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珍しいキノコ舞踊団×plaplax「Rainy Table」、心解かれる時間

2009年3月20日ソワレにて珍しいキノコ舞踏団「Rainy Table]を観ました。会場は三軒茶屋シアタートラム。

珍しいキノコ舞踏団の単独公演をみるのは本当に久しぶり・・・。

大入り満員で立ち見も結構出ていて・・・。

開演前、懐かしい昭和の音楽がかかる場内の雰囲気にもなにか暖かさが感じられて・・・。

(ここからネタバレがあります。十分にご留意ください)

振付・構成・演出: 伊藤千絵  舞台美術・映像演出・メディアテクノロジー: plaplax

音楽: 大野由美子 衣装:AOMI

出演:井手雅子 ・ 山田郷美 ・ 篠崎芽美 ・ 茶木真由美 ・ 中川麻央 ・ 伊藤千絵

雨の音・・・、そして太い雨筋の映像が全体を覆う中、舞台が始まります。

ナチュラルで柔らかい動き・・・。人と人の絡まり方に暖かさがあって、あっという間に舞台に取り込まれます。ダンサー達は四肢を十分に使い、体を合わせることによって独創的なシェイプを生み出していきます。それはたとえば少女が過ごす雨の日の部屋の中のよう・・・。すこし散らかった感じがしなやかな体重移動から表現されていてそれも絶妙・・・。ユニゾンの動きの豊かさ・・・。下手に置かれた大きなテーブルを使った動きにも創意があふれて・・・。

背面のでこぼこの壁にも工夫があって、突然扉が現出したり・・・。そこからと広くて殺風景な部屋のイメージが生まれて・・・様々な映像が移ったり凸凹に微かに揺れたり・・・。

絶妙にコントロールされたやわらかい動きに観ていて微笑みがこぼれたり、クールでちょっとコンサバティブなダンスに一気に引き込まれたり・・・。さらには馬のイメージ・・・。馬とたわむれ、馬と一緒にちょっと遠出をするような・・・。青銅色の大きな木馬も効果的・・・。

それが正しい解釈かどうかはわからないけれど、イメージがどんどんやってきて、心に映ると次がやってきて時間がたつのを忘れてしまう・・・。

映像も、たとえばPrecogなどの公演で使われるような緻密さはないのですが、でも身体が描きだすイメージに柔らかくフィットしていく感じ。さまざまな色の馬のシルエットをのように、舞台の外側からイメージを作って行ったり、どこかファンタジックな色使いがなされていたり。。なにより映像を見ているだけでも楽しい・・・。場面をつなぐようにスクリーンいっぱいの馬に喋らせるシーンが素敵なブレイクになって・・・。後半の雨がケーキや花などに変化しながら落ちていくなかでのダンサーたちの厚みをもった動きに、なにか子供のようにわくわくしてしまって・・・。

ちょっと気取った部分に好奇心、いたずら心に緊張を持った表現・・・。いろんな場面の底流にはソリッドすぎない温かみとしなやかさが満ちていて、とにかく観ていて飽きないのです。

終盤、全員が同じ黄色の衣装で踊るナンバーもすごくよくて・・・。スチールドラムを生かしたその旋律は前半のリプライズなのですが、明るいライトの下、ダンサーたちの動きが一層舞台に映えて・・・。やわらかくのびやかな動きのなかに、日差しと風とラフでどこか不揃いの自由さと小粋な諦観のようなものを感じて・・・・。やがてやってくるユニゾンの動きがこんなにも世界を広げる・・・。そのひとときの音楽と光とちょっとファニーなダンスからこぼれだしてくる不思議な至福が、アンコールの時にもずっと心を満たし続けてくれたことでした。

音楽もとてもキャッチー、あまり耳にのこってしまったので、上演用音楽のCD(会場限定販売)を購入。これ、ほんとによい・・・。

アフタートークがあって、伊藤千枝さんと舞台美術・映像等を担当されたplaplaxの3人のお話もとても興味深かったです。珍しいキノコ舞踏団として映像を今回のように取り入れたのは初めてなのだそう・・・。映像と動きのシンクロの技術をひとつずつ手に入れていくような作業が続いたとか・・・。今回の公演での映像はPrecogやfaifaiのように内側に映像作家がいるようなカンパニーとは一味ちがったゆるやかなシンクロ感を持っていて・・・。その裏話を聞かせていただいて、観客が楽しいと感じる作品が作られる中での気の遠くなるような試みの時間や、そうして作られた作品が醸し出すものの奥深さを感じたことでした。

この先、珍しいきのこ舞踏団がどのような世界をみせてくれるのか・・・、本当に楽しみです。

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