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クロムモリブデン「血が出て幸せ」の幸せ度

少し遅くなりましたが・・・、8月1日ソワレでクロムモリブデン「血が出て幸せ」を観ました。初見だったのですがこの劇団はやばい。一発で好きになってしまった・・・。

私の根源的な好みに近いというか・・・・。とにかく惹かれまくった2時間でした。

(ここからネタバレがあります。公演期間は終わっておりますが、ご留意の上お読みください)

ポップな雰囲気ののファミレスから物語は始まります。自称童話作家の女性、東京に出てきて童話を書き始めるけれど、なんとなく上手くいかず・・・、そこに次々にやってくる客達・・・。、みんな一風変わっていて・・・。で舞台が満ちるとなんとなく破綻する。でリセットされて、カノンを聴くように同じようなシーンがバリエーションを少し変えてまた現れて、段々深みにはまっていく感じ。

でも、そこにテンポとグルーブ感があって冗長さがないのです。ルーズな時事ネタやシュールな設定も含まれて、理屈ではなく感性にひきずられるように舞台に取り込まれてしまいます。それらの物語を望むのは女王様、嘘を望むのですが、飽きっぽい。やがてドリンクバーに毒を入れたりとかいう話まで混ざって・・・・。社会的な風刺なども含まれていて、混沌としていながら、どこか現実につながらる根を持っている感じで、観客を揺さぶっていきます。

中盤以降になると、現実に昨今で起こっている大量殺人の背景とオーバラップしていくのですが、その視点も非常にしたたかです。前半のとりちらかった様々な事象がすうっと統一されたのイメージに収束していくような感覚があります。世間に伝わってくる、昨今の無差別殺人犯達の言動の軽さが、舞台上のある種の感覚とすっと無抵抗に統合されていく感じ・・・。そう、ある種の色が同じに染まってすっと一つに繋がる感じ。

ものすごく緻密にはちゃめちゃをやっているというか、現実へのトリガーがしっかりあって、飛んでいるような所作や仕草には、冷徹な現実分析がふくまれていて・・・。それらが一つにまとまる終盤ではっとさせられる・・・。前半の混沌の意味が終盤にはまるで魔法のように浮き上がってくるのです。これってなにげにすごい。

役者も本当に個性派ぞろい・・・。出演者全員に目が行ってしまう・・・。

出演者の皆様を列挙すると・・・・。

森下亮、板橋薔薇之介、久保貫太郎、岩倉チヒロ奥田ワレタ、木村美月、渡邊とかげ、金沢涼恵、伊東沙保

書きながら、ドラマのカオスに負けない一人ずつの個性が強烈に脳裏をかすめる・・・。色の異なる本当に強いインパクトを出演者全員がもっているのです。物語の裏側にある冷徹な洞察力が観客にとって重く感じられないのは、役者の切れのなせる技。大上段に振りかぶるのではなく、さらっと感覚を積み上げて殺戮に至る心情を観客に見せてしまう力には、ぞくっとする。

今までこの劇団を観なかったことを後悔しつつ、帰りに前回作のDVDとサイン入りの写真集を購入してしまいました。(余談ですが写真集の渡邊とかげさんのページには私のペットであるモルモットの写真がいっぱい。あまりメジャーとはいえないこの生き物とあそんでいる彼女の姿は、、私にとって天使のように思えました)。

今回の公演を見せられて、次回公演をはずすわけにはいきません。なにか秋がとんでもなく忙しくなってきたような・・・。

なんか実りの秋を予感させる夏の一夜でありました。

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