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「ハルメリ」 顕わになっていく概念に惹かれて

2009年6月25日、西村和宏+ウォーリー木下企画「ハルメリ」を観てきました。作は黒川陽子。場所は小竹向原のアトリエ春風舎。実をいうとこの場所、初めてなのですが、池袋から意外と近いのですね・・・。駅からもそれほど距離はないし。ただ、劇場に下りていく階段が急なことにはちょっとびっくりしましたが・・・。

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

冒頭のハイテンションや創意溢れる舞台装置に目を奪われますが、実は鳥肌が立つほど深い含蓄を持った話。「ハルメリ」という言葉が指し示す概念が顕わになっていく姿には観客を強く引き入れる力がありました。

必要悪であったり慰安であったりセーフティバルブであったり、連帯感のツールですらある「ハルメリ」の概念がしだいに現れてくる中で、ぬめっとやってくる居心地の悪さと麻薬のような危い感覚にぞくっとして、でも目を離すことができなくて。

しかも後半になると「ハルメリ」は単にその概念を明らかにするだけではなく、まるで鏡面のように「ハルメリ」とかかわる家庭や友人、職場、さらにはメディアやネットの世界に至るまで、時代の姿をクリアに映し出していきます。

「ハルメリ」発信源となったClub内の高揚感や、TV内部のちょっとウィットの効いた表現も目を惹いて。冒頭でハルメリとかかわった夫や妻が次第に変容してく姿にどんどん取り込まれていく。

遊び心が冗長に思えたり、物語のふくらみに継続したメリハリがな、く散漫さや密度のむらのようなものを感じる部分もあるのですが、最後の女性が堕胎を決めるシーンにはぞくっとするような説得力があって、終わってみれば物語のコアにある「ハルメリ」の質感のようなものにがっつりと浸されていたことでした。

役者は以下のとおり:

三原玄也・芳川痺・境宏子・片倉裕介・年清由香・山岡太郎・サカモトワカコ・荒木香奈・長島美穂・仲村祐樹・斎藤萌子・菊池美里・長野海・由かほる・大友久志・熊澤さえか・若旦那家康

若干役者間の力量の差はあったのは事実ですが、それぞれに切れを持った演技で個を見せる部分にも多くの鮮やかさを作り、一方で観ているものに挑むような群衆としても力を見せつける演出にも十分に応えていたように思います。

ウォーリー木下氏の演出も創意溢れる部分が多く、舞台美術も秀逸。ただ、この戯曲にしたたかに織り込まれている普遍的な部分、いろんな演出家の表現で観たいなとも感じました。アフタートークで劇団鹿殺しの菜月チョビ氏が、何度も戯曲にかかれている部分と演出の区切りについて質問をしていましたが、それは作品からやってきたパワーを原作と演出の力に切り分ける作業をしてくれているようにも思えたり。

よしんば一観客から見ても、演出家によって様々に異なる色を発する力がこの作品には内包されているような気がするのです。

R-Club

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