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Hula-Hooper『鱈。』の(は)・・・菊川朝子は見せ方を知っている

12月20日ソワレにてHula-Hooper『鱈。』の(は)を観ました。観たというより楽しんだ。開場の渋谷O-West 7thをフルに使った公演は観客をたっぷりと楽しませてくれました。

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(ここからネタバレがあります。十分にご留意ください)

Hula-Hooper初見、脚本・演出・出演の菊川朝子については「双魚」(七里ガ浜オールスターズ)以来。「双魚」の時の彼女の秀逸な演技はかなり強く印象に残っています。今回は彼女の作・演出によるちょっとしたミュージカル仕様のお芝居、彼女自身もドラムとグロッケンを叩きます。

会場正面のステージ部分は勿論、観客が飲み食いをしているフロアー全体をステージのように使って物語を進めていきます。とにかく観ていて楽しい。物語自身は確信犯的にちょっとチープで波乱万丈・・・。一時期の大映テレビような日本人の琴線に触れる香りをちゃんと残して・・・。でも、単純にパロディを見せて楽しませるというよりは、そのテイストを物語の枠組みにして観客と世界を共有している感じ。これなら作り手が多少の無茶をやっても観客側がついてこれるし、音楽やダンスも絡ませやすそう。開演前からうまく雰囲気を作って観客をすうーと世界に引き込んで・・

ミュージカル風の作品では、舞台と観客の枠組みの共有ってすごく大切な要素なのだと思います。昔々観たオフオフブロードウェイのミュージカルなどでも、観て面白いものにはしっかりとしたコンセプトというか枠組みがあったような・・・。現にこの舞台でも、物語トーンというか枠組みが観客になじんだ時点で、菊川が用意したさまざまなコンテンツが一気に真価を発揮しはじめます。

観客が作り手の世界にまで引き入れられたら、あとは造り手の腕次第。通路的なスペースが舞台になるから、役者の近いこと。本当に数十センチのところで芝居やダンスが演じられていきます。これだけ近いと観客のほうが役者と目が合って気押されてしまうことがしばしば。ヴィヴィドなダンスも表情から指先の動きまで観ることができる・・・。役者たちの持つ個性や魅力が直撃弾のようにもろにやってくる。しかも役者達が例外なくすごくいいんですよ。なにか貫きとおす気概のようなものがそれぞれの役者から伝わってくる。、それを観客が押されて引くことなく、しっかりと受け止めて極上のものとして楽しむことができるのも、菊川がしたたかに作り上げた枠組みのおかげ・・・。上枝鞠生、畔上千春などの役者としての間口の広さというか柔軟さには惚れぼれするほど。バルコニーを使ったり観客をいじったりするやり方にもウィットがあって厭味がない。

音楽の聴かせ方もすごく巧み・・・。物語の構成によって観せるところと聴かせるところをきっちり使い分けでバンドの構成を変化させる・・・。役者たちがうまくバンドに入り込んで物語を進めていく一方、高度な技術を持ったメンバーをしっかりと用意してここ一番を聴かせる・・・。音楽のクオリティ平均点ではとても高くて、物語を離れて演奏を聴いているだけでもすごく楽しい。たとえば菊川朝子のドラムはしっかり切れていたしクロッケンなどグルーブ感すら感じさせる・・・。上枝鞠生のキーボードもしっかりと機能していて・・・。

なかでも安田奈加 のピアノとボーカルにはしびれました。やや硬質の声質が曲によって見事にコントロールされていて、時にのびやかで、情緒があって、時にちょっぴりコミカルで・・・。バンド全体を底辺で支える力もすごいし、話やシーンをつないだり物語のトーンを構築するボーカルにはもう聴き惚れるだけ・・・。こういう人が入っているとミュージカルとしてのクオリオティが格段に向上します。そして観客の悦楽を何倍にも拡大するのです。

今回の出演者は、以下のとおり。

何か雰囲気があるので、劇団のインフォメーションをそのままに・・・・。

部長(脚本・演出)菊川朝子(Hula-Hooperとハイバイ)

副部長(音楽) 安田奈加

マネージャー 上枝鞠生(Hula-Hooper)

       畔上千春(ボーダビッチ)

書記     宮沢紗恵子

会計     堀井秀子※8月のみ

美化係   森山夕子(動物電気)※12月のみ

キャプテン  服部弘敏(IDENTITIEZ)※12月のみ

主将     ベース/まーちゃん(MUSTANG'78)

給食係    ギター/岡野直史(SGT)

レクリエーション係 ドラム/カワサキプロ(ナショヲナル)

顧問     ムックリ/西岡慈円※12月のみ

バルーン部員  板子マコト(ニオウダチ) ※12月のみ

with

日替わり部員(バンド)

12月20日 キャプテンクーコッチ

個人的なお話ですが、ゲストミュージシャンのキャフテンクーコッチ、なにかおじさんになった私が忘れていたライブハウスの楽しさを思い出させてくれたような・・・。

入場の時に劇団初めての客は部員証明書というものを頂けて、もらった時には何だこれはと思ったのですが・・・。帰り道ではそれを持っていることがなにかとてもうれしく感じられる・・・。

そこまでに菊川たちが築き上げた世界には魅力があって・・・。単に一つの作品というだけのことではなく、このようなパフォーマンスを創りえる素地というかベース全体の豊穣を感じるのです。

これは・・・、目の離せない世界がまたひとつ増えてしまいました。

R-Club Annex

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