「飛ぶ鳥の高さ」に足りないなにか
2009年6月21日マチネにて青年団国際演劇交流プロジェクト2009 日仏交流企画「飛ぶ鳥の高さ」を見ました。場所は三軒茶屋シアタートラム。
当日はたまたまアフタートークの豪華版みたいなイベントが予定されていたことも手伝ってでしょうか、場内の年齢層はそれなりに高め。さすがに両壁面までの立ち見はありませんでしたが、場内は満席。微かな熱気の中で舞台が始まります。
(ここからネタばれがあります。充分にご留意ください)
主題にあるのは便器会社の凋落と再生の物語です
シンプルな舞台装置、舞台中央に積みあがったスクエアな3段の装置が会社組織のピラミッドの役目を果たし、社長・経営陣・社員、さらにはその外側の社外と分けられて前半部分の物語が進んでいきます。会社の雰囲気などの表現もすごくわかりやすくて、観ていて物語がどんどんと客席に広がっていく感じ。
社内の確執や経営者のあせり、老舗の便器会社が環境の変化に耐えられずに凋落していく姿がしたたかに浮き彫りになっていきます。
会社の政権交代の姿も結構生々しく、血族の争いにも生臭いリアリティがあって。
さらには段がひとつ取り外されてフラットになった舞台で演じられる後半、海外のマーケティング手法を取り入れ、会社を変革し再生させていくカリスマ経営者と会社の姿も、ダイナミックに伝わってくる。
日本書紀と会社の関係、さらにはルワンダの虐殺なども物語の骨格をささえていて、観ていて飽きることはありませんでした。
ミュージカル仕立てにした部分もとてもしっかりと機能していたし、
作者の分身であるという狂言廻し役の社員の存在も旨いと思った。
舞台上のプロンプターの表示もしなやかに機能していたと思います。
でも、観終わって、満足したかというと、実はかなり微妙だったりするのです。戯曲にも演出にも盛りだくさんの手練が感じられるにも関わらず、なんというか、観る側の深いところにまで、舞台上のキャラクターたちの思いが染みとおってこない。なにか精緻なモックアップを鑑賞している感じ・・・。
元々この戯曲は7時間くらいの長さが合って、そこから上演時間に合わせて4つのバージョンができたとのこと。今回の上演はそのなかの一番短いバージョンだったそうで、原本を削ぎ落としていく際に舌足らずになった部分があったのかもしれません。
一番気になったのは、企業が活性化する仕組についてダイナミックに描かれていたのに、人についての描き方が足りないこと・・・。
親子(社長も営業担当者も含めて)の距離や兄弟間の確執、社内の人間関係・・・、それが事象にとしては非常にしたたかにに描かれてはいるのですが、それらのバックボーンにある人間の想いが、なにか書割のように感じられるのです。不思議なことに役者の芝居がしっかりとしていればいるほど、そのキャラクターから伝わってくるものの希薄さが浮き立ってきて・・・。また、希薄であるが故に、ダイナミックに動く会社の根本が人であるという終盤の新社長のスピーチなども凄く作り物っぽく感じられたり・・・。
決して悪いお芝居ではないと思うのですが、たとえば昨今の秀逸なお芝居たちに比べると、なにか血がめぐりきっていないような感じがするのです。そういうジャンルの芝居だといえばそのとおりだし、優れた部分がたくさんある作品であることも認めるのですが、観ていてどうしても大味な部分を感じてしまうことは否めないのです。
クレジットは以下のとおり
作:Michel Vinaver
演出:Arnaud Meunier
翻訳:藤井慎太郎
出演:山内健司、ひらたよーこ、松田弘子、志賀廣太郎、永井秀樹、天明留理子、太田 宏、大塚 洋、
田原礼子、石橋亜希子、大竹 直、畑中友仁、高橋広司(文学座)
Philippe Durand,Elsa Imbert,Nathalie Matter,Moanda Daddy Kamono
さすがに役者達の演技には見ごたえがあって・・・。惚れ惚れするほど。劇中歌もなんか楽しいのですけれどね・・・。
たとえば、最近観たあちらこちらの小劇場の秀逸な作品たちって、この作品を凌駕してしまっているように思えてならないのです。
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コメント
Fuck!!!!
投稿: tarou | 2009/06/26 18:33
r-rabi(ららびー)が演技は出演ー!
投稿: BlogPetのr-rabi(ららびー) | 2009/06/27 13:38