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「第1回生喬の亀戸でまるかじり」手作り感

4月4日夜、亀戸カメリアホールの6Fにある和室にて笑福亭生喬ひとり3席の「第1回生喬の亀戸でまるかじり」を観てまいりました。

観客は30人強というかんじ、大きめの和室の後方にいす席が10席ほどで前方にはざぶとんがゆったりと敷いてある。こう適度なゆとりがあってリラックスして噺を聴けるような感じがする・・・。

穏やかな空気が会場を支配する中、師匠が登場、高座が始まります。

初っ端、ちょっと高揚感に言葉が上ずる場面も・・・。観ているほうにもその感情がダイレクトにつたわってきて、なにか一体感が場内生まれるのが心地よくて・・・。今回の開催の経緯のような話から最初の演目を意識した病院関係のねたふり、そして小噺をいい塩梅の時間配分で続けていく。小噺の切れ味がよくて場内が一気に温まっていきます。

・犬の眼

オーソドックスな演じ方ですけれど、人物描写がとても丁寧。人物を小さく描くのではなく細かく演じていく感じがとてもよくて・・・。ひとつずつの場面にあざとくならない程度のメリハリがついていて、観る者を噺の内側にしっかりとつなぎとめていく。そりゃ、何度も聴いたことのある話ですし、三席やっていただけるなかの最初ですから、気楽に聞き流そうかくらいで観ているのですが、気がつけば体が椅子の背から離れて前に引きだされている・・・。

医者の人の喰い具合の匙加減というのでしょうかねぇ・・・、妙に律義なところがちゃんと残っているのがいいスパイスになっていて・・・。

気持ちよくたっぷりと聞かせていただきました

***  ***  ***

一席目が終わって師匠は高座に居続け・・・。「犬の眼」が一番最初に稽古した話であることから一門の話、落語の稽古の仕方へとまくらが広がっていきます。福笑師匠の稽古の付け方には笑った・・・。目に浮かぶようですから・・・。

染丸師匠の稽古の話からさらには浄瑠璃の話へと移って・・・。まあ、芸談の範疇なのですが聞いていて本当に楽しい・・。観客を豊かな気持ちにする力が語りにある・・・。

さらには小拍子や張扇の説明とか結構定番の浄瑠璃の笑いの実演が挟まってその勢いで「豊竹屋」に入ります。

・豊竹屋

この噺は落語のなかの芸事のテクニックが生命線、即興浄瑠璃と口三味線のコラボの出来がすべてかと・・・。

枕で浄瑠璃の説明がしっかりされているから、その芸風にすいっと入っていける。ぐいぐいと熱が上がっていくようなグルーブ感があるのですよ・・・。場内全体がその調子の渦に巻き込まれるような感じ・・・。高座と客席にすごくいい相互連携のような雰囲気が醸成されていて・・・。

観客が生喬師匠の芸にしっかりと寄りかかることができるから成り立つ世界なのでしょうけれど・・・、すごい贅沢な高座を見たように思います

仲入り

・ねずみ

豊竹屋から変わって今度は物語を聴かせる噺、人情噺というのとはちょっと装いがちがうとおもうのですが、私的には大好きな噺です。

ねずみ屋発祥の由来を主人が甚五郎に聴かせるところが物語のメインディッシュかと思うのですが、その部分の語りにしっかりとしたボリューム感があるというかこまやかな厚みがある・・・。主人が追い出されていく物語からその人の好さがけれんなく浮かび上がってきます。子供の無垢な健気さに厭味がない・・・。甚五郎がねずみを彫ることに必然をもった噺の色がつくられていく・・・。

ここまでが十分な密度で語れているから、後半の顛末が瑞々しく生きるのです。オチもすきっと聞こえる・・・生喬師匠の噺のくみ上げが見事に生きたねずみの一言だったと思います。

この会、次回は10月10日だそう・・・。あまりによすぎて人様に教えたくないほど・・・。

今から秋が楽しみになりました。

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