電動夏子安置システム 「PerformenⅣ」律する快楽をみたような
2009年5月9日ソワレにて電動夏子安置システム第21回公演 [PerformenⅣ]を観ました。電動夏子安置システム初見。場所は池袋シアターグリーン Box in boxシアター。
この作品、2バージョンに分かれているとのこと。私がみたのはリネア編。
(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)
脚本・構成:竹田哲士 演出:高松亮
冒頭のシーンから、人の動きにやられます。椅子に向かいあう二人とその周りをまわる三人の動き、規則性をもってその規則性を超える広がりを感じる。さらには群舞・・・、人の営みをあらわすようなダンスがすごい。ダンスが本職ではない役者さんが演じるのですが、それがかえって味になって、鳥瞰したような現世の人間の姿が場内にしっかりと伝わって・・・・。
神の模倣である人間を点と線であらわすこととそれに縛られない姿への表現に関する議論。さらには神の意志に逆らった人々が落とされるという地獄の概念が暗示されていきます。
主人公は神の逆鱗に触れ地獄の一番深層に幽閉されているという師を探しての旅にでる・・・。その道程で体験する地獄の有り様というか概念がコントによって示されるのです。鉄骨のように組まれた物語の枠と、サンプルのように示されるコントの柔軟さに相乗効果があって・・・・。このやり方だとコントの理不尽な設定が許されてしまったりするし、一方コントから具体的に見えてくる地獄のニュアンスがメインの物語の肉付け的な役割にもなったり。で、そのコントが絶品なのですよ。
神というか人間世界を支配するものが、ぐたぐたにシチュエーションの始まりと結果を結び付けようとしたり・・・。
携帯のメールを何人もの伝言で伝えようとしてカオスが生まれたり・・・。
電車の中でのできごとに、無理やり入り込もうとして悪戦苦闘する男とか・・・。
共通して人間の行動を根幹からしたたかにつかみ取るようなセンスがすごい。ぞくっとするようなシュールさで仕組まれた笑いがやってきます。それでなくても手練の役者が演じるコントって奥行があり笑いが深い。結果として貫く力と表現する柔らかさを兼ね備えた笑いが現出する・・・。こういう笑い、私にはにめちゃくちゃにつぼなのです。
神の模倣である人間を点と線であらわすこととそれに縛られない姿への表現に関する議論。さらには神の意志に逆らった人々が落とされるという地獄の概念が暗示されていきます。
役者は以下のとおり。
渡辺美弥子・小原雄平・じょん・道井良樹・澤村一博・なしお成・岩田裕耳・小林裕明・高松亮・大鹿順司・小笠原佳秀・児玉久仁子・西畑聡・蒻崎今日子・片桐はずき・加藤なぎさ・菊地未来・小泉めぐみ・添野豪・武田真由美
役者の力には若干のばらつきを感じたのですが、それは物語を成立させる力が担保された上での優劣。
地獄の旅物語もラストまで尻つぼみにならず、さらなる広がりを維持して終幕。コントの必然性も最後まで揺らぐことがないのです。
やっぱりこういう良質なお芝居は、劇場を満席にしますね。良いものを観たと素直に思える作品でありました。
2バージョン両方を観ることができないのがかなり残念。あと、全然関係ないのですが、劇団名の由来も知りたく思ったり・・・。
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