像出演**赤萩純瞬 杉元秀透

(中入り・・・・、じゃなくて休憩)

4.バナナ学園純情乙女組「遊ぶカネがほしかった」

何度か観ている劇団でありまして、よくも悪くも彼女(!?)達でした。まあ、知っている人間にとっては楽しく観ることができましたが、初見の観客にとっては何がおこったかよくわからなかったかも。

本公演に比べても浅川千絵の存在感の大きな舞台で・・・。打率的な功罪はあるのかもしれませんが、彼女がこの劇団にとって大きな武器になっていることを再実感。

作:中屋敷法仁 演出:二階堂瞳子

出演:前園あかり 菊池佳南 加藤真砂美 野田裕貴 二階堂瞳子 ※まり ロロロ 浅川千絵

5.ワワフラミンゴ 「早く行け」

ぶっちゃけ、はまりました。この色ってすごくわたし好みかも・・・。どこか不条理で理不尽なのですが、すっとしみ込んでくる世界があって。その軽さというか口当たりがすごくよい・・・。

烏賊が夫という設定ををさらっと押し通すしなやかさも好み・・・。おいしいものをすべていれたおにぎりという設定にも不思議なおかしさがあって。

この劇団、本公演を見に行くともっとはまるかも・・・。

作・演出:鳥山フキ

出演:菊池千里 すどうりえこ 北村恵 宍戸円 原口茜 石井舞 菅谷和美

6.Mrs.fictions 「まわる」

まあ、手慣れているというか、15分という尺を一番うまくつかっていました。でも、この作品の秀逸さはそれだけではなかったように思います。

ワンショットバーの男たちと女性がいる神様(?)の部屋のどこかルーズな連携。神様の横恋慕の表現と物事のちょっとした滞り。

時計が動き出すという感覚、時間が停滞するひとときと時間の流れにすっと戻っていく男女の姿・・・。プラレールや短い映像の使い方も実に効果的でした。

また、百花亜希の醸し出すちょっと芯のある繊細さが、物語に絶妙な歯ごたえを作って・・・。すごく良いキャスティングだったとおもいます。

原案・脚本:今村圭佑 構成・演出:生駒英徳

出演:岡村康弘 夏見隆太 松本隆志 百花亜希 8

今回は舞台転換もすごくダイナミックで・・・。次々に雰囲気が変わっていく舞台がそれぞれの劇団にしっくりとはまっていくのがなにか心地よくすらあって。こちらにも見ごたえがありました。

この企画、観た3回がすべて当たりということで次回も是非に観たいと思います。VOLUME7、楽しみです。

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