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「轟きのうた」の手作り感(鹿殺しオルタナティブ プチ感想)

ちょっと遅くなりましたが・・・

7月13日、ソワレで鹿殺しオルタナティブ「轟きのうた」を見てきました。劇場の楽園は2度目・・・。ただ、鹿殺し的な劇場つくりがなされていて前回より空間がずっと奥深く思えました。柱がインパクトありすぎ・・・。

坂本けこ美の個性豊かな前説放送にちょっと心を緩めていたら、実に濃密な時間に劇場全体が包まれて、いきなり圧倒されてしまいました。

(ここからネタばれがあります。公演期間は終了していますが、ご留意の上お読みください。)

神々の話からはじまります。付録つきの科学雑誌のおまけで人間が出来たというあたりから素敵に胡散臭いのですが、その胡散臭さが不思議と物語の輪郭を観客に指し示すことになります。固定化された才能を示す友人達の手の形状、時間の流れにも似た砂の舞台、エヴァンゲリオンの世界が、少年が自らの殻を打ち破る姿をアニメーションで表現したように、演劇空間でしか表現し得ない内面世界が次第に現出していきます。砂の舞台、血のにおいを感じるようなある種のデフォルメ。入り口付近に作られた小さな舞台が効果的に活用され、主人公の真理状況がまるで裏と表をひっくり返すように物語の登場人物に代位され語られていきます。

感心したのは、作り手が表現しようとする概念を具現化するための徹底したこだわり・・・。小さい劇場で砂を使ったりカーテンを利用したり、演技にも擬音をちりばめたりメリハリをしっかりと付けて、観客の目線を自分の視点に引き入れていきます。それは、小さいことの集積、たとえば松明の火をめらめらと声を出して表現することで広がる厚み、色、音、小道具達・・・。それらが溶け合いながら、主人公の内面と共鳴していきます。

昔々、同じような肌触りをもった芝居を観たことがある・・・。六本木から西麻布に向かう途中にあった自由劇場のお芝居・・・。テイストは違いますが、表現についての姿勢に同じ匂いを感じました。空間の狭さを逆手に取った、観客の五感すべてを揺らすようなお芝居・・・。

丸尾丸一郎演出の「狂人教育」の時にも感じたのですが、彼の作る芝居には感覚をダイレクトに伝えるような力があって、一方で葉月チョビの演出はその力をまっすぐに観客に伝えるためによい意味で手段を選ばないところがある・・・。それぞれのシーンに自由で創意に溢れた表現があって、観客をどんどん呼び込んでいくのです。

泥臭い部分もあるのですが、インパクトは抜群。鹿殺しパワーのなかにどっぷりと浸ることができました。

役者もよかったです。一人ひとりの役者が自由闊達に抑制されている感じ・・・。強い個性がしっかりと統制されて舞台が大きく力を蓄えていくような・・・。

しいて言えば、演出を兼ねる葉月チョビのお芝居が、ちょっと調和に気を使いすぎているような感じもしましたが・・(もっとはじけても大丈夫かと・・・)。それはそれできちんとした効果があったようにも思えるし・・・.

新生「鹿殺し」、しっかりと力をためている・・・。10月末の本公演が一層楽しみになりました。

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