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カスガイ「リビング」ワークインプログレス・「えほんをよむ」・劇団コラソン・やなぎみわ「マイ・グランドマザー」など・・・

先週末からなにかいろんなものを観ています。

エスカルゴ(こゆみ侍)などのお芝居らしいお芝居も楽しいけれど、それ以外にもかなり素敵な表現に出会ったので、ご紹介。喬太郎・吉弥両師匠のYEBISU亭も非常におもしろかったのですが、これは別に書こうかなと・・・

★カスガイ「リビング」~ワークインプログレス~

3月31日、王子小劇場にて4月下旬にあるカスガイの旗揚げ公演「リビング」のWIP(ワークインプログレス)を観てまいりました。

会社でほんの少しトラブルがあって予定を15分遅れて飛び出して・・・・、それでも前半の稽古のパートを半分以上拝見することができました。初めて観ることばかりで非常に興味深かったです。二人一組の稽古の姿から伝わってくる空気の密度のようなものがあって、観ていても熱を感じたりして。役者の方にとっては日常の光景なのかもしれませんが、見ていてちょっと感動してしまいました。

30分の休憩のあと、後半のパートで「リビング」を通して拝見させていただいて・・・。

お芝居の内容は書きませんけれど、脚本がよくできているなとおもった。そこから浮かび上がってくるものがすっと伝わってくる感じが観ていて気持ちよくて・・・。

でも、コンテンツがというかテーマには「気持ちよい」などとは全く違う色が滴るほどに含まれていて、作り上げられた芝居では、その色が「気持ちよい」という感覚をまといつつ、裏腹に観客を強く染めて上げていくのだろうなと思ったり・・・。

ところどころで台本を持った役者の演技にもかかわらず、気がつけば舞台の世界に取り込まれて時間を忘れて観入ってしまったし、突き抜けた部分が肌にまで伝わってくるような感覚にも襲われたり・・・。初日3週間前に明るい客席で見てもこれだけのものがやってくるのだから、本番は・・・・・どうなるのだろう。

いろんな意味ですごく期待が高まりました。これはお勧めの一作かと思います。

作:登米裕一 原案・演出・出演:玉置玲央

出演:須貝英・加藤敦・川村紗也・深谷由梨香・村上誠基・渡邉安理

★「えほんをよむ」

2009年3月28日、ラゾーナ川崎プラザソルにて「えほんをよむ」というイベントを観てきました。

絵本の画像を壁に映しながら、プロの役者や声優を中心に朗読をするという試み・・・。これはまさに「百聞は一見にしかず」の世界でした。

15時の回に伺ったのですが親子連れが圧倒的に多くて大人一人では入りづらいくらい・・・。

入り口から奥側に6段程度のひな壇に椅子がならべられた客席がしつらえられています、上手に大きく絵を写すスクリーンがおかれ、下手半分弱に演者たちの舞台が設定されていて・・・。6本の役者用マイクの後ろにはどらやパーカッションがならべられていて、楽器がきらきら光っている・・・・。

始まる前は、どこかの公民館での紙芝居大会のような雰囲気で、司会者のかたもそういうのりだったのですが・・・。始まった瞬間にそのクオリティの高さに度肝を抜かれました。

ひとつの絵がスクリーンに現れるたびに場内を包み込む役者達の表現の豊かさ・・・。声だけではなく表情や動作にもいろんなメッセージがこめられていて・・・。なんというか、絵に音をつけているのではなく、絵を大道具にして舞台から客席に、臨場感を溢れさせているような感じ・・・。音や演者の表現を補足するように絵が変わっていく・・・。

音響効果がまたいいんですよ。楽器の音だけではなく、棒状の風船を廻す音やシングルモルトウイスキーのパッケージ(筒状の入れ物)を使ったパーカッションに、なにか手品師の帽子から何がでてくるのか待っているようなワクワク感があって・・・。さらには役者達も音作りのお手伝いをするのですがそれも楽しい・・・。ライティング・・・。光の作り方も凄くセンスがあって、さらにはミラーボールまで登場する表現には観客を魅了する力があって・・・。

私のようなちょっといい歳したおじさんが、午前中からの用事でちょっと疲れて観ても、物語が始まるととにかく理屈抜きに楽しいのです。気が付けば大人の自分が子供の目線で物語あわせて心配顔や笑顔になっている・・・。

これを見た子供たちって、きっと舞台で演じられるものを観る楽しさを忘れないと思うのですよ。大人だって、お母さんだって、舞台をそれなりに観ているおじさんだって、目の前で演じられるものを観ることの楽しさを再認識してしまうわけで・・・。

しかも入場料はカンパ制。いろんな人がこれだけのクオリティのものに敷居なく気軽に触れることができるのがとてもよいなと思いました。

6月にも同じ場所で公演があるそうなので時間が許せば是非にいってみようと思います。
潤色/構成/演出:ささぼう
演奏:栗木健
出演:yukino 梶原航 小山裕嗣 小林美奈 夏目真紀子 鈴木千賀子 渡辺克己 大塚秀記 南雲りえ

★やなぎみわ「マイ・グランドマザーズ」

3月29日、東京都写真美術館2Fにて開催中の写真展を観にいってきました。YEBISU亭を観る前に時間があったので少し時間つぶしの意図もあって入ったのですが、その作品たちの力に魅入られてしまいました

会場に入ると、大きな写真がゆったりと並んでいます。込み合っている感じはなくて、ひとつずつの世界に向き合える感じ・・・。

写真の横にモデルになった女性の名前と写真の背景になる言葉が掲示されています。作品によって長いものもあればほんの数行の散文のようなものもある・・・。50年後の自分をイメージしてスタッフとモデルが話し合いながら世界を作っていったという写真。老け化粧をした女性が物語の中心にいて、言葉と溶け合いながらその世界で確かな呼吸をしています。年齢を超越したようにアクティブに働く女性の言葉は彼女のキャリアを伝え、書画骨董に埋没する女性は、その境地にある率直な心情を言葉にして・・・。すこし飽き飽きしたような態度で子供たちのたいくつな人生を占う老女のシニカルな言葉、一生を芸にささげて言葉に芸の心得を書き込んだ4人の老妓に漂うなんともいえないコミカルさ・・・。女性二人でゆっくり住もうと終の棲家買ったのに、パーティづけになってしまった二人の女性の表情・・・。

写真を眺めて、言葉に触れて、もう一度写真を見るとそこに吸い込まれるようなドラマがあって・・・。ドラマに取り込まれてその世界から今をみると、言葉の原点にある多分20~30代の女性の感覚が瑞々しくやってくる。明るいもの、暗いもの、希望、諦観・・・。写真を移動するたびに様々な感覚が観る者に押し寄せてくるのです。

ひととおり作品を観終わって帰ろうともう一度作品を飾ってある二つの部屋をぼんやり眺めていて不思議な気持ちになりました。なんていうのだろう・・・、その大きな部屋がいろんな女性の未来への旅の待合室のように思えて・・・。しばらく立ち去りがたく、じっと部屋の空気に浸りきっていた事でした。

★劇団コラソン 「SUPPORTER’s」

劇団初見、コレドシアター初見。

三虎タイガーこと空間セリーの深寅芥氏の作・演出作品。お芝居というよりはショーレビュー的な要素が結構強い作品でした。

(ここからネタばれがあります)

前半は特にショーレビュー的な感覚が強くて、3人組アイドルのいわゆるアイドル振りやファンの動きはそれだけで力があって・・・。配られたライトを振っているだけでなにか舞台との一体感が得られるのにもびっくり。

テーマは秋葉原ということで、その雑多な色がコンパクトに演じられていきます。メイド喫茶やSMテイスト、詩の朗読・・・、POPだったりディープだったりするいろんな色がしたたかにミックスされて・・・・。軽さや透明感や雑多さが満員の場内に広がっていきます。

で、新手のエンターティメントかと思っていると、そのファンのオタぶりが一瞬に変質していく。その切れ味がぞくっとするほど鋭く、シーンに実存感があって・・・。

観客に残すものを残して、終盤は格闘技の世界でうまく物語に形をつくって・・・・。物語をしっかりと重箱に治めた作・演出の三虎タイガーのしたたかさ、さすがだなと感心したことでした。

役者も多少の優劣はありましたが、それぞれに舞台を充分に支えきって・・・。

作・演出 : 三虎タイガー

出演:八木ひろあき・ハカセ・美波陽・屋良学・松中みなみ・加藤のどか・渡部真希・松田麗・彩音凛、ゲストあり

こういうエンターティメント、ありだとおもいます。

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ほんと、ばてばてになってしまったけれど、楽しい週末・週初めでした。

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コメント

どうもありがとうございます。
えほんをよむの演出で公民館ノリの司会者です。
楽しんでいただけたみたいで幸いです。
多くの方に触れていただきたいので、ぜひ、いろいろ宣伝してください。
mixiコミュニティーとこりっち宣伝もようやくやり始めました。
よかったらお願いします。
あ、突然失礼いたしました。

投稿: ささぼう | 2009/04/02 01:08

ささぼう様

コメントありがとうございます。
「公民館ノリ」、失礼いたしました。

「えほんをよむ」は、俳優の大塚さんがmixi上で案内されていたのを見てお伺いしたのですが、ほんと、そのコンテンツの凄さにびっくりしました。

Co-richやmixiも是非にお邪魔したいと思います。

あ、そうそう、休憩時間に配っていただいた飴、とてもおいしかったです。(感動して脳が糖分を欲していたのだと思う)

ありがとうございました。

投稿: りいちろ | 2009/04/02 12:02

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